たい焼き屋は儲かるのか
わずか5坪で営業することも可能なため、スーパーの入り口で良く見かけます。
たい焼き屋のメリット
メリット1:小スペースで開業できる
たい焼き屋の最大のメリットは、”超小スペース”で開業できることです。
わずか5坪(10畳)あれば営業できるので、人通りが多いけど狭くて賃料が格安になっているような物件も選択肢に入ります。
メリット2:初期費用が安い
メリット1でも述べた通り、狭い敷地で営業できるので、毎月の賃料も安くなります。
また、設備も冷蔵庫と鉄板があれば良いので、様々な厨房機器が必要な居酒屋やラーメン屋などと比べると初期費用はかなり抑えられます。
飲食店の開業費用が平均して1000万~2000万円必要なことと比べて、たい焼き屋なら500万円もあれば余裕を持った開業を行えます。
メリット3:調理が簡単
焼き加減で多少の味や食感の差は出ますが、たい焼きは調理が簡単な商品です。
1週間も練習すれば、それなりの品質のたい焼きを作れます。
メリット4:原価率が低い
使う小麦粉やあんこの種類にもよりますが、たい焼き1匹の原価は約30円です。
これを1匹150円で販売すると、その原価率は20%。
もし、販売価格を1匹120円にするなら、限界率は25%になります。
メリット5:幅広い支持層
たい焼きは1909年(明治42年)に発明されたと言われています。
それから100年以上国民に愛されてきた歴史があるので、子供だけでなくお年寄りも好んで買ってくれます。
タピオカのような流行食は、どうしてもお年寄りが避けてしまうので、たい焼きの支持層の広さはメリットになります。
たい焼き屋のデメリット
デメリット1:廃棄率が高い
たい焼きは、5~6分ほど弱火にかけて焼き上げます。
注文されてから焼いていては、客を5分以上立ったまま待たせることになるので、普通は事前に焼いておき、保温ケースに入れて販売します。
しかし、たい焼きはすぐに味や食感が劣化してしまう食べ物で、多くのお店は20分経つと廃棄しています。
このように、長い調理時間と短すぎる賞味期限のせいで、たい焼き屋は常に作って捨ててを繰り返しています。
よって、廃棄率はその他の飲食店と比べても圧倒的に高いです。
デメリット2:客単価が低い
たい焼き1つの価格は150円ほどです。
たとえ家族用に3つ買ってくれても、たったの450円の売り上げにしかなりません。
また、たい焼き屋でドリンクやサイドメニューを買う人はかなり少数のため、客単価は相当低くなります。
もし先程の例のように、平均して1人3つたい焼きを買ってくれたとしても、客単価は450円。
1日30,000円を売り上げ目標とするなら、67人の客に200個のたい焼きを売る必要があります。
デメリット3:差別化がしにくい
たい焼きの差別化やブランド化戦略は、後述の通り存在はしています。
しかし、スーパーの軒先で販売するような"普通のたい焼き"については、差別化の方法がありません。
使う材料にこだわったとしても、その違いを顧客が感じられなければ、それはただの自己満足にしかなりません。
たい焼き屋のコツ
コツ1:立地がすべて
"31アイスクリーム"や"タピオカ屋"を目当てに買い物に来る人はいるでしょうが、わざわざ『あそこのたい焼き屋に行こう!!』とたい焼き屋が目的になることはまずありません。
たい焼きを買う人の10人中9人は、他の買い物のついでにふと目に入ったたい焼きを"ついで買い"しているだけです。
よって、たい焼き屋は人通りの多い所を選んで出店しなければなりません。スーパーの入り口にたい焼き屋が多いのは理にかなっています。
繰り返しになりますが、たい焼きはあくまでサブイベントであって、メインイベントにはならないので、立地選びは謙虚に行いましょう。
コツ2:普通のたい焼きが一番
夢や情熱を持ってたい焼き屋を始めると、『いちご味のたい焼きを作ってみよう!』だとか『高級なあんこを使って世界一美味しいたい焼きを作ろう!』と変わったたい焼きを作ろうとしがちです。
しかし、顧客がたい焼き屋を視界に入れた時に感じるのは、『(自分の脳内でイメージする)いつものたい焼きが食べたい!』です。
商売の鉄則である顧客の求めるものを販売することを考えれば、普通のたい焼きを少しでも美味しく焼き上げることが求められます。
コツ3:種類を増やさない
売り上げを伸ばす方法としてまず思いつくのは、商品の種類を増やすことです。
たい焼き屋においては、中のあんをカスタードにしたり、抹茶にして商品のレパートリーを増やしているお店もあります。
しかし、"デメリット1"でも述べた通り、たい焼きは廃棄率が異様に高いです。
商品の種類を2倍3倍と増やしていくと、廃棄量も2倍3倍に増えていきます。
たい焼き屋で商品の種類を増やす施策は諸刃の剣であることを覚えておいてください。
たい焼きのブランド化戦略
ケース1:白いたい焼き
2009年頃にブームとなった白いたい焼きは、昨今のタピオカ屋のように急激に専門店が乱立して、数年で廃業していきました。
焼いても皮が白いのは、タピオカを生地に混ぜているからです。
生地にタピオカを混ぜているので、モチモチした食感も人気の秘密となっていました。
ケース2:羽根付きたい焼き
『たいやき神田達磨』で販売されているたい焼きには、餃子の羽根のようにたい焼きに羽根がついています。
羽根のパリパリした食感と身の部分のもっちりした食感が楽しめる人気商品です。
ケース3:賞味期限1分のたい焼き
賞味期限がわずか1分のたい焼きが京都・嵐山に販売されています。
『まめものとたい焼き』という変わった名前のお店に売られているたい焼きは、見た目の可愛さも評判になっていますが、"賞味期限1分"という話題性も人気を牽引しています。
京都本店の他にも、2022年11月に東京のサンシャインシティにも出店しています。
1つ300円とやや高級ですが、行列が出来るほどの人気店です。
ケース4:クロワッサンたい焼き
『クロワッサンたい焼き』は、"銀だこ"の姉妹店である"銀のあん"で販売されているクロワッサン生地のたい焼きです。
クロワッサンのサクッとした食感が人気で1つ240円で販売されています。
ちなみに、株式会社ホットランドは、"銀だこ"、"銀のあん"だけでなく、歌うアイス屋さん"コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン"を子会社化の後、吸収したことでも知られています。
まとめ:たい焼き屋は立地で決まる
たい焼きは単価が低く、差別化も難しいので、いかに人目につく場所に出店してついで買いをしてもらうかが肝です。
また、変わったたい焼きを販売したくなる気持ちも分かりますが、顧客が求めているのはいつもの変わらないたい焼きであり、種類を増やすと廃棄量も増えてしまうので、あまりおすすめしません。
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