急増するトランクルーム経営は儲かるのか


 近年、トランクルームの看板を道端で見つけることが増えました。

 荷物を預けるトランクルームは2008年の売り上げ高250億円から2020年には700億円へと急拡大しています。

 その背景には、トランクルーム経営が手軽に始められ、経営の手間も少ないなど、メリットが大きいからです。


 この記事では、トランクルーム経営の初期費用や賃料、メリットやデメリットなどを詳しく解説していきます。


トランクルーム経営とお金の話


賃料

 トランクルームの賃料は立地や大きさによってかなりの差があり、2,000円を切るものから2万円以上の場所まで千差万別です。

 ただし、全体の43%は5,000~9,000円の間ですので、安く見積もって平均は6,000円くらいでしょう。


初期費用

 初期費用についてはほとんど全てコンテナの購入・設置代金です。


 よくある8畳を3つに区切るタイプで1基約100万円これを8基設置すると24部屋で800万円です。

 これを1部屋6,000円/月で貸して半分の12部屋が埋まった場合、ひと月72,000円。年間でおおよそ80万。おおよそ利回り10%、10年で資金を回収する計算です。


 空室率を改善していけばもっと早く回収することも出来るでしょう。


経営方法

 経営方法については自分で全部行う自営FCに加盟する方法があります。


 自営なら利益を独占出来る分、集客、清掃、クレーム対応などを全部自分でやる必要があるため、本格的に取り組む必要があります。

 FC加盟の場合、おおよそ売り上げの10%を上納して上記の対応を行ってもらったり、看板も使用出来るため、集客効果も高いでしょう。


 ただし後述する通り、トランクルーム投資はアパート投資などと比べて土地単価が低いため、相対的に加盟料が高くなります。よく考えて加盟する必要があります。


トランクルーム経営のメリット


メリット1:長いレンタル期間

 トランクルームを利用する人のうち、全体の40%以上が3年以上利用してます。

 一度契約を取れたら安定的に収入が得られます。

 最初の数年は空室率が高くなるはずなので、余裕を持った資金力が求められます。


メリット2:トラブルが少ない

 アパート経営の場合近隣住民同士のトラブルや水道トラブルなどの対応が大変ですが、トランクルーム経営についてはそのような心配がないため、比較的対応に追われる必要は少ないです。

 ですので、自営で3,4拠点経営しても十分一人で対応出来るでしょう。


メリット3:維持費がかからない

 電気代や水道代などがかからないため、軌道に乗るまでも精神的に楽に待つ事が出来ます。

 アパート経営の場合、空室率を意識する必要がありますが、維持費のかからならトランクルーム投資なら、多少空室があっても損失は限定的です。


メリット4:日本ではまだまだ広まっていない

 トランクルームはまだまだ歴史が浅く、日本には浸透していません。

 勿論文化の違いがある事が前提ですが、アメリカでは人口の10%の人がこのようなサービスを利用しています。

 しかし日本では0.2%の利用率しかないため、ブルーオーシャンと考える事も出来ます。

 これから普及するにあたり、先発するメリットを享受出来るかもしれませんね。


メリット5:住宅利用に向かない土地にも設置出来る

 住宅街の中で日当たりが悪い土地や騒音が気になる土地など、住宅利用に向かない土地は、地価が安く売れ残っていることがあります。

 そのような住宅に向かないような土地でもトランクルームなら、問題なく設置出来ます。


トランクルーム経営のデメリット


デメリット1:金融機関からの融資を受けにくい

 アパート経営の場合は、建物が担保となるため、金融機関からの融資を受けやすいですが、トランクルームは担保になりにくいため、融資を受けることが難しいです。

 アパート経営に比べれば圧倒的に少額ですが、実費で資金を準備する必要があります。


デメリット2:節税効果が薄い

 サラリーマンがアパート経営をするメリットの一つに、高い節税効果があります。

 しかし、トランクルーム経営については、ほとんど税制優遇がありません。

 本業で既に大金を稼いでいる人の場合は、節税の観点からアパート経営の方がメリットが大きいです。


デメリット3:設置出来ない場所がある

 トランクルーム経営は法律の上では、『倉庫業を営まない倉庫』という分類に入ります。

 それにより、『第一種・第二種低層住居専用地域』や『第一種中高層住居専用地域』にはトランクルームを設置出来ません。

 もし理想的な土地を見つけた場合は、その土地の区分がどうなっているかを調べる必要があります。


デメリット4:3つのリスクに備える必要がある

 トランクルーム経営には、破損・盗難・災害のリスクに備える必要があります。それらの対策を行っていない場合、裁判に発展する可能性もありますし、顧客の獲得に影響も出てきます。
 

デメリット4−1:破損

 気温や湿度に弱い機械やワインのようなものは、トランクルームに保管しておくと破損することがあります。

 トランクルームに温度計湿度計を置くだけでも、破損のリスクを避けることができます。

デメリット4−2:盗難

 盗難対策として監視カメラを設置するのも効果的ですが、資金が余計に掛かってしまします。
 タダで出来る対策として、契約時に『自己責任』の一言を添えておくのもよいです。

デメリット4−3:災害

 地震が多い地域や、海抜の低い地域では、丈夫なコンテナを用意したり、流されないようにしっかりと地面に固定するなどの対策を行いましょう。


トランクルーム経営のコツ

コツ1:利用目的ランキング

 トランクルームを使う人達はどのような物を入れているのでしょうか。ランキング形式でまとめてみました。

1家具  40%
2本   36%
3レジャー34%
4家電  30%
5洋服  23%


 すぐには使わないけど処分に困っている家具・家電や年に数回しか使わないレジャー用品、大量に所有していて置き場に困る本や服が主な利用目的になっていますね。

 特に本や服については出し入れする頻度が高い為、自宅付近に借りる人がおおそうです。

 また少数ですが、妻に内緒の趣味用品や家族に見せられないアニメグッズなどを隠すために利用するケースもありました。



 立地については住宅街に立てるか商用目的でビジネス街に立てると集客が見込めます。

 近隣の利用者がほとんどになる為、わざわざ土地の高い主要道路沿いでなくても認知してもらう工夫さえ出来れば住宅街の奥地でも採算が取れそうです。


コツ2:宣伝方法

 トランクルームを使う人の大半は、自宅付近のトランクルームを利用します。

 そこで、新聞のチラシやポスティングなど、地元を中心に宣伝をする方法が効果的です。

 また、トランクルームの敷地の入り口に大きな看板を設置するのも効果が高いです。


コツ3:価格改定

 トランクルームには原価がかからないので、価格を下げる戦略も簡単に取れます。

 周りの同業者との価格競争が起こると、赤字になるまで値下げ合戦が続くこともありえます。

 そうならないために、常に周りのライバルの動向調査やその地域の市場調査を行い、自分が適切と考える価格を設定することが大切です。


まとめ:トランクルーム経営はブルーオーシャン


 アパート経営などに比べて初期投資が少なく手間も少ないため、サラリーマンが片手間で始めやすい投資ではないでしょうか。

 ただし手軽な分ライバルの参入も考えられるため、立地については吟味したいところです。


 トランクルーム経営で資金を稼ぎつつノウハウを蓄積し、さらに大きな不動産投資にステップアップしていくのもおすすめです。


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