韓国料理専門店を開業すると儲かるのか
ただし、需要自体もそれほど大きくないので、年収1000万円のような圧倒的な利益を上げるのは難しいでしょう。
この記事では、韓国料理専門店オーナーの年収や初期費用、売り上げを伸ばすコツなどを解説します。
韓国料理専門店開業の年収
わざわざリスクを取ってまで経営者となっても、会社員の平均年収を下回ることが多いでしょう。
"韓流ブーム"という言葉が一人歩きしていますが、実際に韓国料理を習慣的に食べている日本人はほとんどおらず、『ラーメン屋』や『焼肉屋』のような日本人の国民食となっているお店と比べると、需要はかなり小さいです。
韓国料理専門店開業の初期費用
主な金額はこちらの通りです。
韓国料理専門店の初期費用
・物件取得費(家賃の10ヶ月分)250~350万円
・改装費 300~500万円
・厨房設備費 200万円
・その他備品費 200万円
・合計 950~1250万円
韓国料理は、韓国の一般的な家庭で作られているものなので、冷蔵庫やガスコンロなど普通の台所にある設備だけで作れる料理しかありません。
よって、厨房設備費や改装費が少なめです。
その他にも最初の1年は赤字でも生活できるだけの生活費も必要になるでしょう。
韓国料理専門店開業のメリット
メリット1:若者の韓国ブーム
2003年に放送された"冬のソナタ"から始まった韓国ブームは、数年おきに形を変えて起きており、現在は"第4次韓国ブーム"まで続いています。
最近の韓国ブームは若者、特に若い女性を中心に巻き起こっています。
若い女性をメインターゲットにした店作りを心掛ければ、大きく稼げるようになるでしょう。
ただし、ブームはかならず去るものなので、初期投資を回収する前にブームが過ぎて借金が残るケースもあります。
そうならないために、極力初期費用は抑えるようにすると良いでしょう。
メリット2:人気メニューが多い
韓国料理の定番として、"キムチ"や"ビビンバ"や"サムギョプサル"や"チヂミ"は、日本人にも人気のメニューです。
その他にも最近では、"チーズハットグ"や"チーズタッカルビ"だけでなく『10円パン』も韓国発祥のメニューです。
テレビを始めとした日本のメディアは、定期的に韓国ブームを作り出そうとしているので、おのずと韓国料理が取り上げられる機会も他の国の料理に比べて多いです。
メリット3:ライバルが少ない
また、強力なチェーン店もないので、総じてライバルが弱い業界と言えるでしょう。
近隣に韓国料理店が無いエリアを選んで出店をするだけで、一定の客を集客することが出来ます。
ただし、ライバルが少ないのは需要が少ないことが要因なので、宣伝や集客には工夫が求められます。
メリット4:ヘルシー
韓国料理には、食べるものはすべて薬になるという"薬食同源"の考え方が基礎となっており、野菜を多く使ったメニューが多いだけでなく、日本食のようにご飯、スープ、メイン料理など一食あたりの品数が多いのも特徴です。
また、唐辛子を使った料理が多いのも肩こりや冷え性の予防に効果的です。
このように健康面に良いことをアピールしておくと、リピーターが増えて売り上げもアップするでしょう。
メリット5:大型設備不要
韓国料理は韓国の家庭料理なので、普通の台所にあるものだけで作れるようになっています。
このように、ほとんどの飲食店では専用の設備に100~500万円くらいの追加費用が必要となりますが、韓国料理屋はそれらが不要で初期費用が安いです。
メリット6:酒類との相性
韓国にはマッコリや韓国焼酎など、韓国独自のお酒があります。
また、激辛料理の多い韓国料理はお酒のおつまみとしても人気があります。
キムチを肴にお酒を飲んだことのある人も多いことでしょう。
一般的にアルコール類やおつまみは原価率が低く儲かるメニューなので、韓国料理専門店を開業するのなら酒類の提供は必須です。
韓国料理専門店開業のデメリット
デメリット1:韓国嫌いも多い
年によってバラツキこそありますが、韓国を好きな日本人よりも嫌いな日本人の方が多いです。
年齢別に見ると、若者は韓国好きな傾向にありますが、高齢になるにつれて韓国嫌いの傾向にあります。
一般に年齢を重ねるごとに年収が上がりお金に余裕が出てくるので、あまり財力のない若者をターゲットにする韓国料理専門店は儲けにくいです。
デメリット2:辛い料理が多い
韓国料理は辛いメニューが多いことで知られています。
いくら韓国が好きな人でも辛いものが苦手な人がわざわざ韓国料理屋に来ることはないでしょう。
日本食に激辛料理が無いように、日本人は辛さに弱い民族と言われています。
わさびの辛さは平気でも、韓国料理に使われる唐辛子系の辛さが苦手な人は多いでしょう。
デメリット3:需要が大きくない
『ラーメンを食べに行こう!』という話はよく聞きますが、『韓国料理を食べに行こう!』という話はあまり聞かないと思います。
ラーメンやファストフードの需要に比べれば、韓国料理の需要は少ないです。
万人受けするというよりも、一部のコアなファンに好まれている印象が強いので、いかにリピーターを囲い込むかが経営の肝となるでしょう。
デメリット4:人件費
本格さを出すために韓国人を雇う場合は、流暢に会話出来ない分だけ人件費が高くなります。
あえて韓国人を雇わなくても支障はないので、日本人スタッフを雇うことをおすすめします。
デメリット5:話題性の高さ
韓国に関する食べ物やアイドルやアイテムは、テレビ業界の猛プッシュにより定期的な流行を引き起こします。
たとえ飲食店にとって直接関係のないアイドルの話題であっても、韓国を連想することで韓国料理店にいってみようと考える人が一定数存在します。
本来飲食店にとってありがたいブームですが、もちろんブームが終了すればすぐにその飲食店は廃業となります。
よって、韓国料理専門店が10年後20年後も安定して稼げるビジネスかについては疑問が残ります。
韓国料理専門店開業のコツ
コツ1:SNS集客に力を入れる
若い女性に人気の韓国料理店とSNSの相性はバツグンです。
新聞の折込チラシで宣伝するよりもネットやSNSで宣伝する方が集客効果が高いでしょう。
SNSに投稿される機会を増やすために、料理の見た目を綺麗にして"インスタ映え"させるのも良いでしょう。
コツ2:店内の清潔感を意識する
韓国料理は若い女性に人気です。
そして、男性に比べて女性は清潔感を大切にしています。
テーブルや椅子だけでなく、床や壁、トイレなどが汚れていては、どれだけ料理が美味しくてもお店に悪いイメージが付いてしまうでしょう。
他の飲食店以上にレイアウトを工夫したり徹底した清掃を行って、清潔感を演出しましょう。
コツ3:韓国に関する知識
韓国料理専門店に訪れるのは、"韓国人"か"辛いもの好き"か"韓国好き"の人です。
その中でも"韓国好き"な人にも刺さるようなお店作りを考えるのならば、韓国に関する基礎知識や最新の流行を把握している方が良いのは間違いありません。
特に、『10円パン』のような飲食系の流行なら、自店舗でも販売することが出来るかもしれません。
コツ4:アルコール
"キムチ"や"ナムル"、"チヂミ"や"トッポギ"など、韓国料理はおつまみとしても人気のメニューがたくさんあります。
また、"マッコリ"や"チャミスル"、"韓国焼酎"や"ビール"と、お酒類も豊富です。
一般的にアルコール類もおつまみも『原価率』が低いものが多く、お店としては儲けやすいメニューです。
さらには、お酒を飲むとお店の滞在時間が伸びて、他のメニューも含めた追加注文が増えやすいです。
コツ5:テイクアウト
近年急速に高まっているテイクアウトへの需要を満たすために、自店舗でもお持ち帰りメニューを展開しましょう。
テイクアウトなら、客席を埋めずに売り上げを得られますし、途中の給水や食後の片付け作業などもいらなくなるので、少ない客数と少ないスタッフでお店を回せます。
韓国料理の中にもチゲ鍋や冷麺などテイクアウト不可のメニューはありますが、多くのメニューがテイクアウトに対応しています。
コツ6:ライバル調査
韓国料理専門店は、日本全体で見ると少ない需要を少ない店舗数でカバーしている状態です。
『居酒屋』のような需要が大きく潜在的な客数が多い業界なら、"飲み屋街"のように近隣にライバル店があっても経営していけるだけの客数を確保出来ます。
しかし、韓国料理店のような需要の小さな業界なら、数件隣に同じ韓国料理店があれば客の取り合いとなりどちらかのお店が廃業するでしょう。
このように韓国料理専門店は、近隣にライバル店があると黒字化させることが難しいので、近隣調査をしっかりとおこなって、近隣にライバル店がない地区に出店しましょう。
まとめ:韓国料理専門店の開業は難しい
それでも若い女性をターゲットにSNSや内装、イベントなどを行っていけば十分に黒字化出来るでしょう。
また、女性をターゲットにするので店内の清潔感は常に意識しておきましょう。
韓国料理店はやや難易度が高いので、『他の飲食店』も選択肢に入れると良いでしょう。