パスタ屋は儲かる
しかし、客単価が低い点や調理の手間がかかる点もあり、誰でも簡単に儲かるビジネスではありません。
この記事では、パスタ屋オーナーの年収や初期費用、売り上げアップのコツなどを解説します。
パスタ屋の年収
会社員の平均年収より高いですが、飲食店の廃業率は高く、10年後に生き残っているお店は全体の10%と言われています。
その生き残った10%の平均年収が500万円だと考えると決して高い金額ではありません。
パスタ屋の初期費用
主な金額はこちらの通りです。
パスタ屋の初期費用
・物件取得費(家賃の10ヶ月分)250~350万円
・改装費 500~800万円
・厨房設備費 200万円
・その他備品費 200万円
・合計 1,150~1,550万円
その他にも最初の1年は赤字でも生活できるだけの生活費も必要になるでしょう。
パスタ屋のメリット
メリット1:原価率が低い
パスタは、主な原料が安価な小麦なので原価の安い食べ物です。
その『原価率』は、メニューによって大きく変わりますが15~25%です。
特に、ペペロンチーノの材料は、ニンニク、オリーブオイル、唐辛子だけなので、かなり安価に作れます。
反対に、海鮮や野菜を多く使うメニューは『原価率』が高くなります。
ただし、『原価率』の低いものだけでメニューを作っても、繁盛するお店にはなりません。
大切なのは、メニュー全体のトータルの『原価率』をコントロールすることです。
メリット2:弱い大手チェーン
パスタ屋は大手チェーンがそれほど強くありません。
『ラーメン屋』の最王手"餃子の王将"は全国に約750店舗を展開していますが、パスタ屋の最王手"ジョリーパスタ"はその半分以下の約300店舗です。
大手パスタ屋の店舗数
・ジョリーパスタ 約300店舗
・洋麺屋五右衛門 約200店舗
・鎌倉パスタ 約200店舗
・ポポラマーマ 約100店舗
・カプリチョーザ 約100店舗
・洋麺屋五右衛門 約200店舗
・鎌倉パスタ 約200店舗
・ポポラマーマ 約100店舗
・カプリチョーザ 約100店舗
大手ラーメン屋の店舗数
・餃子の王将 約750店舗
・リンガーハット 約600店舗
・幸楽苑 約400店舗
・日高屋 約400店舗
・大阪王将 約350店舗
個人経営の飲食店の強力なライバルとなる大手チェーンが他の飲食店に比べればそれほど強くないので、近くにパスタ屋さんが無い場所を見つけて出店することも難しくありません。
メリット3:男女に人気
『ラーメン屋』や牛丼屋の客は、8割以上が男性と言われています。
反対に甘味処やスイーツ店は、8割以上が女性客が占めています。
一方で、パスタ屋はやや女性客の方が多いですが、男女共に人気のお店です。
男性のみや女性のみをターゲットにしたお店に比べて、単純に2倍の集客力があるので儲けやすいです。
また、お店のコンセプト次第では、デートでも利用されやすいのもメリットでしょう。
メリット4:インスタ映え
若い女性にも人気のパスタだからこそ、インスタ映えを意識したメニュー作りが効果的です。
インスタをはじめとしたSNSで取り上げられれば無料で集客が出来るので、広告費を節約することにも繋がります。
SNSでバズっている投稿を参考にして、普段見慣れている『コンビニ』のパスタとの差別化を図りましょう。
メリット5:テイクアウト需要に対応
その点でパスタは、スープや出汁がないので汁が溢れたり麺が伸びたりせず、テイクアウトに対応しています。
このように、テイクアウトに対応しているだけでも簡単に『他の飲食店』との差別化が図れます。
メリット6:ワインで客単価アップ
パスタ屋のディナータイムにはワインの注文が入ります。
日本人はあまりワインを飲まず、自宅にワインを所有している人は少ないです。
そのような人がパスタ屋に来て、普段あまり飲まないワインを飲みたいと考えるのは自然なことです。
お店の質にもよりますが、グラス500~1,000円くらいのワインなら手軽に注文してもらえます。
そうなれば、客単価1,000円以上を目指すのも難しくないでしょう。
パスタ屋のデメリット
デメリット1:低い客単価
パスタ屋の平均客単価は800円ほどです。
パスタは単品で頼まれることが多く、大手パスタ屋はサラダやドリンクのセットメニューを打ち出して少しでも客単価を上げる努力をしています。
デメリット2:調理の手間
『ラーメン店』なら、事前にスープの仕込みをしておけば、麺を茹でて器に麺と具材とスープを盛り付けるだけでラーメンが出来上がります。
しかしパスタの場合は、麺を茹でるだけでなく、具材やソースを炒めたり麺とソースを絡めたりと調理が複雑で時間がかかります。
また、具材やソースの炒める時間や熱し方で味も変わってしまうので、アルバイトに厨房を任せてしまうと閉店に追い込まれるでしょう。
デメリット3:低い回転率
同じ座席数でも客の回転率が高い方が多くの客を捌けるので、儲かりやすいです。
"いきなりステーキ"が繁盛した理由は、この回転率にこだわり立ち食い形式にしたことがあげられます。
そんな中でパスタ屋は、調理にもやや時間がかかり、客もゆっくりと会話をしながら食べることが多いので回転率が悪いです。
『客単価×回転率=売り上げ』と考えると、客単価も低く回転率も悪いパスタ屋は、儲かりにくいビジネスであるとも言えます。
デメリット4:高い調理スキルが必要
『ラーメン屋』はスープのストックを作っておけばアルバイトでもお店を回せると言われています。
しかし、パスタは作る人の腕による味の差が出やすく、アルバイトだけで厨房を回すのは不可能です。
1店舗だけを経営していくのなら自分が調理をすれば問題ありませんが、2店舗目3店舗目と多店舗展開を考える際に、調理スキルを持った人員を確保するのに苦労するでしょう。
つまり、パスタ屋は多店舗展開との相性が悪いです。
デメリット5:差別化が難しい
パスタ屋は、やや差別化の難しい飲食店です。
『居酒屋』なら創作料理で差別化したり、"駄菓子屋居酒屋""監獄居酒屋"のようなコンセプトを持たせることで個性的なお店も作れます。
パスタ屋も調理スキルの差で味に大きな差が出ますが、"カルボナーラ"や"ペスカトーレ"などメニューに違いはありません。
メニューやコンセプトで大胆に差別化しにくいので、美味しいパスタを作る努力や店内の清掃など、細かな所で客の心を掴まなければなりません。
パスタ屋のコツ
コツ1:メニューごとの原価率を意識する
パスタはメニューごとに原価が大きく異なります。
ニンニクと唐辛子を絡めるだけのペペロンチーノは、原価80~100円で作れます。
反対に海鮮類やきのこ類の多く入っているパスタの原価は高くなります。
『原価率』の高いものと低いものを上手くメニューに組み入れて、全体の原価率が25~30%になるのが理想です。
コツ2:ライバルのいないエリアに出店
よって、市場調査をしっかりと行い、人通りが多くパスタ屋が無いエリアに出店出来れば、近隣のパスタ需要を独り占めして売り上げを伸ばせます。
コツ3:オリジナルメニューを開発する
オリジナルメニューは、そのお店でしか食べられないので、固定客の獲得に繋がります。
オリジナルメニューとは言っても、近隣のパスタ屋を調査して展開されていないメニューがあれば、それを自店舗で販売する程度でも戦略としてはありです。
2~3種類くらいオリジナルメニューがあれば、他店舗との差別化戦略になるでしょう。
コツ4:SNS映えを意識する
近年では、注文した料理を写真にとってSNSに上げる風潮があります。
大きめの具材にしたり食器を厳選したりと、SNS映えするような料理を提供しましょう。
客がSNSにお店の商品を載せてくれれば、タダで宣伝になります。
その他にも、お店の外観や内装もいつ写真をとられても良いように衛生面にも気を使いましょう。
コツ5:ランチとディナー
飲食店の一番稼げる時間帯は間違いなく"ランチタイム"と"ディナータイム"です。
本格的に稼ぎたいなら、この時間帯はどちらも営業するべきでしょう。
また、一般的に"ランチタイム"は低価格な商品を短時間で食べる人が多く、"ディナータイム"は高価格な商品をゆっくり食べる人が多いです。
それらの特徴を踏まえて、"ランチタイム"にはお得なセットメニューを、"ディナータイム"にはちょっと贅沢なメニューとお酒類を展開すると良いでしょう。
コツ6:ピザ
パスタ屋の経営が軌道に乗ってきたのなら、『ピザ』もメニューに加えて"イタリアンレストラン"に進化する経営方法も選択肢に入ります。
ただし、パスタと『ピザ』はまったく作り方が違い、専用の窯も必要になったり調理スキルも磨き直さないといけないなど、手軽に手を出せるものではありません。
それでも、今まではパスタを食べたい人しか集められなかったお店が、パスタか『ピザ』のどちらかを食べたい人を集められるようになるので、単純に2倍の客数や売り上げを目指せます。
まとめ:パスタ屋は大手が強くないので稼ぎやすい
それでも飲食店は廃業率が高い難しいビジネスです。
少しでも成功率を高めるためには、しっかりとした事業計画や念入りな市場調査が必須でしょう。
また、パスタ屋は多店舗展開との相性が良くないので、最初から多店舗展開を意識しているのなら『他の飲食店』も視野に入れると良いでしょう。