キッチンカーは儲かるのか?


 キッチンカーと呼ばれる調理スペースを持った車を使い、オフィス街や公園などでさまざまな食べ物を販売するビジネスは、他の飲食店ビジネスに比べて圧倒的に少ない初期費用で始められ、近年人気のビジネスです。

 移動販売ビジネスは、わずか初期費用300万円で年収500万円が狙えるコスパの良いビジネスであると言えます。


 そこでこの記事では、キッチンカーの平均年収や初期費用を抑えるコツ、経営目線でおすすめのメニューなどを解説していきます。

 キッチンカーを始めてみたい方はぜひ最後までご覧ください。


キッチンカーで儲かるメニュー


 キッチンカーを始める方は夢を持って始める方がほとんどだと思うので、自分のやりたい商材で始めるのが一番良いでしょう。

 飲食店経営で一番大切なのは、提供される料理が美味しいことなので、自分が一番自信を持っている料理・商材で勝負することをおすすめします。

 しかし、それでは面白くないので、経営目線で見ておすすめのメニューを紹介します。


儲かるメニュー1:クレープ

 女性や子供が多いイベント会場で出展するなら、クレープがおすすめです。

 食事ではなくおやつなので、食後にイベントに来た人達も客として取り込むことができます。

 大型の設備が必要なく、技術力もそれほど必要ないため、始めやすいのも特徴です。




儲かるメニュー2:焼き鳥

 焼き鳥なら夕飯の一品としての需要から、晩酌のお供に、そして歩きながら食べるためにと、色々な層を取り込めるのが魅力です。匂いで集客出来るのも面白い要素です。

 また、クレープと同じくそれほど技術力が必要ないので始めやすいでしょう。




儲かるメニュー3:カフェ

 コーヒーや軽食を販売するカフェもキッチンカーとの相性が良いです。

 ただし、店舗型のカフェと比べて厨房機器も材料も限られているため、少ないメニュー数で顧客のニーズを満たす戦略が重要です。





儲かるメニュー4:たこ焼き

 たこ焼きは、儲かりやすいと言われる『粉もの』の代表格です。

 たこ焼きは、同じ材料と作り方でトッピングを変えるだけのメニューが多いので、狭いキッチンカーの厨房との相性も良いです。

 また、クレープが若い女性客をターゲットにしているのに比べて、たこ焼きは老若男女に支持される国民食なため、客層が広いのもメリットです。




キッチンカーの年収


 一番気になるのがキッチンカーの平均年収だと思います。

 この章では、平均年収や客単価、原価率などのお金の話について見ていきましょう。


キッチンカーの平均年収

 キッチンカーの平均年収は700万円と言われていますが、会社員の平均年収が一部のエリートによって引き上げられているのと同じように、一部の成功者が数値を引き上げていると言われています。

 多くのブログを調べてみると、おおよそ月収30-40万円。年収400-500万円くらいが真剣に経営した場合の平均になりそうです。


キッチンカーの客単価

 客単価については、扱う商材により大きく変わってしまいますが、一般的に1000円を下回ります。


 店舗型の場合は、注文を待っている間に他のメニューを追加注文したり、帰りにレジの横にあるお土産を購入したりと、客単価を上げる工夫が出来ますが、移動販売の場合は、メニューの数が限られていたり、1つの商品だけを取り扱っている場合も多いため、客単価を上げることは難しいようです。


キッチンカーの原価率

 原価率については、一般的な飲食店と同じく30%ほどになります。


 極端な例では、綿あめは原価率4-5%ですし、廃棄ロスもほぼ無いでしょう。

 反対にカレーライスは原価率が35%にもなり、廃棄ロスも多いです。


 しかし、原価率が低いからといって綿あめ屋さんを始めても儲からないのは分かるように、原価率だけで商材を選ぶのは危険です。


キッチンカーの初期費用

 初期費用については、キッチンカーを丸々購入するのか、自分で改造するのかによって大きく変わってきます。


 キッチンカーを購入する場合の相場は、200-300万円ほどします。

 最初から改造されている中古車の場合なら、100万円程で購入も出来ます。

 そして、自分の車を改造する場合なら50万円で始めることが出来るそうです。


 それに加え、箸や容器、ガスボンベ代や車検、保険代なども合計で20-30万円かかります。


キッチンカーの出店料

 いわゆる場所代のことです。出店料については、定額の場合と売り上げにより変動する場合があります。


 定額の場合は、平日5千円休日1万円のように休日の方が高いのが一般的です。

 変動制の場合は、売り上げの10-20%が相場のようです。


 もちろん、大都会のオフィス街と田舎の公園では、場所代も大きく違ってくるので、あくまで一例です。

 場所は売上に直結する要素なので、妥協せずにより良い場所を探し続ける必要があります。


キッチンカーのメリット


メリット1:初期費用の安さ

 初期費用については、店舗型に比べてかなり安く抑えることが出来ます。



 店舗を借りる場合、保証金としてまず賃料の10ヶ月分を納める必要があります。

 例えば賃料が50万円の物件を借りる場合、初月の賃料プラス保証金で550万円がかかってしまいます。

 さらに、厨房やテーブル・カウンターなどの設備を揃えると、1000万円くらいかかるのが普通です。



 一方キッチンカーの場合、移動販売車に50-200万円かかりますが、それを踏まえても300万円もあれば十分開業出来ます。

 新しいビジネスを成功させるコツはいかに初期費用を抑えるかにかかっているので、このメリットはかなり大きいものになります。


メリット3:維持費の安さ

 維持費の安さもキッチンカーのメリットです。

 店舗の場合、売り上げに関わらず毎月数十万円の賃料が発生してしまいます。


 しかしキッチンカーにかかる維持費は、普通の車の維持費とほとんど変わらず、年間で数十万です。


メリット4:立地を変えられる

 店舗型の場合、一度そこに店舗を構えたら、基本的に廃業するまで、そこで営業をする必要があります。

 クレームにより悪評が立ってしまっても動けないので、悪評を受けつつ営業を続けなければなりませんし、鉄道やバス、道路の整備や大型商業施設の建築により、人の流れが減少してしまってもそのまま営業をしなければなりません。


 一方キッチンカーなら、悪評が立ってしまったら、そこで営業しなければ良いですし、ライバル店が出店されたら、違う所に移ることも容易です。


メリット5:人間関係のストレスがない

 キッチンカーは狭い車内で仕事をするため、ほとんどのお店は一人で営業しています。

 仕入れや仕込みも含めて一人で完結する仕事なので、人間関係で悩むことはありません。

 現在、会社で人間関係に悩んでいるなら、キッチンカーで独立してみるのもありかもしれません。


キッチンカーのデメリット


デメリット1:固定客が付きにくい

 店舗型のメリットは、長く続けることで固定客が増えて経営が安定することにあります。


 反対に移動販売の場合、お客さんからしてみるとそのお店がいつ営業しているのかあいまいですし、屋号を認識しているというよりも『あのスーパーの駐車場にいつもいるたこ焼きやさん』程度の認識になりがちです。

 ツイッターやインスタグラムを利用して差別化・固定客化を目指す手もあると思いますが、わざわざそこまでしてくれる客はかなり稀でしょう。


デメリット2:天候に左右されやすい

 スーパーの軒先で屋根がついている場所なら、多少は対策もとれますが、雨の降っている日にわざわざ傘をさしたまま、小銭を出して、商品を受けとるまで待って、濡れた袋を下げて帰る人はほとんどいないでしょう。


 雨の日は休業することも多いでしょうから、一ヶ月の売り上げや利益の目処が立てにくいという影響があります。

 あらかじめ雨の日があることを計算に入れて、晴れている日の売り上げを計算しなければなりません。


デメリット3:販売場所の確保

 たくさん売れるような人通りの多い所は、既にライバルが場所を押さえています。

 また、自分が押さえている場所でも、貸し手側が場所代の増額を提示する可能性もあります。


 このように意外に場所を確保することは難しいようです。

 場所の確保に失敗した場合、その月の売り上げはゼロになることもありえるので、売り上げを他人に握られているビジネスモデルであると言えるでしょう。


キッチンカーの成功要因


成功要因1:出店場所

 移動販売において一番大切なのは、間違いなく出店場所です。

 どれだけ美味しくても、どれだけ安くても、どれだけ店員さんがイケメンでも、人の目に触れなければ売れることはありません。


 地道なリサーチと営業で、自分の商品が一番売れる場所を探すことが出来れば、成功する確率は高くなるでしょう。

 また、一度良い場所を見つけたとしても、日々さらに良いところがないかリサーチをしておくと、一つの場所が借りられなくなっても、次の場所にすぐ移れます。


成功要因2:単価の高いメニュー&原価の安いメニュー

 単価の高いメニューや原価の安いメニューを販売すると成功する確率が上がります。


 そこでおすすめなのがソフトドリンクで、ソフトドリンクの原価は1杯20~30円です。

 これを300~500円で販売すれば、メインメニューが儲からないメニューだったとしてもトータルで利益を生み出せます。


 また、アルコール類もキッチンカーを開業するときに取得してるであろう"飲食店営業許可"で販売出来るので、"焼き鳥"や"唐揚げ"とビールの組み合わせも候補に入ります。



成功要因3:人柄

 見落とされがちですが、店主の人柄も売り上げに大きく関わってきます。


 ムスッとしているおじさんと、爽やかな笑顔の若者なら、後者から買いたいと思うのが普通でしょう。

 ファンや固定客がつくこともあるかもしれません。


 話し方や服装にまで気を配り、少しでも一般人受けしやすい人物を演じましょう。


成功要因4:提供スピード

 商品の注文から提供までのスピードが早い方が、無用な行列を作らずに済み客の取り逃しがありません。

 また、他の客がスピーディに提供されている姿を見て並んでくれる人も増えるでしょう。

成功要因5:のぼりや垂れ幕で集客アップ

 遠くからキッチンカーを見た時に営業しているのか閉店しているのかが分からないようなお店だとわざわざ確認するのが面倒な人はキッチンカーの近くまで来てくれません。

 また、出店場所に他のお店がある時には、ライバル店より目立った方が売り上げが伸びるでしょう。

 よって、のぼりや垂れ幕をしっかりと掲示して、大袈裟に感じるくらいのアピールをしておきましょう。


成功要因6:SNSを最大限利用する

 例えば、大きなイベントに出店する時にそのイベントの名称も入れて自分のお店をSNSで紹介すれば、ネットでイベントの情報を調べようとしている人に直接お店の宣伝が出来ます。

 各地に移動して販売しているキッチンカーは、チラシなど昔ながらの宣伝方法との相性は悪く、SNSやHPでの宣伝が効果的です。


成功要因7:季節に合わせた商品

 キッチンカーなら簡単に外装を変えられるので、夏にかき氷屋さんをして冬に焼き芋屋さんに転向するのも容易です。

 そこまで極端でなくても季節に合わせて商品を変えていくと一年を通して売り上げが安定します。


移動販売のコロナ禍の影響


 コロナウイルスが蔓延する以前の2019年までは、毎年右肩上がりで店舗数を増やしていた移動販売ですが、コロナ禍の下でもさらに出店数を伸ばしています。

 コロナ禍前には、オフィスエリアにも多く出店されていましたが、テレワークの浸透により、オフィス人口が減り、移動販売車も減っていきました。

 しかし反対にテレワーク需要として、住宅街に出店する移動販売車が増え、売り上げも伸ばしているようです。



 また、かつては個人オーナーが出店するケースが多かったですが、大手飲食店の売り上げ減を補填するため、移動販売に乗り出すケースも増えてきました。

 このように移動販売業界は、今大きな変革を迎えています。

 常に新しい情報をキャッチして利益を伸ばすことを意識しましょう。


まとめ:キッチンカーは儲かりやすいビジネス


 キッチンカーは、初期費用が安く300万円もあれば余裕を持った開業が出来ます。

 さらに出店場所も自由に変えられ、販売メニューも簡単に変えられるので、一度失敗しても違う手段を試すことが可能です。

 おすすめのメニューは原価率が低く単価の高い商品ですが、ソフトドリンクが合わせて売れるようなメニューなら多少原価率が高くても利益を残せます。

 いきなり実店舗を持つような飲食店をするのではなく、キッチンカーで小さく始めて、成功してから大きなお店に移ることをおすすめします。