YouTuberが始めた靴磨き専門店廃業へ


 おっくんさんは、靴磨き芸人として活動していた元芸人。

 靴磨きという一風変わったジャンルでYou Tube活動をしており、チャンネル登録者数は10万人以上とその道は有名。

 そこで2020年7月に東京都池袋で靴磨き屋を開業しましたが、わずか2年で500万円以上の損失を抱えて廃業することになりました。



靴磨き屋には二つの価格帯がある

 靴磨き屋は全国各地にあります。

 その中でも、10分1,000円程度で靴磨きをする低価格帯のお店と、1時間4,000円程度でしっかりと靴磨きをする高価格帯のお店があります。

 調べてみると、おっくんさんのお店は1,000円と2,000円のコースがあったので、低価格帯のお店に属していると言えるでしょう。


 どちらのお店が儲かりやすいのかを一概に決めることは難しいですが、似たような業態であるヘアカットと比較すると個人経営のお店に適しているのは、高価格帯ではないでしょうか。


『1,000円カット』と『高級ヘアカット』の違い

 主に子供や男性客の多い『1,000円カット』は、その安さと10分で終わる速さも評判となり、大手の『QBハウス』だけでも全国に約600店舗もあります。

 一方、個人経営のお店に多い『高級ヘアカット』のお店は、4,000円〜5,000円ほどが相場ですが1時間ほどかけてヘアカットだけでなく、シャンプーや髭剃りなども行ってくれます。

 奇しくも、靴磨きとヘアカットの時間や料金はほとんど一致しています。



 大手が高価格帯に踏み込めないのは、高価格帯に対応出来るような腕の高い従業員を大量に集めることが難しいからです。

 一方、個人経営のお店が高価格帯を選ぶのは、テレビCMなどの集客にお金を掛けられず、少ない客数から最大限の利益を上げるためです。

 このような背景から、高価格帯は個人経営、低価格帯は大手と棲み分けが出来ています。



テレワーク推進も影響か

 おっくんさんが靴磨き屋を始めたのは、2020年7月。

 コロナショックが日本を襲ったのが2020年上旬。

 コロナウイスルの蔓延防止のためテレワークが推進され、国民が靴を履く機会が一気に減ってしまった時期にお店を開業してしまったのも、閉業に至った大きな原因でしょう。


 本人がYou Tube動画内で、『やろうと思ってすぐ開業した』と語っていたように、綿密な市場調査や事業計画を立てずに開業をしたのも悪手だったように感じます。



まとめ:個人事業主は世の中の流れに沿って稼ぐ

 個人事業主のメリットは、組織が小さく事業の方向性を変えるのが容易なことです。

 例えば、タピオカブームに上手く乗れた経営者は、唐揚げ専門店に移り、次の金脈を探している頃です。


 また、個人事業が大手と同じ戦略を取っても、物量に負けて大手の劣化版にしかなりません。

 個人事業主が狙うのは、大手がカバーしきれない客層です。


 個人事業主には、世の中の流れを敏感に察知する経営力が求められます。


 最後に、今回調査させていただいたおっくんさんは、閉業について後悔はしていないそうなので、これから先も靴磨き業界で活躍をしていくことをお祈りいたします。