なぜ立ち食いそば屋は儲かるのか?


 ビジネス街や駅ナカで見かける立ち食いそば屋は、手軽に素早く食事を済ませたいサラリーマンの強い味方になっています。

 値上げラッシュが続く今でもかけそばが1杯300円台となっており、こちらもサラリーマンに支持されている要因のひとつです。


 しかしこの記事を読んでいる方は、1杯300円台で本当に利益が出ているのか不思議に思っているはず。

 実際に計算してみると、立ち食いそば屋は結構儲かるビジネスであることが分かります。

 そこでこの記事では、なぜ立ち食いそば屋が儲かるのかを具体的な数字を交えて解説します。




立ち食いそばの原価率


 安さが重要な立ち食いそばは、その原価も安いです。

 1杯300円台のそばなら、その原価は60~80円ほど。その原価率は20~30%です。

 一般的な飲食店の原価率は30%が目安とされているので、立ち食いそばの原価率はやや低めであるといえます。


 しかし、いかに原価率が低くても光熱費や家賃などを考えると、かけそば1杯の利益は数十円。もし利益が30円なら一日300杯売ってようやく9,000円の利益になります。



マクドナルド方式で利益額アップ


 そこで重要になるのが、立ち食いそば屋のサイドメニューです。

 どのお店にも、天ぷらやおにぎり、カレーなどそば以外のメニューが置かれています。

 それらは、総じてかけそばよりも原価率が低く設定されおり、サイドメニューを頼んでもらい、1人当たりの利益額を30円から100円に上げることが出来れば、300杯も売らなくてもわずか90杯で9,000円の利益になります。


 このメインメニューの安さで集客してサイドメニューで稼ぐ方法で世界的な大企業になったのがマクドナルドです。

 1つ150円のハンバーガーの原価は約70円。その原価率は約45%で、これだけを注文されてしまうと赤字になります。

 しかし、一緒に頼まれるポテトは原価率は約5%。ドリンク種類によって3~5%ですが、なんとコカ・コーラについては無償提供されているので、原価0円。

 これらのサイドメニューを一緒に頼んでもらうことで、マクドナルド社は大きな利益を生み出し続けています。


高い回転率の立ち食いそば


 立ち食いそばのもう一つの特徴は、高い回転率です。


 『平均滞在時間が2時間のコース料理』と『平均滞在時間15分の立ち食いそば』があり、コース料理1人前の利益が1,000円で、立ち食いそば1人前の利益が200円とすると、8時間の1座席あたりの利益は下記のようになります。

・『コース料理』1,000円×4人=4,000円
・『立ち食いそば』200円×32人=6,400円

 あくまで机上の空論ですが、回転率が高いほど1人あたりの利益が小さくても儲かることが分かります。


 この高い回転率を維持するために、ランチタイムの立ち食いそば屋では注文が入る前からそばを茹で続けていたり、食券機を導入してお金のやり取りの手間を省いたりと細かい工夫が詰め込まれています。


狭い立地も経営に有利に


 立ち食いそばのもう一つのメリットは、店舗面積が狭くてもよいことです。

 店舗面積が狭いことで賃料が安くなりますし、駅ナカや賃料の高い都心部にも出店可能です。

 一般に立ち食いそば屋の店舗面積は5~15坪ほど、普通の飲食店が30~50坪であることと比べてもかなり狭い面積で良いことが分かります。


まとめ:立ち食いそば屋は"低原価"と"高回転"で儲ける


 立ち食いそば屋は、サイドメニュー戦略によって低い原価率を、食券機などの工夫で高い回転率になることで、儲かりやすいビジネスになっていることが分かりました。

 これからビジネスを始めようと考えている方は、そのビジネスの仕入原価や回転率を考慮することで、儲かりやすいビジネスなのか儲かりにくいビジネスなのか推定できるでしょう。

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