里芋農家は儲かる


 里芋は栽培の手間がかからないので、時給換算すると儲かる作物です。

 また、初期投資のかからない露地栽培なので、比較的低予算で始められる農業です。


 しかし、地中に出来る作物なので収穫には労力がかかりますし、栽培期間が6~7ヶ月と長くその間畑を占領されてしまうので、狭い土地しか持たない農家にとっては、回転率が悪く儲けにくい作物です。


 この記事では、里芋農業の年収や初期費用、メリットデメリットや売り上げを伸ばすコツを解説します。



里芋農家の平均年収


 里芋農家の平均年収は400万円です。

 これは、年収300万円以下が40%を占める農業において、稼げる部類に入ります。

 里芋は他の野菜に比べて手間がかからないので、それも加味すれば効率的に稼げる野菜とも言えるでしょう。

 手間がかからない分だけ、他の作物も並行して栽培することも可能で、そのような農家の年収はさらに高くなるでしょう。



里芋農家の初期費用


 里芋は、ハウスのいらない"露地栽培"なので、初期費用も安く抑えられます。

 また、キャベツやレタスのように広大な土地を必要としないので、土地に対する初期費用もそれほどかかりません。


 合計しても150~300万円あれば、里芋農家になれるでしょう。



里芋農家のメリット


メリット1:水はけの悪い畑が好み

 水はけの悪い畑とは水分を排斥する能力が低い畑を指し、長時間湿った状態が続くので農作物の栽培に適さないことが多いです。


 しかし、里芋はそんな水はけの悪い畑を好みます。

 よって、里芋は水はけの悪い畑を持っていて他の作物が育てられない農家に人気の作物でもあります。


メリット2:栽培の手間がかからない

 里芋は、放置していても育つ野菜です。

 10a(アール)あたりに必要な労働時間は、わずか190時間です。

 家庭菜園でも人気のミニトマトきゅうりナスは同じ10a(アール)あたりの労働時間が1,000時間を超えます。

 これらの野菜と比較するといかに里芋栽培が手間のかかならいものかが分かるでしょう。


メリット3:利益率が高い

 里芋は利益率が高い作物としても有名です。

 (経費÷粗利益)で求められる利益率は、このようになります。

里芋 63%
・キャベツ 46%
・ミニトマト 44%
・にんじん 44%

 他の野菜の利益率が40%台なのに対して63%の利益率は破格です。


メリット4:種代がかからない

 里芋は、一つの種芋を植えると、一つの親芋が出来あがり、その親芋の周りに複数の子芋、その周りに孫芋・・・と変わった成長の仕方をしています。

 そして収穫した親芋や子芋は、翌年の種芋として利用出来るので、二年目以降は種代を0円にすることも可能です。


メリット5:収穫可能期間が長い

 トマトやきゅうりは、1日収穫が遅れるだけでも巨大化したり割れたりするので、果実が出来たらすぐに収穫しなければなりません。

 それと比べて里芋は、しばらく収穫せずに放置していてもすぐに痛むことはありません

 それでも里芋は寒さに弱いので、霜が降りるようになるまでには収穫するようにしましょう。



里芋農家のデメリット


デメリット1:収穫は手作業

 栽培には手間のかからない里芋ですが、収穫は一つ一つ手作業で掘って収穫しなければならないので手間がかかります。

 中腰で一日中収穫を続けるので、足腰を悪くする農家も多いです。


デメリット2:回転率が悪い

 里芋の栽培期間は、6~7ヶ月です。

 その他の野菜の栽培期間は、トマトきゅうりなら4ヶ月二十日大根なら2ヶ月です。


 この栽培期間は畑の占領期間でもあるので、4ヶ月で作れる野菜なら一つの畑で年間3種類の野菜を栽培出来ますが、6ヶ月かかる野菜なら年間で2種類の野菜しか栽培出来ません。


 土地をあまり持たない農家にとっては、この回転率の悪さは年収に直結します。

 反対に広い土地を持っているなら、手間のかからない里芋をサブで栽培するのもありです。



里芋農家の工夫


工夫1:価格が高騰する12月に出荷する

 里芋は11月頃に収穫されて、翌年の4月頃まで出荷時期をずらしたり貯蔵しながら販売されています。

 作物は旬の時期に大量に生産されるので安価になります。

 しかし、里芋に関しては年末年始の縁起物としての需要もあり、旬の最中の12月に価格が高騰します。


 里芋は収穫時期をずらすことが出来るので、この12月に出荷する分を残しておくようにしましょう。


工夫2:他の作物と一緒に栽培する

 里芋は他の作物に比べると、手をかけなくても成長してくれる作物です。

 栽培期間中の手間がかからない分だけ他の作物を並行して栽培すると、手持ち無沙汰になることもなく、収入も上がります。


 他の作物を作るくらいなら里芋を2倍の量栽培すれば良いと考えるかもしれませんが、里芋の栽培には手がかからないものの収穫には他の作物以上の労働力が必要です。

 里芋だけを栽培していると、収穫期の労働力が収穫量を超えてしまい、収穫出来ずに腐らせてしまう可能性があります。

 よって、里芋の収穫時期である9月~11月頃にあまり手のかからない作物と並行して栽培する方が効率的です。



まとめ:里芋は手間がかからず高収入が狙える


 里芋は、栽培の手間がかからないので収益性の高い農業が行えます。

 また、水はけの悪い畑を好むので、他の作物が育たない土地も有効活用出来ます。


 注意点として、栽培に手間はかからないものの、地中に埋まっている里芋を収穫するのは時間のかかる作業になるので、里芋だけで農業をすると収穫しきれずに里芋を腐らせてしまうかもしれません。

その他の農業については、『夢の田舎生活『農業』は儲かるのか?儲かる農業12選を紹介!!』で解説しています。