軽貨物ドライバーは稼げるのか?
軽貨物ドライバーは、脱サラの定番の一つです。会社員に疲れた人達の多くがこの軽貨物ドライバーに転職をして、個人事業主となります。
軽貨物ドライバーの募集サイトを見ると、年収1000万円という景気の良い言葉も見受けられます。しかし実際の収入は、最低賃金程度で、ほとんどの人が会社員時代よりも苦しい生活になります。
今回はそんな軽貨物ドライバーの裏側や、効率的に稼ぐ方法について解説します。
軽貨物ドライバーの月収例
相手企業や契約内容によって荷物1つあたりの単価が違います。
また、配送する荷物の量は、1日あたり平均150個です。
よって、平均的な1日の売上は150円×150個=22,500円。
これだけ聞くとかなり稼げるような気がしますが、ここから経費が引かれます。主な経費は下記の通りです。
・ロイヤリティー=売上の20%
・ガソリン代=2,000円/日
・保険料=500円/日
これを先程の売上22,500円から引くと、
22,500円ー4,500円ー2,000円ー500円=15,500円。
これでもまだ高給取りのイメージがありますが、実は軽貨物ドライバー業界は長時間労働が浸透しており、途中で休憩を挟みますが、だいたい14時間くらい勤務する人が多いです。
その場合、15,500円÷14時間=時給1,107円
もちろん、軽貨物ドライバーは会社員ではないので、ここから税金や保険や年金を支払う必要があります。
さらには、今回は事前に車と駐車場を持っている人の時給を計算しましたが、多くの人は自家用車とは別に、契約規則に沿った車の購入と、その車を停める駐車場を用意する必要があるため、時給1000円を割ってしまいます。
年収1000万円は可能か?
よって、平均の2倍である1日300個の配送をしても900万円が限界です。
おそらく実際に年収1000万円を超えているような軽貨物ドライバーは日本全国で数人程度でしょう。現実的には不可能であると考えます。
軽貨物ドライバーの収入を増やすコツ
軽貨物ドライバーの収入は『配送単価×配送数』です。よって、収入を増やすには、配送単価を上げるか配送数を増やすしかありません。
収入を増やすコツ1:配送単価
結論を申し上げると、配送単価を上げることは難しいです。
何故なら付加価値や差別化のしにくい配送というサービスは、客目線で見ると安い業者こそ正義です。
業者も複数の軽貨物ドライバーと契約していますが、より安いドライバーと契約をします。
よって、どの業者と契約しても、軽貨物ドライバーはだいたい同じ金額でしか仕事を受注出来ません。
単価を上げようとしてくる『面倒くさい』ドライバーは企業としてはリスクでしかないので、契約を切られるでしょう。
収入を増やすコツ2:配送数
配送単価は上げることが難しいので、ドライバーが出来る収入の上げ方はおのずと配送数を増やすことになります。
収入を増やすコツ2−1:配送エリア
配送エリアが田舎の場合、1件配送してから次の1件に向かう距離が自然と長くなります。
反対に、都会のマンションなら、まとめて数件を回ることも可能です。
このように配送エリアによって、捌ける量に大きな違いが出てしまうので、出来るだけ立地の良い場所を担当エリアにするように行動しましょう。
収入を増やすコツ2−2:最短ルートを考える
今抱えている荷物の配送先を把握し、パズルを組み立てるように最短ルートで回れば、自然と時間の短縮になります。
頭を使わないドライバーは、同じ道を何度も通ることが多いです。
収入を増やすコツ2−3:積み込み
最短ルートを考えつつ、配送する荷物を車に積み込みます。
その際に、何も考えずに積み込むと、毎回荷物を探す必要がありますが、配送ルートをイメージしながら積み込むと、手前から取っていくだけで良くなります。
この事前準備が配送の効率化の一番の肝になるでしょう。
収入を増やすコツ2−4:住人の生活リズムを把握する
軽貨物ドライバーの一番のストレスは再配達の多さです。
当たり前ですが、不在の場合は『タダ働き』になってしまうので、効率化を考えるなら再配達の量を減らす必要があります。
例えば、一人暮らしの会社員のお宅に昼過ぎに伺った所でほぼ間違いなく不在です。
各家庭の大まかな家族構成や在宅の時間を把握しておけば、再配達の回数を減らすことが出来るでしょう。
稼げるドライバーの特徴
稼げるドライバー1:体力のある人
軽貨物ドライバーは、一つ一つの荷物はそれほど重くないとはいえ、運転と歩き移動を一日中続けることになります。
体力のある人なら常に小走りで配達出来るので、作業効率は高くなり収入も高くなります。
夏の暑い日にマンションの階段を軽々と上れるような体力を付けたいですね。
稼げるドライバー2:メンタルの強い人
宅配ドライバーの一番の悩みは"再配達"の多さです。
配達数で収入が決まるので、留守の場合は無給労働になってしまいます。
しかし、宅配ドライバーをしている限り再配達は必ず起こることなので、その度にイライラしていては仕事になりません。
その他にも効率を求め続ければ小さなイライラは常に付きまとってくるので、気にしない強いメンタルが求められます。
稼げるドライバー3:コミュニケーションスキルの高い人
コミュニケーションスキルと書くと難しく感じてしまいますが、ニコニコと配達するだけでも十分です。
荷物を届ける相手は千差万別で、中にはちょっとしたことでクレームをぶつけてくることもあります。
また、完全にこちらの非でダンボールを凹ませてしまったりすることもあるでしょう。
そのような時に日頃から明るい笑顔で接しておけば、多少のミスをしても許してくれるでしょう。
稼げるドライバー4:マイペースな人
『マイペースなことは悪いことである』という風潮がありますが、一人で働く軽貨物ドライバーにおいてはメリットにもなります。
自分の力を一番生かせるペースで仕事を続ければ、自然と得られる収入も大きくなるでしょう。
稼げるドライバー5:自己管理が出来る人
チームで仕事をしている時は周りの目もあり頑張れるのに、一人になるとダラダラと仕事をしてしまうことは誰にでもあることです。
軽貨物ドライバーは完全に一人で仕事をするので、ダラダラと仕事をしていても誰にも咎められることはありません。
そこを上手くコントロール出来る人が稼げるドライバーの特徴です。
稼げるドライバー6:目的を持って働いている人
『1,000万円貯めてお店を開きたい!』とか『子供を大学に入れるために頑張る!』のように明確な目的を持って働いている人の方が体力的にキツイ時や失敗した時も粘り強く頑張れます。
完全歩合制の軽貨物ドライバーは、普通の会社員以上に作業効率が収入に直結します。
会社員以上に目的意識を持って働いている人が成功しやすい仕事です。
稼げるドライバー7:自分の車両を持っている人
軽貨物ドライバーの仕事は、自分の車両が無くても委託業者から車両をリースして仕事をすることもできます。
しかし、割高なリース料を払っていては、どれだけたくさん荷物を運んでも得られる収入は少なくなってしまいます。
数年単位で軽貨物ドライバーをしようと考えているのなら、数十万円で買える格安の車両を購入しておきましょう。
稼げないドライバーの特徴
稼げないドライバー1:一人で仕事をするのが苦手な人
会社員時代にチームで仕事をすることに慣れてしまい、一人で仕事をすることが苦手な人は軽貨物ドライバーで稼ぐのは難しいです。
学生時代に自分の部屋で一人で勉強出来なかったように、一人で仕事をすることは大変難しいことなのです。
稼げないドライバー2:時間管理が苦手な人
アルバイトや正社員で働いていた人は、どれだけダラダラ働いていても同じ給料を貰えることに慣れてしまっています。
完全歩合制の軽貨物ドライバーは、いかに限られた時間の中で効率的に仕事をするかが重要なので、時間の管理が苦手な人はあまり大きく稼げません。
稼げないドライバー3:体調管理が苦手な人
体力勝負の軽貨物ドライバーに体調不良は厳禁です。
毎日最高のコンディションで最高のパフォーマンスを出せるように、食生活や生活リズムなどをしっかりと管理しましょう。
軽貨物ドライバーのメリット
メリット1:職歴や学歴が関係ない
配達件数が収入に直結する軽貨物ドライバーの仕事に職歴や学歴は関係ありません。
完全に実力主義なので、職歴や学歴が高い人よりも毎日の業務をより効率的に改善していける能力が高い人の方が軽貨物ドライバーとしては成功します。
メリット2:自由な働き方が出来る
休みの曜日や働く日数など正社員に比べれば自由に決められるので、本業としてガッツリ働いたり、副業として無理のない範囲で働いたりと自由な働き方が出来ます。
メリット3:人間関係の悩みがない
ほぼ一人で仕事が完結するので、人間関係に悩むことはありません。
正社員時代に人間関係に悩んでいた人が軽貨物ドライバーに転向すると気楽に働けるようになったという意見もあります。
メリット4:女性やシニアも活躍出来る
軽貨物ドライバー業界は、若い男性が大部分を占めていますが、重い荷物はほとんどないので、女性やシニアも活躍出来る業界です。
それでもやはり体力的に若い男性には劣ってしまうので、より頭を使い工夫して働いていくことが求められます。
軽貨物ドライバーのデメリット
デメリット1:安定した収入にはならない
軽貨物ドライバーは、会社員のように毎月一定の収入が得られることはありません。
また、年功序列や昇給・昇格もないので、長く務めていくほど会社員との収入格差を感じるようになるでしょう。
デメリット2:体力勝負
体力勝負の軽貨物ドライバーなので、体を壊してしまったり老化により体力が低下すると収入が減っていきます。
それでも体調管理をしっかりとして体力を付けていけば、60歳になっても働けるくらいの業務負荷なので、過度に心配する必要はありません。
軽貨物ドライバーの種類
ドライバーの種類1:宅配便
一番馴染みがあり、一番仕事量が多いのが宅配便です。
再配達が多いことがデメリットですが、常に安定した仕事量があるので、軽貨物ドライバーとしては安定的な収入を得られることがメリットです。
ドライバーの種類2:ルート配送
主に企業向けに決まったルートで配送する仕事です。
再配達が少ないことがメリットですが、重い荷物が多く、仕事量が少ないのがデメリットです。
ドライバーの種類3:スポット便
急な配達依頼に対応するのがスポット便です。
繁忙期にいつものドライバーだけでは荷物を捌ききれない時に呼ばれたりするので、単価はやや高いですが継続的な仕事ではありません。
副業で働く軽貨物ドライバーに人気の仕事です。
ドライバーの種類4:チャーター便
スポット便と同じく急な配達依頼に対応しますが、スポット便と違い車両ごと貸し切る契約になっています。
長距離配達の依頼が多く稼ぎやすいので、軽貨物ドライバーに人気の仕事です。
ドライバーの種類5:引っ越し
軽貨物ドライバーには、引っ越しの荷物運びをする案件もあります。
ただし、引越し業者とは違い梱包や荷解きなどは行いません。
依頼者からすれば、引越し業者と比べてサービスが悪いので、安い料金で買い叩かれる心配があります。
軽貨物ドライバーの将来性は?
軽貨物ドライバーの将来性1:物流はなくならない
各業界では、日々新たな技術革新が起こっています。
例えば、レンタルビデオ店は通信技術の発展により、この10年で一気に職を奪われました。新聞業界もネットニュースの普及もあり、10年後にどうなっているか分かりません。
このように技術の発展により、衰退していく業界も多いですが、物流が無くなることはありません。
さらに各家庭に一つ一つ商品を届けるという煩雑な作業は、ドローン技術がどれだけ発展してもなくならないでしょう。
軽貨物ドライバーの将来性2:コロナ禍が追い風に
多くの業界に深刻なダメージを与えたコロナ禍ですが、軽貨物ドライバーには追い風となっています。
外出を控えようとネットで商品を購入する人が増え、軽貨物ドライバーは人手不足に悩まされています。
今の日本の情勢を見ると、まだしばらくこの傾向が続くことが予測出来ます。
軽貨物ドライバーの将来性3:置き配の普及
近年急速に広まった『置き配』は、普及率が50%を超えています。
軽貨物ドライバーにとって置き配は、再配達の必要がないので時間あたりに配達出来る量が増えます。
この先さらに普及率が上がり、軽貨物ドライバーの時給がさらに上がることが予想されます。
軽貨物ドライバーの将来性4:ドライバー不足
ドライバー業界は常に人手不足に悩まされています。
毎年の求人倍率も他の産業の約2倍で推移しています。
ドライバー業界は長時間労働のイメージが強く、女性やシニアの進出も遅れているので、どうしても他の産業に比べて人手不足になりがちです。
しかし、裏を返せば誰でもすぐに就職出来るし、労働力を過度に買い叩かれることもないと考えれば、人手不足もメリットになりえます。
まとめ:軽貨物ドライバーで短期的に稼ぐのはあり
誰にでも出来る仕事というのは参入障壁が低く、どうしても労働力を安く買い叩かれるからです。
また、技術力が高まる仕事なら、就業年数に応じて給料が高くなりますが、技術の身に付かない単純作業かつ体力勝負のため、むしろ年数を追うごとに給料が下がる可能性もあります。
しかし、完全に一人で何かのビジネスを始めることと比べると、急に仕事がなくなったり、ビジネスに失敗して多額の借金を抱えるようなことはありません。
会社勤めに疲れて一人で仕事をしたい人や、短期で長時間労働に耐えガッツリ稼ぎたい場合には、この軽貨物ドライバーの仕事は選択肢としてはありなのではないでしょうか。
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