白菜農家は儲かる


 白菜農業は、広い畑が必要になるものの労働生産性が高く儲かりやすい農業です。


 また、初期費用も抑えられるので、初心者にもおすすめの農業です。

 しかし、面積当たりの収益性が低いので広大な畑が必要になる点や、価格変動が激しく収入が安定しないデメリットもあります。


 この記事では、白菜農家の年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。


白菜農家の年収


 白菜農家の平均年収は150万円と少なめですが、3~4ヶ月で栽培出来るので他の農作物と合わせて生産していることがほとんどです。

 残りの8ヶ月でさらに1~2種類の野菜を栽培すると、年収が会社員の平均年収よりも高くなっていきます。



 また、白菜は労働生産性が高く、時給に換算すると1,300円となります。

 最低時給を割ることの多い農業でこの時給はかなり高いと言えます。


白菜農家の初期費用


 農業を始めるにあたり、露地栽培か施設栽培かで初期費用が大きく異なります。

 露地栽培なら150~300万円施設栽培なら500~1000万円が目安となります。


 白菜は露地栽培なので、150~300万円の初期費用で始められます。


白菜農家のメリット


メリット1:回転率が高い

 白菜はわずか4ヶ月で栽培出来る回転率の高い野菜です。


 栽培に6ヶ月かかる作物なら1年で2種類の野菜しか出荷出来ませんが、4ヶ月で出荷出来る野菜なら3種類の野菜を出荷出来ます。

 よって、単純計算で6ヶ月かかる野菜よりも1.5倍多く稼げることになります。


メリット2:時給が高い

 白菜は労働生産性が高く時給に換算すると1,300円になります。


 『ミニトマト』の時給は610円、『ほうれん草』の時給は820円なので、白菜の時給1,300円がかなり高いことが分かります。

 これだけ時給換算が高ければ、アルバイトを雇って大規模に経営しても利益が残りやすいので、大規模経営の選択肢を取れるというメリットもあります。


メリット3:消費量が多い

 白菜は日本人に馴染みの野菜です。

 実際に厚生労働省の調査による野菜の消費量ランキングでは第4位に白菜がランクインしています。


1日の野菜消費量ランキング
1位:だいこん 33.8g
2位:たまねぎ 31.6g
3位:キャベツ 26.9g
4位:白菜 21.3g
5位:ニンジン 20.4g


 安定した消費量がある白菜は、安定して儲けるのに適した野菜と言えます。

 特に、冬の鍋シーズンになると消費量が増える傾向にあります。


メリット4:所得率が高い

 所得率とは、出荷金額に対する所得の割合を表す数値です。

 例えば、100万円分の白菜を出荷して最終的に30万円が手元に残れば、所得率は30%となります。

 白菜は、この所得率が31%と農業全体で見ると高水準です。


メリット5:輸入率が低い

 白菜は、大きさや重さの割に単価が低いため、他の作物よりも輸送コストが高くなりがちです。

 その影響もあり、白菜の国内自給率は98%もあり、白菜の輸入品はたったの2%です。

 よって、海外情勢の影響を受けにくかったり、今後も急激に輸入率が高まる心配もなく、安定定期に稼げます。


メリット6:指定野菜

 日本国内でよく消費される14品目の野菜は、農林水産省から"指定野菜"に指定されています。

 また、指定野菜を多く出荷している地域は"指定産地"に指定されます。


 指定野菜を指定産地で生産している農家は、その野菜の価格が基準価格以下に値下がりした際に保証金を受け取れます。


 白菜も、この指定野菜に指定されているので、白菜農業が盛んな地域で農業を行えば保証金を受けて安定的に稼げるようになります。


白菜農家のデメリット


デメリット1:価格が変動しやすい

 白菜は価格が変動しやすい作物の一つです。

 白菜が不作の年は価格が高騰するので損失も限定的ですが、豊作になり価格が下落すると梱包や輸送コストの方が高くなり、売れば売るだけ赤字になります。

 売っても損をするだけなので、豊作の年にはせっかく作った白菜をトラクターで轢き潰していくこともあります。


デメリット2:面積あたりの収益額が低い

 白菜は、主要な野菜の中で最も面積あたりの収益額が低い野菜です。

 白菜の10a(アール)あたりの利益はわずか12万円で、『ピーマン』の90万円や『きゅうり』の120万円などと比べるとかなり低いことが分かるでしょう。

 よって、白菜で大きく儲けるのなら大きな畑が必要です。


 1ha(ヘクタール)の畑があっても年収120万円。

 9ha(ヘクタール)の畑があってようやく年収1000万円を超えてきます。

 これは東京ドーム2個分の広さで、それだけの広さの白菜を収穫すると考えると現実的ではありません。


デメリット3:重労働

 白菜は、最も重い野菜の一つで、1玉の重量は平均2.0kgもあります。

 料理のために1つ2つを扱うくらいならさほど苦になりませんが、収穫の為に1日1000個も持ち上げれば体が悲鳴を上げるのも容易に想像できます。


 現在では一部の作業を機械化している農家もいますが、それでもやはり大部分は手作業で行われています。

 1つ2kgという重量は白菜農業の大きなデメリットになるでしょう。


白菜農家のコツ


コツ1:広い畑を見つける

 白菜だけでそれなりの収入を目指すなら広い畑が必要です。


 しかし、日本の国土は狭く起伏が激しいので、1つの畑で満足のいく広さを求めるのは難しいかもしれません。

 畑があちらこちらに点在していると、一つ一つの作業に移動の手間がかかってくるので非効率になります。


コツ2:アルバイトを雇う

 白菜農業は、栽培中はそれほど手がかからず収穫時に大きな労働力が必要になります。


 よって、収穫期だけアルバイトを雇えると広い畑で大規模に経営しても業務をこなせます。

 アルバイトとして人が集まらないときには、"農業体験"や"お土産付きボランティア"など違った視点から人を集める方法もありです。


コツ3:他の農作物と組み合わせる

 白菜と相性の良い"コンパニオンプランツ"は、『ネギ』や『ナス』や『レタス』や『にんじん』です。


 白菜も春蒔きと秋蒔きを組み合わせつつ、これらのコンパニオンプランツも組み合わせることで、労働力の分散とリスク分散になるでしょう。


まとめ:白菜は広い畑で稼ぐ


 白菜は面積当たりの収益額が低いので、生活をしていくだけの収入を得るには広い畑が必要です。


 しかし、一度芽が出れば手間がかからない野菜なので、労働生産性が高い特徴もあります。

 それを活かすためには広い畑で大規模に経営して、収穫期にだけアルバイトを雇えるのが理想です。


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