レタス農家経営は儲かる


 レタス農家は他の農業に比べて儲かりやすいビジネスです。

 最低時給を割ることも珍しくない農業の世界で、レタス農家の平均時給は約1,700円です。

 さらに、ハウスのいらない露地栽培なので、初期費用は低めです。



 ただし、価格の変動が他の作物に比べて激しく、豊作の年には赤字経営になることもあります。

 また、面積あたりの収益が低いので、高収入を目指すなら広い畑が必要になります。


 この記事では、そんなレタス農家の年収や初期費用、メリットデメリット、儲けるコツを解説します。


レタス農家の平均年収


 レタス農家の平均年収は550万円です。

 農業全体の平均年収がおよそ450万円なので、他の農業に比べてレタス農家は儲かっていると言えます。


 人を雇って大規模に経営しているレタス農家は、年収1000万円以上になることもあります。


川上村のレタス農家の平均年収は2,500万円!?

 長野県川上村はレタスの一大産地です。

 そこで働くレタス農家の平均年収はなんと2,500万円です。

 しかし、その実態は中国人実習生を過酷な環境で働かせていたことが明るみになりました。

 その受け皿となっていた"川上村農林業振興事業協同組合"は、2014年11月に解散されています。


 現在でも海外の研修生を受け入れて大規模農業をしている農家も多いですが、そのほとんどは制度を正しく使い真っ当に経営をしています。


レタス農家の初期費用


 農業の初期費用の平均額は500~600万円です。

 レタス農家は、初期費用の中で高額になりやすいハウスが不要な露地栽培なので、初期費用は平均300万円で済みます。

 トラクターを新品で購入すると500万円以上かかりますが、レンタルすることもできるので、十分な利益が出るまではレンタルがおすすめです。

 レンタル料の相場は、小型機械で一日3,000~5,000円、大型機械で一日30,000~50,000円です。


レタス農家のメリット


メリット1:時給が高い

 レタス農家のメリットはその時給の高さです。


 レタス農家の平均時給は約1,700円で、『ほうれん草』の時給820円や、『ナス』の時給1,200円と比べてもかなり高いことが分かります。

 これだけ労働生産性が高ければ、アルバイトを雇って給料を支払っても手元にお金が残るので、大規模に経営していくこともできるでしょう。


メリット2:初期費用が安い

 レタス栽培は露地栽培です。

 ハウスを建てる必要がなく広い土地があれば始められるので、初期費用を300万円以下に抑えられます。


 これがハウスが必要な『トマト農業』や『ナス農業』になると、1000万円以上の初期費用が必要になります。

 最初は、トラクター等の重機器もレンタルし、土地も経営が軌道に乗ってから大きくしていけば良いので、極力初期費用を抑える努力をしましょう。


 ただし、レタスは寒冷な気候を好む作物なので生産出来る土地が限定されていることと、面積あたりの収益性が低い作物なので広い畑を用意する必要があり、理想の土地を見つけることに苦労するでしょう。


メリット3:参入障壁が高い

 高原野菜のレタス栽培に適した気候は、寒冷で昼夜の寒暖差が激しい気候です。


 日本でレタス栽培に適しているのは、長野県茨城県西部の高原です。

 日本でこれらの環境が整っている場所は限られているので、他県の農家が気軽にレタスを作ることは出来ません。


 よって、参入障壁が高く競争多寡になることが少ないです。


メリット4:低い輸入率

 レタスは、重量や大きさの割に単価が低いことで、輸送コストが高くなりがちです。

 その影響もあり、国内に流通しているレタスの実に98%は国産のレタスです。


 輸入量が全体の2%しかないので、例え人件費や物価の安い国がレタス栽培を始めたとしても、日本国内のレタス農家が蹂躙される心配はないでしょう。


レタス農家のデメリット


デメリット1:価格の変化が激しい

 レタスは価格の変化が激しい野菜の一つです。

 豊作になり過ぎると、出荷にかかる経費が卸売価格より高くなってしまい、売るだけ赤字になる現象が起こります。

 よって、10~20年に1度はせっかく作ったレタスをトラクターで轢き潰すことがあります。


 反対に凶作の年には価格が高騰しますが出荷量が少なくなってしまうので、実はそれほど儲かる訳でもありません。

 毎年平均的な出荷量と価格をキープするのが一番レタス農家が儲かるのですが、自然を相手にする仕事のため理想通りにはいかない難しさがあります。


デメリット2:面積あたりの収益が低い

 レタスは大きさの割に価格がそれほど高くないので、畑の面積あたりの売り上げが少ない作物です。

 農作物の定番である『キュウリ』や『ピーマン』や『ナス』などは10a(アール)の畑があれば年収300~500万円を狙えますが、10a(アール)の畑にレタスを植えても年収10万円ほどにしかなりません。

 このように、狭い土地でレタスを育てても生活していけません。


 日本の国土は狭く起伏が激しいので、レタス農業に適した高原で広く開けた土地はあまり無いのが実情です。

 土地に関しては後で変更が出来ないことと収入に直結する重要な要素になるため、就農前に入念な調査をして土地選びをしましょう。


デメリット3:過酷な仕事

 レタス一つの重さは約300gです。

 料理をするときにレタスを扱うくらいなら重さを苦に感じることはありませんが、毎日中腰で地面に出来ているレタスを持ち上げているレタス農家は、足腰を悪くしがちです。

 高齢者や女性にはレタス農家の仕事は重労働と言わざるを得ません。


デメリット4:所得率の低さ

 所得率とは、売り上げに対する所得の割合のことです。

 例えば、レタスを100万円で卸して人件費や燃料代を差し引いて30万円手元に残れば、所得率30%の計算になります。

 肝心のレタスの所得率は19.1%と農業全体で見ると平均的な数値です。

 しかし、レタスと良く比較される『キャベツ』や『白菜』はどちらも所得率が約30%と高水準なため、相対的にレタスの所得率は低く見えてしまいます。


レタス農家経営のコツ


コツ1:レタス出荷額の多い場所に移住する

 他の野菜以上にレタスは作れる気候が限られています。

 レタスの都道府県別生産量ランキングは下記の通りです。


レタスの都道府県別生産量ランキング
第1位:長野県(34.2%)
第2位:茨城県(14.9%)
第3位:群馬県(8.9%)
第4位:長崎県(6.2%)
第5位:兵庫県(5.2%)


 よほど理由がない限りは、長野県茨城県に移住してレタス農家になる方が、得られる年収が大きくなります。


コツ2:広い畑を見つける

 レタス農業は、作付面積の割に収益が少ないので、広い畑がなければ大きく稼げません。


 日本の国土は狭く起伏の激しいので、広い畑が確保しにくいです。

 2~3箇所に畑が分散されていると作業効率が悪くなり、時給や年収も低くなってしまいます。


 可能なら自分が必要と考えている広さを1つの畑でカバーできる土地を探しましょう。


コツ3:JAにすべて卸す

 インターネットの発達した現在では、様々な販路が選択肢になります。

 しかし、それぞれの販路に対して細かい作業が積み重なり、労働時間の割に儲からないという現象に陥りがちです。

 特に、大きさの割に価格の安いレタスは、普通に宅配便で送ると赤字になってしまうので、独自の販路との相性はかなり悪いです。


 やはり王道のJAにすべて卸して手間を省き、レタスの生産に全力を向ける方が稼げるでしょう。


コツ4:サニーレタス/リーフレタス

 レタス農家を目指すなら、普通のレタス以外にも"サニーレタス"や"リーフレタス"も候補に上がると思います。

 それでも普通のレタスが一番需要が大きく安定的に稼げるので、"サニーレタス"や"リーフレタス"はサブの品目にすると良いでしょう。


コツ5:冬どりレタス

 レタスにも様々な品種がありますが、その多くは春や秋に収穫されます。

 しかし、レタスの需要は一年を通して満遍なく存在しているので、春や秋はレタスが余ることで価格も下落します。

 一方で、出荷量の少ない冬場には品薄状態になり、レタスの価格が高騰します。


 そこで、冬に収穫期を迎える品種のレタスを栽培することで、他のレタス農家よりも高単価で市場に卸せるでしょう。

 毎年、夏と冬のレタスの価格は1.5~2倍もの価格差が出ています。



まとめ:レタス農家は高所得で儲かる


 レタス農家は、労働生産性が高く他の農業に比べて儲かりやすいです。

 しかし、長野県や茨城県のような高原でないと作れないので、住む場所に制限がかかるのがデメリットです。

 また、できるだけ広い土地を持っている方が儲かりやすいので、土地探しには妥協せずに取り組むべきでしょう。


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