たこ焼き屋の年収は?
例えば、定価500円のたこ焼きの原価が125円の時、『原価率』が25%になる計算です。
しかし、実際のたこ焼き屋の年収は300〜400万円とされており、それほど儲かるビジネスではないことが分かります。
他の飲食店よりは儲かるけど、言われているほどボロ儲け出来る訳ではないのがたこ焼きビジネスです。
この記事では、たこ焼き屋経営者の年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。
たこ焼き屋のメリット
メリット1:原価率が低い
主な材料は小麦粉とタコですが、どちらも安価に仕入れられるので、全体として低い『原価率』になっています。
例えば、1日3万円の売り上げがあり月に25日営業すると、月の売り上げは75万円です。
このケースで『原価率』が5%違うと、月の利益に3万7500円もの差が出ます。
たった5%の差でもこれほどまでに月の収入が変わってくることを考えると、『原価率』の低いたこ焼き屋は儲けやすいと考えられます。
メリット2:調理が簡単
たこ焼きの調理は具材を混ぜて焼くだけなので、少し練習すれば誰でも一定の品質の商品を作れます。
FCのたこ焼き屋でアルバイトがたこ焼きを作っていることからも調理の簡単さが伝わるでしょう。
また、たこ焼きは調理がシンプルな分厨房機器も特別な物は必要なく、安い初期費用で始められるのも大きなメリットです。
メリット3:広い客層
たこ焼きは関西だけではなく日本の国民食となっており、世代や性別を問わず人気の商品です。
メリット4:トッピングの種類が豊富
たこ焼きは、トッピングの種類を変えるだけでメニューの量を増やせます。
本来メニューの量を増やせば、調理の手間が増えたり必要な厨房機器が増えたり、材料が増えることで廃棄ロスが増えたりとデメリットもあります。
しかしたこ焼き屋の場合は、トッピングの種類を増やすだけなので、新たに厨房機器を購入したりせず新メニューを販売できます。
メニューの量が増えることで飽きられにくくなったりまとめ買いが増えるので、簡単にメニューの量を増やせるのはメリットになります。
メリット5:食品ロスが少ない
たこ焼きの材料である小麦粉は1~2ヶ月、タコについても冷蔵保存で3日以上は持つので、食品ロスが少ないのもたこ焼き屋のメリットです。
流石に調理済みのたこ焼きはその日の内に消費しないと捨てるしかありませんが、持ち帰って自分の夕食にすればさらにロスを減らせるでしょう。
それでも食品ロスのことばかり考えて、まったくたこ焼きを焼いていない時間が出来てしまうと、匂いや音で集客が出来なくなるので、ある程度ロスが出ることは諦めましょう。
メリット6:食中毒のリスクが少ない
過去には、20店舗を経営していた"焼肉酒家えびす"がユッケ集団食中毒事件により、事件から三ヶ月後に事実上の倒産をしています。
火を通すたこ焼きは、そのような食中毒のリスクが少ないです。
一度食中毒を起こしてしまうとそのまま倒産や破産してしまう可能性も高いので、食中毒のリスク少ないビジネスの方が経営的なリスクも少なくなります。
たこ焼き屋のデメリット
デメリット1:参入障壁が低い
小資本で始められ調理も簡単なたこ焼き屋は、会社員の脱サラの手段として人気です。
しかし裏を返せばライバルも簡単に出現することになるので、せっかく経営が軌道に乗ってもライバルの参入で収入が激減することも考慮するべきでしょう。
もし、ライバル店が出来て一時的に売り上げが下がったとしても、ライバル店より高品質のたこ焼きを提供出来れば、いずれライバルが撤退し売り上げも元に戻ります。
いつライバル店が出店しても良いように、常に調理スキルや接客スキルを磨きましょう。
デメリット2:客単価が低い
『カフェ』なら軽食と共にコーヒーやソフトドリンクのついで買いも見込めますが、たこ焼き屋はたこ焼き単品の注文がほとんどです。
単価を増やせない以上、売り上げを上げるには回転率を上げたり客数を増やすしか方法はありません。
初めての店舗経営となるとどうしても商品に自信を持てず、安売りをしがちですが、しっかりと利益を乗せた強気な価格設定が出来るように品質を高めたいですね。
デメリット3:熱中症のリスク
たこ焼き屋のスタッフは、一日中熱々に熱せられた鉄板の前に立っています。
特に夏場には滝のように汗が流れ、しっかり水分補給をしていても熱中症になることもあります。
若いうちなら、体温の調整機能も活発に行われますが、年齢を重ねるにつれて体温の調整機能も衰えていくので、生涯の仕事にするのは難しいかもしれません。
デメリット4:大手チェーンの存在
たこ焼き屋と言われてまず頭に浮かぶには"築地銀だこ"です。
実際に築地銀だこは全国に500店舗以上あるので、単純計算で各都道府県に10件以上あることになります。
客の立場で考えてみると、味の保証がない個人経営のたこ焼き屋より、ハズレの無い全国チェーン店のたこ焼きの方が選ばれやすいのは自然なことです。
看板の大きさでは勝ち目がないので、美味しいたこ焼きを作り続けて徐々に評判を集めていくことが必要になるでしょう。
デメリット5:差別化が難しい
生地とタコを焼くだけで作れるたこ焼きは、その調理のシンプルさから差別化が難しい食べ物です。
例えば『ラーメン屋』なら、スープは醤油なのか豚骨なのか、麺は細麺なのか太麺なのか、トッピングには何を使うのかなど、お店ごとに大きく味や見た目が違います。
一方のたこ焼きは、タコはスーパーから仕入れるでしょうから差別化のしようがなく、生地の材料や焼き方くらいしか差別化のしようがありません。
そうなるとますます『安牌の大手チェーン店でいいや。』と感じる人が多いことでしょう。
たこ焼き屋で儲けるコツ
コツ1:味にこだわる
スイーツ店なら『インスタ映えするような見た目』、喫茶店なら『落ち着いた雰囲気』など、商品に付加価値を付けて販売をしている飲食店も多いです。
しかしたこ焼き屋に求められるのは『味』のみです。
たこ焼きを作ること自体は簡単ですが、より美味しく作るのには鍛錬が必要でしょう。
また、多少原価が高くなってしまっても納得の出来る材料で作ることも求められます。
他の付加価値で勝負のできないたこ焼き屋はとにかく『味』で勝負をしましょう。
コツ2:関西圏で勝負する
関西圏のたこの消費量は全国平均の約1.5倍です。
需要の多い関西圏でたこ焼き屋を繁盛させることが出来れば、年収1,000万円を超えるのも夢ではありません。
もちろん、たこ焼き屋の店舗数も関西圏に集中しているので競争が激しいですが、もし自分の腕に自身があるなら本場で勝負をしてみるのも面白そうです。
コツ3:時間をかけて立地を決める
キッチンカーなら開業後に気軽に場所を変えることも出来ますが、店舗型の場合は一度場所を決めたら廃業するまで同じ場所で営業をすることがほとんどです。
これから新しくたこ焼き屋を始めようとしていると、早く開店したくて立地を適当に決めてしまいがちですが、立地だけで売り上げが10%以上変わってしまうこともあるので、時間をかけて納得の出来る場所に出店しましょう。
コツ4:FC契約は不要
確かにFC店舗の方が宣伝効果があり、売り上げは高くなるでしょう。
しかしたこ焼きビジネスは、オペレーションがそれほど複雑ではないので、わざわざFCに契約するメリットは、集客効果くらいです。
FC契約をすることで売り上げの10%のロイヤリティを持っていかれては、利益がほとんど残らなくなります。
ロイヤリティは利益に対してではなく、売り上げに対して掛かってくるので、最悪の場合赤字になることもありえます。
コツ5:在庫数の調整
近年ではYouTubeの20~30分の動画よりもTikTokの1分前後の動画が好まれているように、現代人はかつてより待つのが苦手となりました。
たこ焼きは、店舗用の大火力の鉄板を使っても焼き上がりまでに10分以上かかります。
その10分間を待ってくれる人は少数であり、ほとんどの客は2~3分以内に焼き上がらないと分かると購入せずお店を去ります。
そのため普通、お店は客を取りこぼさないために注文が入らなくてもたこ焼きを焼いておき、注文がなければ作り置き品としてショーケースに並べます。
しかし、いつまでも売れずにショーケースに並べていると、当然のことながら劣化して不味くなり、廃棄処分することになります。
作り置き品を作り過ぎると廃棄処分が多くなりますし、作らないと客を取りこぼすおそれがあるので、ショーケースに並べる在庫量を時間や天候に合わせて調整する必要があります。
コツ6:"普通"のたこ焼き
たこ焼き屋に限らず飲食店を開くと、どうしても個性的で特徴的な商品を作りたくなります。
しかし、たこ焼きを食べたくてたこ焼き屋にやってくる人は、自分の頭の中にある"普通"のたこ焼きを食べたくてお店にやってきます。
シンプルな料理の分だけ、あえて特徴的なことはせず王道のたこ焼きを作るのがたこ焼き屋成功のカギです。
まとめ:たこ焼き屋はそこそこ儲かる
国民食になっているたこ焼きの需要は大きく、これから先もなくなることもありません。
しかし、誰でも簡単に儲かるものではなく、経営者目線で常に工夫や鍛錬を絶やさないことが大切です。
もし、これからたこ焼き屋を始めてみようと考えている方は、しっかりとした事業計画に沿って準備をしていくことをおすすめします。
また、『他の飲食店』とメリット・デメリットを比較してから開業することをおすすめします。