故人に18年間もの課税、『死亡者課税』とは
市長は、『長期間にわたって故人に課税を続け、誠に申し訳ない』と謝罪しています。
福岡市では、2004年に亡くなった女性が所有する物件の固定資産税を、死後18年間に渡り女性の口座から合計100万円以上引き落としていました。
なぜ、このような誤った課税がされてしまったのでしょうか。また、私達が行える対策はあるのでしょうか。
なぜ『死亡者課税』が起こるのか
亡くなった方への課税『死亡者課税』が起こるのは、相続を行っていないことが原因です。
今回問題となっている固定資産税は、法務局に登記されている所有者へ課税が行われます。
物件を所有している方が亡くなった後、いわゆる『遺産相続』を行い、『相続登記』を行えば、翌年から相続した人へ課税されるようになります。
冒頭の女性は、夫や子供、親、兄弟など民法上の相続人がおらず、いとこの男性が死亡届を出していました。
よって、遺産相続がされておらず死後も女性から税金を取っていました。
背後には高齢者社会の問題も
本来、家や土地の所有者が亡くなった場合には、法務局から送られる登記情報に基づいて各自治体が納税者を変更します。
しかし、相続者が未登記の場合は、各自治体が個別に調査して所有者を変更しなければなりません。
問題となった福岡県大牟田市では、年間約1800件もの死亡届を受理しており、それらを個別に調査するには膨大な作業量が必要になります。
徐々に進行する高齢化社会に対して、市役所の人員の増強はされておらず、これから先さらに似たような事例が多発するのは明確です。
まとめ:各個人がしっかりと相続手続きをする必要がある
死亡後も税金を納め続ける『死亡者課税』は、相続登記をしていないと起こる可能性があります。
本来は、相続登記を行っていなくても、登記者が亡くなった後に自治体が個別に調査をして納税者を変更します。
しかし、現在急速に進む高齢化社会と増加する死亡者に対応するだけの余力は自治体になく、手続きや調査に漏れが出ても不思議はありません。
国や自治体の制度に任せるのではなく、各個人が適切に死後の手続きを行うことが肝要ではないでしょうか。