"唐揚げの天才"の閉店ラッシュが話題に
これは、日本マクドナルドが6年目に100店舗を達成したことと比べると、まさに異例と言えるでしょう。
しかし、ピークはその頃で、110店舗を超えたあたりで今度は一気に閉店に傾き、なんと1年半後にはおよそ半数の60店舗以上が閉店。
一方の開店は、2022年7月21日オープンの磐田今之浦店を最後に、その後の開店の情報は出ていません。
なぜこのような極端な開店ラッシュと閉店ラッシュが起きたのでしょうか。その当然の理由を解説します。
増えすぎた"唐揚げ専門店"
"唐揚げの天才"が市場に現れたのは、コロナ自粛の最中2020年5月のことです。
多くの飲食店や企業は、コロナ蔓延による外出自粛の影響で、売り上げが大きく下がっていました。
そこで注目されたのが、2017年頃からじわじわとブームになりつつあった"唐揚げ"です。
唐揚げは、調理が簡単で飲食店の厨房に元々ある設備で作ることが出来ますし、持ち帰り専門店なら軒先の2~3坪の土地でも十分です。
経営に行き詰まった経営者の多くは、新たに唐揚げ専門店へシフトすることで売り上げの減少分を賄おうとしました。
その結果、唐揚げ専門店の店舗数はこの10年で10倍にも膨れ上がりました。
"唐揚げブーム"の幻想
たしかに唐揚げは国民的な料理で元々人気だった上に、2017年頃からはちょっとしたブームになっていました。
しかし、近年の"タピオカブーム"と比べると、お店側が熱くなっていただけで、顧客側はそれほどブームになっていなかったように感じます。
つまり、需要がそれほどない状態で供給だけが一人歩きしている状態です。
大量閉店のわけ
"唐揚げの天才"はFC(フランチャイズ)店です。企業や個人がFCオーナーとなり、経営をしています。
今回"唐揚げの天才"が大量閉店しているのは、FCオーナーのうち企業がオーナーをしている店舗が一斉にFC契約を打ち切ったことにあります。
例えば、"カラオケまねきねこ"を全国に展開する"コシダカホールディングス"やバイク屋やゴルフ屋を手掛ける"株式会社アークコア"など、10店舗以上"唐揚げの天才"を営業していた企業も全店の閉店を行っています。
個人事業主のFCオーナーの場合は、人件費がかからない分ギリギリまで粘るでしょうが、社員を雇って営業していた企業オーナーの場合は、見切りが早いのは当然のことです。
"唐揚げの天才"の今後
"唐揚げの天才"の今後はさらに経営が悪化することが予想されます。
一時的とはいえ100店舗もの店舗を管理するには、本部の間接部門に相当な資金が使われているでしょう。
例えば、10店舗に1人本部のエリアマネージャーを配置するだけでも10人以上の人件費がかかります。
その他の設備や組織も100店舗営業に耐えられるように作られていたはずです。
このような状態で、新規開店もなく閉店が続いているので、新たな商品開発やテレビCMを打つ予算を確保するのも一苦労です。
また、このような報道もされているので、わざわざ沈みかかった船に乗りたいオーナーは出てこないでしょう。
まとめ:ゴールドラッシュで儲けたのはスコップ売り
しかし、『本当に儲けたのは、鉱夫たちではなくスコップを売った商人だった。』というオチがあります。
今回の"唐揚げの天才"の大量閉店も、唐揚げブームに乗っかろうとした人たちは、結局金(きん)を見つけることなくスコップを買った借金だけが残ることとなりました。
こちらの記事では、過去に唐揚げ専門店が儲かる要因について解説しています。なぜ唐揚げ専門店が乱立してしまったのかさらに詳しく分かります。