高金利通貨は、先進国通貨に比べれば値動きは荒く、簡単に相場が半値になったり2倍になったりする通貨です。
しかし、適切なリスク管理が出来れば、それほど危険なものではありません。
多くの人は、適切なリスク管理を知らず、米ドルと同じような感覚で投資をしてしまうので、高金利通貨投資で失敗をしているのです。
この記事では、メキシコペソの危険性とリスク軽減のコツについて解説します。
最後まで見ると、メキシコペソ投資を安全に行うことが出来るようになります。メキシコペソ投資を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
輸入の約5割輸出の約8割がアメリカ相手であり、もし今アメリカとの関係を切られた場合、間違いなく国内経済が崩壊します。
ありがたいことに現状は、アメリカ・メキシコ・カナダの3カ国で経済協定を結んでいるほどには良好な関係が続いていますが、メキシコが接する南米にはアメリカと距離を置いている国もあるため、それらの国と協力して反アメリカを掲げる大統領が誕生しても不思議ではありません。
また、アメリカ経済が不景気になると、経済規模の小さなメキシコはその影響をアメリカ本国より大きく受けることも見逃せないリスクです。
危険性2:資源国通貨
メキシコは世界有数の石油産出国です。
石油を輸出出来るメリットもありますが、世界的に経済が停滞すると、石油の輸出量が減ることが予測され、自国通貨が下落するという爆弾を抱えています。
過去の値動きを見ても、直接メキシコに関係のないような経済ニュースでも、世界経済にとってマイナスのニュースの場合は、メキシコペソ相場が下落することが多いです。
危険性3:犯罪大国
メキシコは世界有数の治安の悪い国です。
中でも麻薬カルテルは世界一の規模を誇り、最大組織の構成員は6万人以上とされています。
暴力団山口組ですらその構成員は約8,000人なので、その規模の大きさに驚かされます。
また年間の殺人事件の件数が3万件以上で推移しており、日本の殺人件数が1,000件未満であることと比較するといかに危険な国なのかが分かります。
これだけ治安が悪いと健全な経済活動をすることも難しくなります。
例えば、日本で人通りの無い夜道に自動販売機が置いてあっても誰も自販機を破壊して釣り銭を盗まないでしょう。これがメキシコなら、おそらく数日で破壊されます。
このように高すぎる犯罪率は、国内経済にとってマイナス要因です。
危険性4:激しい変動
メキシコは、GDPで世界14位の経済大国ですが、それでも日本のGDPと比べると1/4程度です。
よって、隣国のアメリカ経済が風邪を引いただけでも、メキシコ経済は重症になります。
世界経済のちょっとしたニュースにも過敏に反応するので、為替レートの変動が激しいです。
過去の金融危機を見ていても、メキシコペソ相場は1ヶ月で20~30%の下落をしています。
もし、レバレッジ3倍でメキシコペソを保有しておりその通貨価値が30%減少すると、単純計算で90%も保有資金が減少することになります。
危険性5:大統領
現在のメキシコの大統領は、2018年からロペス・オブラドール氏が担当しています。
任期開始時は不安点を指摘する意見もありましたが、外交や内政も安定しており、支持率も56%と高いです。
現状では、大統領に対して過度なリスクを感じる必要はなさそうです。
ただし、現大統領の任期は2024年6月までで、メキシコの法律では再選が出来ない仕組みになっています。
日本の内閣制と比べてメキシコが行っている大統領制の方が直接国民から選ばれている分だけ個人の持つ権限も強くなっています。
また、次回の大統領選挙は与野党共に女性候補が擁立されており、新大統領は初の女性大統領となる見込みです。
これまでとまったく違った外交や経済政策が行われることもあるはずなので、次期大統領の公約には目を通しておきましょう。
危険性6:スワップポイント減少の可能性
メキシコペソ投資の魅力は高いスワップポイントにあります。
ここ数年は高い水準で安定しているスワップポイントですが、政策の変更により低金利政策を取ればスワップポイントは減少します。
それだけではなく、スワップポイントの額は最終的に各FX会社が独自に設定しているので、自分が口座を開設しているFX会社がスワップポイントに力を入れなくなってもスワップポイントは減少します。
そちらに関しては、複数のFX会社で口座を開設しておきリスク回避をしておくと良いでしょう。
総じてスワップポイント投資は、5年後も10年後も安泰な投資方法ではありません。
メキシコペソ投資におけるリスク軽減対策
リスク軽減対策1:レバレッジ
メキシコペソは、先進国通貨に比べて為替相場の変動が大きいです。
よって、米ドルやユーロと同じようなレバレッジを掛けてポジションを持ってしまうと、高リスクになってしまいます。
メキシコペソのポジションを持つ場合、長期投資ならレバレッジ3倍以内、短期売買でもレバレッジ10倍以内で取引するようにしましょう。
リスク軽減対策2:安い時に買う
FXは2国間の通貨の強弱によって相場が決まります。
よって、下落し続けたり、上昇し続けたりすることは稀で、長期的に見れば波を描くように上下動を繰り返します。
上昇しているチャートを見て飛びつくように購入するよりも、下落するのを待ち、安い時に仕込むようにポジションを持つ方がリスクを軽減出来ます。
メキシコペソ/円の最安値は、2020年記録した1ペソ4.2円です。
もし、1ペソ6円でメキシコペソを買ってしまうと、最安値まで1.8円の下落を見越す必要がありますが、1ペソ5円で仕込めれば、0.8円の下落を見込んでおくだけでよくなります。
このように出来るだけ安くなるまで待ち、平均取得単価を下げることで同じポジション量でもリスクを軽減することが出来ます。
リスク軽減対策3:長期保有
レバレッジ3倍以内で安い時にポジションを仕込めたら、あとは長期保有を目指します。
1ヶ月程度の短期的に見れば、下落して含み損を抱えることも多いでしょうが、長期的に半年1年と保有していくうちにスワップポイントが積み上がり、同じ為替相場でも含み益になっています。
短期的に売買を繰り返して利益を積み上げる方法もありますが、ある程度メキシコペソの値動きに慣れる必要もあるため、まずは一度保有したポジションは数年寝かせるような心持ちでメキシコペソを保有し続けましょう。
リスク軽減対策4:分散投資は要注意!!
リスク軽減の王道として分散投資があります。ここで気を付けておきたいのは、高金利通貨同士の分散投資はあまり意味がないことです。
例えば、メキシコペソと南アフリカランドとトルコリラへの分散投資がこれに当てはまります。
高金利通貨は、それぞれの国の経済状況によっても為替相場が動きますが、世界的なニュースやトレンドに対しては同じような値動きをします。
株式で例えると、"Docomo"と"au"と"SoftBank"に分散投資をしているのと同じです。
メキシコペソ投資のメリット
メリット1:高い信用格付け
メキシコは、トルコや南アフリカと並んで高金利通貨国として有名です。
本来高金利通貨国は、信用格付が低くなりがちですが、メキシコペソの信用格付けは常に他の2通貨よりも高い位置にあります。
それはつまり、トルコリラや南アフリカランドよりメキシコペソの方が為替相場が安定しやすいと考えられているということです。
メリット2:高いGDP成長率
メキシコは、毎年2~5%ほどの経済成長を安定して行えています。
世界経済の平均成長率が約2%なので、平均以上の成長を続けています。
人口も2050年頃までは増え続ける予想がされており若い労働者の人口比率も高いので、これから先もさらに経済発展していくでしょう。
メリット3:アメリカの経済成長を享受出来る
アメリカの隣国であるメキシコは、アメリカからたくさんの物資や資金や人が流れてきます。
よって、アメリカ経済が拡大していくと、その恩恵はメキシコにも行き渡ります。
中国やインドを始めとしたアジア圏が覇権を握ると言われて久しいですが、未だに世界企業の時価総額ランキングトップ10のうち8~9社はアメリカ企業です。
この先もしばらくはアメリカが経済の中心となり、その恩恵をメキシコが受ける構図は崩れないでしょう。
メキシコペソ投資のデメリット
デメリット1:長期的な下落
メキシコペソだけでなく、高金利通貨は通貨価値が下落し続ける傾向にあります。
現状は、それ以上に金利収入やスワップポイントが得られているので、儲けやすい通貨ではありますが、政策金利が低くなってしまうと損失を抱える可能性が高くなります。
デメリット2:悪い治安
メキシコの治安は悪く、常に犯罪率が世界トップ10にランクインしています。
特に"メキシコマフィア"は強い組織力を持ち、2023年現在も政府とメキシコ麻薬戦争が続いています。
治安が悪い国では、自由な商売をすることも難しく経済発展の妨げになります。
デメリット3:交通渋滞
メキシコの首都"メキシコシティ"は、人口密集度が世界10位です。
メキシコシティでは、1日中渋滞が続いており、産業や生活に多大な悪影響を与えています。
デメリット4:政治的リスク
現在は安定している政局ですが、北アメリカと南アメリカの中間地点に位置するメキシコは、外交関係が複雑になりがちです。
中南米は、"アメリカの裏庭"と言われるようにアメリカの影響力がありつつ、反米大陸とも言われ反アメリカを掲げる政党が定期的に政権を握る国も多いです。
かつてソ連がキューバに核ミサイル基地を建設した"キューバ危機"のような反アメリカの行動が起きた時に矢面に立たされてしまうリスクもあります。
メキシコペソは三大高金利通貨のひとつ
これらの国が高金利である理由は、インフレ率が高いこともありますが、国として問題を抱えているからです。
トルコは、エルドアン大統領が過度な低金利政策を行っており、通貨価値の下落が止まらない状態が続いています。
南アフリカは、高い失業率や犯罪率により経済活動に大きな支障が出ています。
それら二国に比べるとメキシコは、犯罪率は高いものの世界16位の経済規模があり経済は安定しています。
また、2050年の予想GDPランキングでは、日本を抜いて第7位の経済規模になっていると予想されており、高い経済成長率にも期待がされています。
メキシコペソ投資の利回り
つまり、レバレッジ1倍でメキシコペソを保有すると年利5%の利回りが期待出来ます。
さらに、レバレッジ2倍なら年利10%。レバレッジ3倍なら年利15%と倍々に増えていきます。
流石にメキシコペソ投資でレバレッジ3倍以上は危険なので、最大でもレバレッジ3倍までに抑えるようにしましょう。
それでも株式投資や不動産投資で年利10%や年利15%を出すことはかなり難しいので、メキシコペソ投資はかなりのハイリターンと言えるでしょう。
まとめ:メキシコペソ投資はリスクに備えれば危険ではない
ここで紹介したリスクを抑えるコツを上手く利用し、安定的に高金利通貨の旨味を享受してください。
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