キャベツ農家はきついけど儲かる?
その時給は2,000円にもなり、上手く経営していければ効率良く稼げます。
一方でキャベツ農家はきついとも言われています。
キャベツは1つあたり1.2kgもの重量があります。
たった一つを運ぶだけならそれほど大変ではありませんが、それを1日中持ち上げたり運んだりしていたら男性でも手が上がらないほどになります。
キャベツ農家は、きついけど儲かると言えるでしょう。
キャベツ農家の年収
これだけ聞くとあまり儲からないイメージが湧いてしまいますが、キャベツ農家の年間労働時間は888時間です。
普通の会社員が残業をしない場合の労働時間は年間2,000時間なので、その半分以下の労働で年収180万円なら悪くない気がします。
キャベツ農家の時給
キャベツはもっとも時給単価の高い作物の一つで、時給2,000円以上も目指せます。
時給1,000円以上で働くことの難しい農業において、時給2,000円は破格です。
珍しい作物や特定の作物のブランド化で時給2,000円レベルの収益を上げる農家もいますが、普通の作物でキャベツより稼げる作物はほぼないでしょう。
年収1000万円を目指すには
キャベツだけで年収1000万円を目指すには、かなり大きな畑が必要になりなかなか難しいでしょう。
キャベツ農業のメリットは、4~5ヶ月間で種まきから収穫までが完結することです。
8月に種を撒いて12月に収穫すれば、1月~7月で別の作物を栽培することも可能です。
それぞれの作物で500万円ずつ稼ぎ合計年収1000万円にするなら、現実的に可能です。
キャベツ農家の初期費用
ハウスのいらない露地栽培ですし、最初のうちはトラクターなどはレンタルで対応出来るので、畑さえ用意出来れば始められます。
施設栽培の場合500万円以上の初期投資が必要ですが、路地栽培のキャベツなら、100~200万円の初期投資でもなんとかなります。
ただし、他の農作物に比べて、面積あたりの売り上げが少ないので、それなりに大きな畑を用意する必要があります。
キャベツ農家のメリット
メリット1:時給単価が高い
キャベツ農業は、あらゆる農業の中で最も時給が高く、平均時給は2,000円以上にもなります。
作る作物によっては、最低時給を大きく割ってしまうこともある農業にとって、時給2,000円は破格の単価になります。
ちなみに儲かりやすいと言われている『ミニトマト』でさえ、時給1,300円が目安とされているので、キャベツ農家の時給は破格です。
メリット2:初期費用が安い
農業を始める際の初期費用は、栽培する作物によって大きくことなります。
中でも高額なのがハウスの設営費用で、どれだけ費用を抑えても1基設営するのに200万円以上かかります。
キャベツ農業にハウスは不要なため、ハウスが必要な農業に比べて圧倒的に初期費用が低いです。
それでも、面積あたりの収益額は低い分だけ広い畑を用意する必要があり、場所によっては初期費用が高くなるかもしれません。
メリット3:輸入率が低い
キャベツはその重さと大きさの割に安価なため、輸送コストが相対的に高くなりがちです。
国内の輸送でも大きな輸送コストがかかっていますが、輸出入となればさらに膨大な輸送コストになります。
ただし、この点は国内のキャベツ農家にとってはメリットで、野菜全体の国内自給率は約80%ですが、キャベツに限っては98%が国内で生産されているものです。
人件費の安い国の輸入品に淘汰されることが今後もありえないので、長期的に安定した収入が得られるでしょう。
メリット4:機械化の普及
長らくキャベツ農業は、農業全体で見ても機械化が遅れている業界でした。
しかし、2000年頃から収穫機などの大型機械が登場し、さらに近年ではAIによる自動選別が可能になったりと、キャベツ農業の機械化は急速に進んでいます。
それでも、個人事業主の多い農業では、高額な初期費用が必要な機械化はハードルが高く、まだまだ導入出来ていない農家が多いのも事実です。
メリット5:所得率
所得率とは、売り上げに占める所得の割合を示すものです。
例えば100万円分のキャベツを出荷して、人件費や燃料代などを支払った後に30万円が手元に残ったら、所得率は30%です。
キャベツ農家のデメリット
デメリット1:面積辺りの収益が低い
大きさの割に価格の安いキャベツを作るキャベツ農家は、作付面積あたりの収益額が低くなります。
所有する畑が小さな農家には、キャベツ農業は不向きです。
実は、狭く起伏の激しい日本の国土と、広く平坦な土地が必要なキャベツ農業の相性はあまりよくありません。
デメリット2:キャベツの重量
キャベツの1つの重量は平均1.2kgもあります。
一個や二個を調理するだけなら重さも気にならないですが、毎日大量のキャベツを収穫したり発送したりするキャベツ農家の多くは足腰を悪くしてしまいます。
特に力の弱い女性や高齢の方には大変難しい仕事になるでしょう。
デメリット3:豊作破棄がある
農家は、日頃豊作を願って作物を作っています。
しかし、特定の野菜が日本中で豊作になると、価格が暴落して逆に農家が儲からない問題もあります。
特に大きくて重たいキャベツは、梱包に使うダンボールや輸送にかかるガソリン代を考えると、他の作物に比べてこの影響を強く受けます。
おおよそ10年に1度くらいは、キャベツの豊作により収穫直前のキャベツを大量廃棄しなければなりません。
そうなると最悪の場合、その年の収入がゼロになるだけでなく、せっかく作ったキャベツをトラクターで潰していく精神的にも辛い仕事が待っています。
デメリット4:ライバルが増える可能性
キャベツ農業は、あらゆるサイトで『時給が最も高い』農業として紹介されています。
ネットの発達した現代において、これから農業を始めようと考えている人の一定数は、この情報を鵜呑みにしてキャベツ農家になるでしょう。
キャベツ農業は、儲かっているがためにネットで紹介されてライバルが増えてしまうデメリットをはらんでいます。
デメリット5:連作障害
毎年同じ土地でキャベツだけ作り続けると連作障害になり、どんどん土地がやせ細っていきます。
そこで、本来なら1年栽培したら4年休ませるようなローテーションを組んで畑を利用します。
キャベツ農家の年収を上げるコツ
コツ1:独自の販路は作らない
近年ではインターネットの普及により、農協を通さずに自分でネットショップを立ち上げて
販売する手法も確立されています。
しかし、キャベツについては、大きさや重さの割に単価が安く、売り上げ額に対して送料が高額になります。
また、その大きさ故にまとめ買いしても使い切れないので、一つずつの注文になるでしょう。
独自の販路に時間を掛けるよりも、素直に大量生産して農協に卸す方が間違いなく収益が高くなります。
コツ2:広い畑を見つける
キャベツは、面積あたりの売り上げ額が極端に低い農作物です。
よって、他の作物に比べて大きな畑が必要になります。
アメリカやオーストラリアのような広大な平地を持つ国では、一つの畑が100ha(ヘクタール)というのも普通です。
しかし、日本の土地は狭く高低差の激しい地形が多いので、10haの畑を持っている農家さんでも、『こちらに2ha、あちらに3ha』といったように保有している人も多いです。
もちろん、そのように畑が点々と散らばっていると、各作業に移動時間がプラスされてしまうため、時給換算が低くなります。
出来るだけ、自分が必要としている広さを一つの畑で補えるような土地を探しましょう。
コツ3:無策に拡大政策をとらない
農業は他に比べて、儲かりにくい産業です。
それでもアルバイトを雇う際の最低時給は、どの産業でも一律です。
あまり考えもせずに畑を大きくして人を雇ってしまうと、その人件費を払うだけの売り上げを産まないこともあります。
規模拡大をするにしても、最初の数年は自分一人で経営し規模感を体で覚えてから拡大していくべきです。
コツ4:キャベツの主な産地
キャベツは、地方ごとに収穫時期が違います。
・春キャベツは、千葉、茨城、神奈川などの関東圏
・夏秋キャベツは、群馬、長野、北海道などの寒冷地域
・冬キャベツは、愛知県
このように、気候の違いを上手く活用し地域ごとに分担することで、一年中市場に流通するようにしています。
ちなみに、スーパーでよく見かける、キャベツの生産量日本一の『嬬恋村』は群馬県にあります。
これらの地域はキャベツの生産に適しているので、これからキャベツ農家になる場合は、上記の都道府県で始める方が年収が高くなるでしょう。
コツ5:土作りが重要
他の作物にも言えることですが、キャベツ作りの良し悪しは土の質によって決まります。
水はけが悪い土地だと根腐れを起こすので、水はけの良い畑が理想です。
また、土のpH値は5.5~6.5の弱酸性が良いとされています。
さらに、キャベツは連作(毎年同じ土地で同じ作物を作ること)が出来ません。
キャベツの連作を行うと、同じ種類の養分が不足したりして、土の質が悪くなります。
まとめ:キャベツ農家は高時給でおすすめ
しかし、面積あたりの生産額が低かったり、その大きさ故にネット販売に不向きだったりとデメリットもあります。
土地の大きさにもよりますが、『ミニトマト』など他の農作物と組み合わせて生産するのもよいかもしれません。
それでも輸入率がわずか2%と低く、今後も安定的に稼げる農業のため、農業を始めたいけど何を作るか決めていない人にはおすすめの作物です。
当サイトでは『他の農業』も多数掲載しています。合わせてご覧ください。