屋台の定番『綿菓子屋』は儲かるのか


 出店屋台の定番である綿菓子屋は、あらゆる飲食店の中でもダントツで『原価率』が低く、儲かりやすいビシネスです。


 飲食店の一般的な原価率が30%と言われている中で、綿菓子の原価率は驚異の3%。300円で販売されている綿菓子の原価はわずか10円です。

 また、インスタ映えする見た目から、特に若い女性に人気なのも見逃せません。


 しかし、綿菓子ブームは既に過ぎていたり、雨の日には売れないといったデメリットもあります。


 この記事では、綿菓子屋の平均年収や初期費用、メリット・デメリットの他にさらに売り上げを伸ばすコツも紹介します。


綿菓子屋の年収

 綿菓子屋の平均年収は200万円です。

 綿菓子屋だけで生活をしている人は少なく、『他の飲食店』と比べてもあまり稼げません。

 それでも、イベントに出店したり戦略的に経営しているお店は、年収300万円以上を稼げています。


綿菓子屋の初期費用

 綿菓子屋の初期費用は100万円です。

 特別な機材が必要なく狭い敷地でも営業していけるので、飲食店の中でも特に初期費用が少なく済みます。


綿菓子屋のメリット


メリット1:原価が安い

 冒頭でも述べた通り、綿菓子は飲食物の中で最も原価率の低い食べ物です。


 原料となるのはザラメ(砂糖)で、綿菓子一つ作るのに必要なザラメはたったの20gです。

 ザラメは、業務スーパーなどで1kg500円から売られており1kgで20人前作れるので、1人前の原価は10円です。


 その他にも、割り箸カップなどの包装代や、綿菓子機を動かす電気代がかかりますが、どれも安価です。


メリット2:インスタ映えする

 かつての綿菓子のイメージは、幼児向けに大きなキャラクターの袋に入っている物が一般的でしたが、現在では中高生向けにカラフルな綿菓子がメジャーになっています。


 他の食べ物では作れないような虹色の綿菓子も作れるので、インスタ映えを求めている中高生女子に人気があります。

 また、『かき氷』と違いすぐに食べる必要も無いので、『いま食欲は無いけど、なにかインスタに載せたい』というニーズを満たせます。

 購入者が自店舗の綿菓子をSNSにアップしてくれれば、タダでメインターゲットとなる女子中高生に宣伝してもらえるため、下手に広告を打つより宣伝効果は高いです。


 綿菓子や『かき氷』のようなインスタ映えするメニューは、SNSでの宣伝やアカウント運用が必須です。


メリット3:満腹感に左右されない

 ご飯を食べた後に『たこ焼き屋』を見て食べたくなる人はあまりいませんが、綿菓子なら食後のおやつとして購入されます。

 他の飲食店と競合しない分、ガッツリしたメニューより売れやすいメリットがあります。


 綿菓子屋は様々な飲食店が並ぶイベント会場にも強い商材です。

 綿菓子屋は、移動販売車を主力にして毎日各地のイベント会場に出店する戦略との相性も良いです。


メリット4:『カップ入り』は作り置き出来る

 特に屋台で出店した場合に、一つ一つ注文されてから作らなくてはならないクレープなどの商品は、行列が出来てしまい並ぶのを嫌がる客を取りこぼしてしまいます

 その点、カップに入れて作り置きしておけば、ピークの時間帯でも行列を作らずに客を捌くことが出来るでしょう。

 割り箸に盛り付けるタイプの綿菓子は、作り置きするとホコリが付いたり不衛生な印象を与えてしまうので、作り置きをするならカップや袋に入れるタイプが良いです。


メリット5:設備費が格安

 一般的な飲食店では、冷蔵庫や鉄板など厨房機器だけでも50~100万円かけるのが普通です。

 しかし、綿菓子屋に必要な設備は『綿菓子機』だけで、5万円もあれば中古でそれなりの物が購入できます。

 また、同様の理由でガスも使わず、電気代もかなり安く済みます。


メリット6:一年中売れる

 『かき氷屋』なら夏に売れ、『焼き芋屋』なら秋〜冬によく売れます。

 その点、綿菓子は一年中平均的に売れるので、一つの商材で一年中営業出来ますし、毎月の収入の増減が他の商材に比べると少ないです。

 それでもやはり綿菓子が一番売れるのは夏祭りなので、いかに夏で売り上げを積み上げておくかが経営の肝になります。


綿菓子屋のデメリット


デメリット1:砂糖=太ると思われる

 昨今ブームとなっているカラフルな綿菓子のメインターゲットは、女子中高生です。

 そして、中高生女子の98%は常に体型を気にしています。

 体型を気にする年齢の女子にとって、砂糖は太る物の代名詞となっており、綿菓子に抵抗感を持つ人もいます。

 同じ甘いものでも、『かき氷』はあっさりしているので、そのようなイメージを持たれにくいという違いがあります。

デメリット2:雨の日は見た目が悪くなる

 綿菓子は、湿度の影響をかなり強く受けます。

 乾燥している分には問題ありませんが、湿度が50%を超えてくるとベタついてしまいます。

 割り箸に盛り付けると湿気を吸って小さく縮まってしまいますし、カップに入れようとしてもベタついて綺麗に入りません。


 雨の日にも販売するなら、除湿機を稼働したキッチンで袋詰し店頭で販売するような湿気対策が必須です。


デメリット3:ブームは過ぎている

 カラフルな綿菓子がブームとなったのは、2017年頃です。

 ブームが過ぎて少し期間が経ったので時代遅れ感も薄まってきましたが、全国各地に専門店が乱立していた時代に比べると売り上げが減少しているのも事実です。

 これから綿菓子ビジネスに参入しても稼ぐことは可能ですが、複数店舗を経営して大規模に稼ぐのは難しいです。


デメリット4:参入障壁が低い

 それほど高くない綿菓子機と少しのスペースがあれば調理スキルがなくても開業出来る綿菓子屋は始めやすいビジネスです。

 しかしそのメリットはそのままライバルにも当てはまり、せっかく経営が軌道に乗ってきても急にライバル店が出現して経営が傾くリスクがあります。


 仮にライバル店が出現しても簡単に経営を傾かせないように、常連客の囲い込み新規顧客の獲得に力を入れておきましょう。


デメリット5:客単価が低い

 綿菓子屋で綿菓子を2つ買う人はほとんどおらず、9割以上の客は綿菓子を1つだけ買います。

 もし、綿菓子1つの価格を500円に設定するなら、客単価もそのまま500円になります。

 同じ甘いものでも『パンケーキ屋』なら、パンケーキにドリンクも付けて1,500円以上の客単価を目指すことも難しくありません。

 綿菓子屋でそういった工夫を行うのは難しいので、単純に客数を増やすしか取れる手立てがありません。


綿菓子屋のコツ

コツ1:SNSを活用する

 見た目にインパクトのある綿菓子とSNSの相性は抜群です。


 客がSNSにアップしたくなるような綿菓子を販売しましょう。


 また、積極的にSNSで宣伝したり、投稿してくれた客へリアクションをするのも効果的です。


コツ2:外装と内装にこだわる

 どれだけ商品が綺麗でも、お店の外観がボロボロだったら購入する気になりません。

 内装や外装を若者にウケるようにこだわりましょう。

 その他にも割り箸に指すのではなく装飾されたプラスチックの棒にしたり、綿菓子を入れるカップを可愛いものにしたりと、徹底的に見た目にこだわりましょう。

 もちろん、お店の清掃も徹底的に行います。


コツ3:積極的な接客

 『たこ焼き』や『唐揚げ』のようなお腹の空いている人をターゲットにした商品は、こちらから押し売りしていかなくても勝手に売れます。

 しかし、綿菓子はその時に絶対に食べる必要はなく、その場で買うか買わないか迷っている人も多いです。

 それらの客は、こちらから声をかけると意外にも多くの人がそのまま商品を購入してくれます。

 最初は恥ずかしいかもしれませんが、積極的に客との交流を行いましょう。


コツ4:フランチャイズ不要

 綿菓子屋にもフランチャイズ店はありますが、契約料やマージンを取られるだけなのでフランチャイズ加盟は不要です。

 そもそも特別な集客効果が期待出来るような巨大グループはありませんし、顧客としてもお店のブランドより『目の前の綿菓子がSNS映えするかどうか』の方に目が向いています。

 もう一つフランチャイズのメリットとして、経営ノウハウや材料の仕入れをバックアップしてくれる点がありますが、綿菓子屋にそれらは不要です。


コツ5:移動販売車もおすすめ

 綿菓子屋は、花火大会などのイベント会場に出店すると売り上げが爆発的に伸びます。

 せっかく浴衣を着て花火を見に来たのなら、SNSにその様子をアップしたい訳にはいきません。

 そのお供として綿菓子は選ばれやすいです。


 また、普段の生活時よりもお祭りやイベント時は財布の紐が緩みやすく、ただの綿菓子に500円以上のお金を使うことに抵抗がなくなります。


コツ6:多店舗展開は慎重に

 1店舗目の経営が軌道に乗ってくると考えるのが、2店舗目3店舗目の出店です。

 仮に1店舗目で300万円の利益が出ているなら、『2店舗で600万円3店舗で900万円・・・』と皮算用をしがちです。

 しかし、本気で取り組んでいるオーナー(自分)と、雇われている社員が同じ成果を生むことはまずなく、経営難易度は一気に跳ね上がります。

 また、市場規模の大きな『ラーメン屋』と比べると、綿菓子屋の市場規模はかなり小さいため、近隣に出店してしまうとお互いの店舗が客を取り合う現象が起こりやすいです。


 1店舗をしっかりと経営して、それでも余裕があるなら『別の飲食店』を始める方が経営の安定化に繋がります。


人気綿菓子専門店

綿菓子専門店1:Totti Candy Factory(トッティキャンディ ファクトリー)

 カラフルな綿菓子を日本中に広めた原宿竹下通りにある『Totti Candy Factory(トッティキャンディ ファクトリー)』は、ブームとなった2017年には、3時間待ちが当たり前の超人気店でした。

 現在でも営業を続けており、超巨大な綿菓子や可愛いキャンディーだけでなく、店内すべてが可愛いを感じさせるお店になっており、訪れるだけで楽しいスポットになっています。


綿菓子専門店2:京都嵐山の京綿菓子専門店『zarame(ザラメ)』

 京都嵐山にある和テイストの綿菓子屋が『zarame(ザラメ)』です。

 原材料にこだわっており、ザラメだけでなく京都の抹茶を使った綿菓子や、丹波産高級黒豆きなこを使った綿菓子など、他にはない高級な綿菓子が並んでいます。

 また、梱包にも江戸時代の美人画が描かれており、を感じられます。


まとめ:綿菓子屋は原価率の低さが魅力!


 綿菓子は、原価率の圧倒的な低さがメリットの商材です。

 近年では、カラフルな綿菓子も人気になっており、中高生のインスタに載せられることも珍しくありません。


 ただし、綿菓子だけで生計を立てていくことは簡単なことではないので、他の商材と合わせて販売したり、2店舗目には『別の飲食店』に挑戦するのがおすすめです。