いつもガラガラなのに潰れない花屋


 日本には、外国に比べて花を買う文化がありません。

 実際に、日本人の年間の花にかける費用は、先進国中で最下位レベルの約9,000円

 1位のノルウェーの39,000円やデンマークの26,000円と比べると、所得の多い日本人がいかに花にお金をかけていないかが分かります。


 街角の花屋を見ていても、常に客足がゼロか良くても一人二人ちらほらと見かける程度です。

 花の定価は、1本150円程度。毎日100本売っても生活をしていくことは難しいでしょう。

 それではなぜ、花屋は潰れないのでしょうか。

 この記事でそのカラクリを解説します。


花屋の原価はいくら?


花屋の原価率は50%

 花屋では1本100~200円で花が売られています。

 贈り物の定番であるバラは1本300~500円とやや割高ですが、母の日に送るカーネーションやチューリップ、ガーベラなどほとんどの花は300円以下で買えます。


 花屋の原価率はおよそ50%で、例えば定価200円のカーネーションの原価は100円です。

 花の原価率は、雑貨などに比べるとやや低めに設定されています。

 その理由は、花屋は廃棄ロスが多くなりやすいことと、卸市場までの買付をする手間がかかることがあります。


花屋のロス率は多い

 花の寿命はおそよ1週間から10日です。

 よって、仕入れてから数日で売りきらないと廃棄しなくてはなりません。

 また、通りから見えるディスプレイに集客用の花も飾らないといけないので、廃棄する花の量はさらに増えます。


花屋の仕入れはコスト高

 個人商店の花屋の仕入れ先は、3つあります。

・生産者との直接契約
・卸売市場からの仕入れ
・仲介業者からの仕入れ

 この中でもほとんどの個人商店は仲介業者からの仕入れを行っています。

 卸売市場から直接仕入れる方が安上がりになりますが、卸売市場は100本単位での売買になるため、個人商店では捌ききれません。

 割高でも10本単位で仕入れられる仲介業者から仕入れるのが一般的です。


花屋の儲け方


 店頭で1本1本売っていては儲からない花屋は、その他の部分から収入を得ています。


花屋の儲け方1:花束

 プロポーズの際に渡すものの定番はやはり花束ですよね。

 仮に1束の平均が10本だとすると、1つの花束を売るだけで2,000~3,000円の売り上げになります。

 また、バラの花束は本数によって意味がありますが、プロポーズ用の花束として『100%の愛』を意味する100本のバラは30,000~50,000円で売られているので、月に1,2件売れるだけでも売り上げが大きく上がります。


花屋の儲け方2:結婚式とブーケ

 結婚式の花代にかける費用の相場は17.3万円です。

 そこから式場側のマージンも引かれますが、1件の契約で10万円以上の売り上げになるでしょう。

 しかし、コロナ蔓延の影響でここ数年は結婚式を行う件数も減っていることと、昔ながらの大規模に行う結婚式の他に友人や家族だけで行う"マイクロウエディング"が広まっていることで、花にかけるお金も減っています。


儲け方3:葬儀と供花

 葬式には『供花』という亡くなった方へ花を贈る風習があります。

 供花1基あたり平均2万円ほどで、2基1対で4万円になります。

 葬儀の件数自体は、少子高齢化の影響で増加傾向にありますが、核家族化とコロナ蔓延の影響で家族だけで小規模に行う家族葬を選択する人の割合が50%を超えてきました。

 結婚式と同様にこれから先も花にかけるお金は減っていくでしょう。


儲け方4:ギフト

儲け方4-1:フラワーアレンジメント

多くの花屋では、フラワーアレンジメントで売り上げを伸ばす工夫をしています。

 フラワーアレンジメントなら、一度に数十本の花を売ることになりますし、技術料を上乗せできるので、かなりオイシイ商品です。

儲け方4-2:ドライフラワー

 ドライフラワーは、生花から水分を取り除き長期保存を可能にしたものです。

 多くのもので2~3ヶ月、長いものだと1年程飾ることが出来ます。

 特別な道具を必要とせず、少し練習すれば素人でも作れるのが特徴です。

 10日ほどで廃棄しないといけない生花と違い数ヶ月店頭に置いておけるので、廃棄ロスを生みにくいメリットがあります。

儲け方4-3:ブリザーブドフラワー

 ドライフラワーの一種で生花から水分を取り除くのは同じですが、特別な処理を行うことで5~10年も飾っておけるのがブリザーブドフラワーの特徴です。

 さらに質感や色味も生花に近く、初めてブリザーブドフラワーを見た人は生花と見間違えてしまいます。

 値段については、バラ1本あたり1,000~1,500円とやや高価です。

儲け方4-4:ハーバリウム

 近年ではハーバリウムというガラス瓶にドライフラワーと保存用のオイルを入れた商品も室内のインテリアとして人気です。

 見た目が綺麗で、あまり花に興味がない人にも訴求効果があります。


自営で花屋を独立開業した場合の平均年収は?


 独立開業して花屋で働く人の平均年収は、200~300万円です。

 他の産業と比べてもかなり低い年収で、多くの独立開業した花屋は苦戦を強いられています。

 しかし一方で、結婚式場や葬儀会社と契約出来た花屋さんは年収1,000万円を超えているので、営業力次第で大きく稼ぐことが出来るとも言えます。


花屋のアルバイトや正社員や年収いくら?


 花屋は儲かりにくい業界なので、そこで働くアルバイトや正社員も最低賃金ギリギリになります。

 特に資格や経験がなければ、正社員でも月給20万円を超えるのは難しいです。


花屋で働くために必要な資格は?


 花屋で働くために必須となる資格はありません。

 それでも仕入れや配達のために自動車免許はあると良いでしょう。

 その他の資格としては、これらも持っておくと仕事の幅が広がります。

・フラワーデザイナー
・フラワー装飾技能士
・色彩検定
・販売士

 それでも花屋の求人に"要資格"と書かれていることはまずありません。

 それよりも経験者の方が即戦力として使えるので重宝されます。


花屋はむずかしい?やめた方がいい?


 花屋の正社員で働いたり花屋を独立開業したり、本業として花屋で働こうと考えている人が悩むのが、本当に花屋として生活していけるかだと思います。

 私の意見としては、花屋の業界は生産性が低くどうしても低収入になりがちなので、本当に花が好きでないならおすすめはしません。

 それでも花屋で働きたいのなら、本業とは別に副業をしていくことをおすすめします。



儲かる花屋の条件


儲かる花屋の条件1:1Fに出店

 ビルの2Fにある花屋を見たことはないと思います。

 花のビジュアルによる集客効果を狙うなら1Fに出店することが重要です。



儲かる花屋の条件2:歓楽街に出店

 キャバクラやホストクラブでは、キャストの誕生日に客がスタンド花を送ります。

 スタンド花の販売価格は、1基1~3万円です。

 キャバクラやホストクラブ1店舗の平均在籍者数は20人程なので、毎月1,2件は誕生日イベントが行われます。

 1回の誕生日につき5基のスタンド花が売れると仮定すると、年間で100基(100~300万円)の売り上げが見込めます。


まとめ:花屋は技術料で稼ぐ


 花屋は、1本ずつ売ってもほとんど利益が残りません。

 フラワーアレンジメントやスタンド花のように、ひと手間加えて技術料を上乗せ出来る商品をいかに売るかが重要です。

 そのためにも、日々技術を磨いたり、ハーバリウムのような新しい商材の研究も怠らないようにしておくべきでしょう。


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