夏が勝負のかき氷屋は儲かるのか?


 かき氷屋は、原価率がわずか8%の商材です。

 一般的な飲食店の原価率が30%なので、それと比べれば儲かりやすいのは一目瞭然です。

 しかし、かき氷は夏にしか売れないなどのデメリットもあります。


 この記事では、かき氷屋の年収や初期費用、売り上げを伸ばすコツなどを解説します。


かき氷屋の年収


 かき氷屋の年収は100~150万円です。


 ただしこの年収は夏の短期間に稼ぎ出しており、秋~春には別の商品を販売してさらに年収を上げることは可能です。

 人気の組み合わせとして、夏に"かき氷"を売って冬に『焼き芋』を売るサイクルは効率的に稼げるのでおすすめです。


 1つ500円のかき氷を1日100杯売り上げたとすると、5万円/日の売り上げになります。

 これを50日間営業すると、250万円/年の売り上げになります。

 かき氷の原価は1杯約25円なので、5000杯売り上げたとしても原価12万5千円です。


 その他経費を支払ってもやはり100~150万円は利益として残りそうです。


かき氷屋の初期費用


 かき氷屋の初期費用は50~100万円です。

 一般的な飲食店の開業資金が1,000~1,500万円であることと比べれば1/10以下の初期費用で開業出来ます。

 かき氷屋は狭い敷地でよくかき氷機さえあれば営業出来るので、あらゆる飲食店の中で最も開業資金を抑えられるビジネスです。

 極力中古で備品を揃えることで初期費用をさらに抑えられ、ビジネスに失敗しても借金を負わずに済む可能性もあります。


かき氷屋のメリット


メリット1:原価率が低い

 冒頭でも述べた通り、かき氷の『原価率』は8%です。

 氷の原価が15円でシロップの原価は10円。

 つまり1杯25円でかき氷は作られています。


 ただし、1杯1,000円の高級かき氷は、天然の氷でないと作れず、果物なども入っているので、原価に約500円かかっています。


メリット2:設備投資が少ない

 かき氷機と冷凍庫があれば良いので、他の飲食店に比べて初期投資が少なく済みます。

 かき氷機については、中古なら5万円もあればそれなりの物が購入できます。

 また、冷凍庫についても発泡スチロールで代用が出来るので、青果店やスーパーで貰えばタダで揃います。


メリット3:簡単なオペレーション

 かき氷機を使って注文通りのシロップをかけるだけなので、誰でもすぐに作れます。

 よって、『そば屋』や『寿司屋』のような修行期間は必要ありませんし、将来的にアルバイトを雇ってもすぐに戦力になるでしょう。


 また、注文を受けてから商品を提供するまでの時間が短く、行列が出来て客を取り逃すことがありません。


メリット4:インスタ映えする

 近年では、インスタ映えを意識したカラフルなかき氷や、可愛いかき氷が人気です。

 インスタ映えするようなかき氷には付加価値があるので、他のお店より高くても売れるようになります。

 かき氷や『綿菓子』のようなインスタ映えするような商品は、SNSでの宣伝やアカウント運用が必須です。


メリット5:老若男女がターゲット

 かき氷は古くからある食べ物で、老若男女幅広く親しまれています。

 特に高齢者は、『クレープ屋』のような若者に人気のお店を避ける傾向にあります。

 カップルや家族連れが訪れた際には、一気に2,3人前売れることもあるでしょう。


メリット6:フランチャイズ不要

 かき氷屋をお店のブランドで選ぶ人はほぼおらず、目の前のかき氷屋の看板を見て食べたいと感じてくれる人が大半です。

 フランチャイズに加盟すると、有名なお店の看板を使えるので集客効果が見込めます。

 しかし、高額な加盟料や毎月のマージンを取る会社が多いのと、色々と制約を受けることになるのでおすすめしません。


かき氷屋のデメリット


デメリット1:季節限定

 かき氷は、夏以外の季節にはほぼ売れません。

 よって、いかに夏の間に売り上げを伸ばすかの戦いになります。

 夏にはかき氷を売り、冬には焼き芋を売るなど、機動的な経営が必須です。


デメリット2:天候の影響を受けやすい

 雨の中でかき氷を食べようとしても、氷に雨が降り注いでしまい不衛生です。

 そんなかき氷を食べたい人はいないでしょう。

 そもそも雨の日は、晴れた日に比べて気温も低いのでかき氷を食べたいと感じる人も少ないです。


 夏の短い間しか稼げない上に天候の影響も受けてしまうので、かき氷屋は安定して稼ぐことが難しいです。


デメリット3:客単価が低い

 かき氷屋は客単価が低い商売としても知られています。

 『カフェ』ならサンドイッチとソフトドリンクをまとめ買いしたり、『焼き鳥屋』ならおつまみとビールをまとめ買いしてくれることはあります。

 しかし、かき氷屋ではかき氷が単品で売れるだけであり、客単価をそれ以上にすることは不可能です。


 客単価が低い分、多くの客数が必要になるので、海の家やお祭り会場など集客力のある場所に出店しないと利益を伸ばすのは難しいでしょう。


デメリット4:参入障壁が低い

 高い初期投資や難しい専門知識のいらないかき氷屋は、誰でも手軽に始められるビジネスです。

 しかし裏を返せば、ライバルが参入してくる可能性が高いビジネスとも考えられます。


 せっかく安定して稼げるようになったとしても、突如隣にライバル店が出店すれば、売り上げは半減します。

 そうならないためにも、SNS集客に力を入れたり、他店との差別化戦略を考えておく必要があるでしょう。


デメリット5:差別化しにくい

 かき氷は、氷にシロップをかけるだけの食べ物なので、どの店も同じ見た目と味になります。

 高級路線のお店では、かき氷を氷山のように高く積み上げたり果物を盛り付けたりと差別化を行っていますが、それくらいしか行えることがないので結局似たような見た目に落ち着きます。

 本来なら、飲食店で差別化出来ないのは大きなデメリットになりますが、多くの客が求めるのは"普通のかき氷"なので、『他の飲食店』に比べるとそれほど大きな影響はありません。


かき氷屋のコツ


コツ1:『安いかき氷』か『高級かき氷』のどちらが売れるか

 水道水を冷凍庫で凍らせた氷とシロップをかけただけの昔ながらの安いかき氷のお店と、天然水を自然に凍らせた氷を使いフワフワ感のある氷にフルーツを盛り付けた高級なかき氷のお店。

 どちらのお店も一長一短で、どちらが儲かるのかは経営者次第です。


コツ2:お祭りや海の家が儲かる

 かき氷屋を屋台や移動販売車で行う場合の主な出店場所は、お祭り海の家です。

 夏の短い期間に一気に売り上げを稼がなくてはならないので、事前にスケジュールをしっかりと組んで場所を抑えておかないと、営業できない日が出てしまうでしょう。 

 これらの場所が儲かることは誰の目にも明らかなので、ライバル店との場所取り合戦が起こりますが、もし一等地を確保出来れば1日で1ヶ月分の利益を生み出すこともあります。


コツ3:かき氷機は電動タイプにする

 かき氷機は手でハンドルを回す手動タイプ電動タイプがあります。

 確かに手動タイプの方がエンターテイメント性があるかもしれませんが、電動の方が素早く提供出来るので、客を待たせなくて良いですし、注文が集中しても行列を作らず捌けます。

 行列が出来てしまうと、繁盛感が演出されるメリットもありますが、並ぶのを面倒くさがる客を取りこぼすことになるので、かき氷機は電動タイプがおすすめです


コツ4:清潔感

 海の家やイベント会場にも出店することの多いかき氷屋だからこそ、清潔感はとても大切です。

 特に女性はお店の清潔感をよく見ており、少しでも不衛生を感じたらそこで食べ物を買いません。

 かき氷にホコリや虫がついていたらクレームにも発展するので、お店の清掃はマメに行いましょう。


コツ5:サイドメニュー

 かき氷屋は、手軽に始められるメリットがありますが、単一の商品だけを扱うので売り上げを伸ばしにくいデメリットがあります。

 そこでサイドメニューとして、ターゲット層が同じで初期費用のかからない商品を扱うことがおすすめです。

 若者をターゲットにしており、大型設備が必要のない商品の『タピオカドリンク』『スムージー』、5万円ほどの綿菓子機が必要な『綿菓子』あたりが手軽でおすすめです。

 『クレープ屋』もおすすめですが、場合によってはガス設備が必要なことと、クレープを焼く練習も必要なので、少しだけ参入障壁が高いです。


コツ6:多店舗展開

 1店舗だけでは年収300万円前後に落ち着いてしまいますが、2店舗目3店舗目と店舗を増やしていければ年収500万円700万円と増えていく可能性があります。

 しかし、一人で行っていた時よりも人材管理を始めとした手間が増えるので、人によっては手間が増えるだけで収入が増えないといったケースも起こり得ます。

 また、かき氷屋のみだと夏の間にしか仕事がないので、『他の飲食店』も始めたりと事業規模が無計画に膨らみがちです。


まとめ:かき氷屋は儲かる


 かき氷屋は、原価が安い分儲けやすいビジネスです。


 短かい夏の間にどれだけ売れるかが大切なので、シーズン中は無休で働き続ける覚悟が必要です。

 また、近年のSNSブームのことを考えると、SNSに投稿したくなるような見た目の派手さがあるとさらに売り上げを伸ばせます。

 その他にも、『タピオカドリンク』、『スムージー』、『綿菓子』、『クレープ屋』あたりのかき氷屋と相性の良い商品も合わせて販売すると良いでしょう。


 もし、飲食店経営に興味がある方は、『他の飲食店』も検討してみることをおすすめします。