メキシコペソと南アフリカランドはどちらがおすすめ?


 メシコペソと南アフリカランドはどちらも高金利通貨として人気の通貨です。

 そしてどちらも似たような値動きや金利の高さをしており、どちらに投資をするのが良いのか迷う人も多いでしょう。


 当サイトでは『南アフリカよりもメキシコペソの方が投資対象として優良である。』と考えています。

 それでも、両者の優劣にそれほど差はなく今後逆転することもありえます。


 そこでこの記事では、次の9点でメキシコペソと南アフリカランドを比較します。


比較ポイント
・政策金利(スワップポイント)
・為替相場
・インフレ率
・GDP(国民総生産)
・犯罪率
・寿命
・教育レベル
・外交
・信用格付け


メキシコペソvs南アフリカランド


比較1:政策金利(スワップポイント)

 メキシコペソと南アフリカは、トルコリラと並び高金利通貨として人気の通貨です。

 その3通貨の政策金利はこのように高金利を維持しています。


 2017年以前には、南アフリカの方が政策金利が高かったですが、近年はメキシコの方が政策金利が高めになっています。

 しかし、どちらの通貨も安定して高金利を維持しており、この先もしばらくは高金利を維持していくことが予想されます。


比較2:為替相場

 メキシコペソと南アフリカランドの為替相場は、トルコリラに比べると比較的緩やかに下落をしています。


 為替相場が下落しており、一見すると投資をするだけ損をするような気がしますが、スワップポイントによる金利収入が年利で5%前後入るので、この10年ほどは保有しているだけで利益が残せる状態が続いています。

 トルコリラに関しては、グラフの始まりである2008年の時点では1リラ80円あったものが、2022年時にはついにメキシコペソと並び8円まで下落しており、グラフからはみ出してしまうほどの下落を続けています。


比較3:インフレ率

 インフレ率は物価の上昇率を表す数値で、国内経済の発展の仕方が分かる指標になっています。


 メキシコペソも南アフリカランドも毎年5%前後の物価上昇をしています。


 両国とも『国民の給料が上がる⇒物が売れる⇒物の値段が上がる⇒国民の給料が上がる⇒・・・』という理想的な経済成長をしています。

 各国の中央銀行は、インフレ率が高くなると政策金利を引き上げてインフレ率を抑えようとするので、メキシコペソや南アフリカランドくらいのインフレ率は、高金利通貨としては理想的な水準をキープしています。



 かたやトルコリラのインフレ率はここ数年10%を超えており、2022年の平均インフレ率は80%にもなっています。

 インフレ率が10%を超えているということは、毎年物の値段が1.1倍に値上がりし続けているということで、2022年に関してはたった1年で物の値段が2倍近く値上がりしたことになります。

 これほどまでに急激に物価が上がってしまうと、生活出来ない国民が多発して国内経済が麻痺してきます。


比較4:GDP(国内総生産)

 メキシコのGDPは世界第16位で、南アフリカのGDPは世界第36位です。(トルコのGDPは世界第23位)

 メキシコの方が南アフリカより3倍も大きな市場規模があります。


 ただしどちらも経済発展の最中であり、20年後30年後にはどちらが上に立っているのかは分かりません。


比較5:犯罪率

 日本の年間殺人事件数は、およそ450件で世界第93位です。

 世界で11番目に人口の多い国としては、この殺人事件数はかなり少ないです。


 メキシコの年間殺人事件数は約26,000件で世界第3位、南アフリカの年間殺人件数は1,8000件で世界第6位と、どちらも世界有数の治安の悪い国として知られています。


 治安が悪い国ほど、健全な商売や生産活動が行えず、経済的にも悪い影響を与えています。


比較6:寿命

 日本の平均寿命は84歳(第3位)と長寿国として知られています。

 メキシコの平均寿命は70歳(第142位)、南アフリカの平均寿命は65歳(第166位)です。


 平均寿命が70歳や65歳ということは、30代40代で亡くなる人も多いことを表しており、労働力が十分に発揮されていないことが分かります。


比較7:教育レベル

 メキシコも南アフリカも識字率は約93%(第120位)です。

 十分な教育を受けていない人は、もちろん高度な技術力が必要な仕事は出来ませんし、マニュアルが読めなかったりお金の計算も出来ないので工場や商店で働くことすらも難しいでしょう。

 両国ともこの数十年で識字率は一気に上昇しましたが、高等教育まで受ける人はまだ少ないことが課題として残っています。


比較8:外交

 メキシコは、輸入の50%輸出の80%がアメリカという極端なアメリカ依存の国です。

 南アフリカは、中国、アメリカ、ドイツ、インド、日本と各地域バランス良く貿易を行っており、最大の相手国である中国の割合ですら10~15%です。


 特定の国に強く依存していると、その国との関係が切れなくなりますし、足元を見られて不利な条件を押し付けられることもあります。

 その点では、メキシコよりも南アフリカの方がリスクヘッジが出来ています。


比較9:信用格付け

 メキシコと南アフリカ、参考としてトルコも含めた3カ国の格付けはこのようになっています。



 少し分かりにくいですが、どの格付け会社もメキシコペソの方が南アフリカよりも1~2段階優良な格付けをしていることが多いです。

 メキシコの格付けは、ギリギリ『投資適格級』に含まれていますが、南アフリカとトルコは『投資不適格級』いわゆる『ジャンク級』に含まれています。

 南アフリカやトルコへの投資は慎重に行う必要がありそうです。


メキシコペソの危険性


 メキシコペソは、南アフリカランドやトルコリラに比べると暴落の危険性は低めですが、米ドルやユーロのような先進国通貨と比べれば圧倒的にハイリスクです。

 メキシコペソに投資をするのなら知っておくべき6つの危険性を解説します。



危険性1:アメリカ頼りの経済

 メキシコはアメリカと国境を接しており、毎日たくさんの『物・金・人』が行き来しています。

 特にメキシコの輸出はその8割をアメリカ相手に行っており、仮にアメリカとの貿易が途絶えれば、一気に外貨獲得の手段を失うことになるでしょう。

 日本やアメリカのような成熟した国は、そのような極端な依存貿易にならないように貿易相手を分散していますが、メキシコのような成長途上の国はそうしたリスク管理が出来ていません。


 形としては現状のメキシコとアメリカは友好関係を結んでいますが、移民問題を始めとした軋轢はいくつも存在しています。

 もし、それらの問題が深刻化しアメリカと断交した際には、一ヶ月も持たずにメキシコ経済は崩壊するでしょう。


危険性2:資源通貨国

 メキシコは、原油や銀など多くの資源を産出している資源通貨国です。

 これらの天然資源は経済を回すのに不可欠な物のため、日本のように資源の少ない国よりも経済的な優位を持っていると言えます。


 しかし、メキシコを始めとした資源通貨国は、資源が取れることに慢心して他の産業に力を入れていないことが多いです。

 世界経済が不況になれば天然資源が売れなくなり、国内経済が立ち行かなくなります。


危険性3:犯罪大国

 メキシコは、年間に3万件以上の殺人事件が起きている世界有数の犯罪大国です。

 犯罪率が高いと、健全な商売が行えなかったり海外企業が進出を躊躇ったりと、経済面でマイナスです。

 昔から犯罪率の高さが問題となっていましたが、現在でも改善されておらず今後の見通しも明るくありません。


危険性4:激しい為替相場

 メキシコペソは、米ドルや日本円に比べて為替相場の変動が激しい通貨です。

 10年に1度起こるような世界的な経済危機が起これば、たちまち半値になるような世界です。

 近年のコロナショック時では、1ペソ約6円から約4.5円まで一気に下落しました。


 もし、米ドルと同じような感覚で高いレバレッジを掛けてメキシコペソ投資を行えば、簡単にロスカットを迎えることになるでしょう。


危険性5:大統領

 2018年からメキシコ大統領に着任しているロペス・オブラドール氏は、現状では上手く政権運営が出来ています。

 しかし、その任期は2024年6月までとなっており、次の大統領選挙には与野党共に女性候補が擁立されています。

 初の女性大統領が誕生することはほぼ確実となったことで、今後メキシコの内政や外交に大きな変革が起こるのは確実でしょう。


 2024年夏のメキシコペソ相場は荒れることが予測されるので、しばらく投資を控えるのも戦略としては有効です。


危険性6:スワップポイントの変動

 メキシコペソ投資をする人の大半は、高いスワップポイントが目的です。

 メキシコの高い政策金利のお陰で、長らく安定的に高いスワップポイントが得られています。


 しかしスワップポイントは、各FX業者が政策金利を元に決めているもので、場合によっては高金利通貨でも低スワップになることもあります。

 いくつかのFX業者で口座を開いておき、メイン口座のスワップポイントが減少傾向になった時にすぐに乗り換えられるようにすると良いでしょう。


メキシコペソとトルコリラならどっちがおすすめ?


 メキシコペソと南アフリカランドを比較すると、ややメキシコペソの方が優良な投資先となっています。

 それでは、メキシコペソとトルコリラならどちらがおすすめなのでしょうか。


 メキシコペソとトルコリラなら、圧倒的にメキシコペソをおすすめします。

 トルコリラは、見かけの政策金利が2桁%になることもある超高金利通貨ですが、それ以上に通貨価値の下落が恒常的起きており、今後も下落が続くことが予想されます。

 現状のトルコリラは、保有すればするほど資産を減らします。



メキシコペソ投資の利回りは?


 メキシコペソをロングで保有した場合の利回りは、おおよそ次のようになります。


メキシコペソロングの利回り
・レバレッジ1倍 5%
・レバレッジ2倍 10%
・レバレッジ3倍 15%


 比較的安全とされているレバレッジ3倍で保有すると、年率15%の利回りが期待出来ます。

 株式や不動産の利回りが3~5%に落ち着くことを考えると、年利15%がいかに高いかが分かるでしょう。


 これだけ利回りが高いと、『レバレッジ4倍なら20%、レバレッジ5倍なら25%・・・。』と欲をかきたくなります。

 しかし、元々変動幅の大きいメキシコペソでレバレッジ3倍以上のハイレバレッジ投資を行えば、1年も持たずしてロスカットになります。

 いかに欲に負けないような投資をするかがメキシコペソ投資の肝です。



メキシコペソでスワップポイント生活は可能か?


 メキシコペソのスワップポイント投資だけで生活をすることは可能です。

 レバレッジ3倍で投資をする場合の必要な資金は次の通りです。


スワップポイント生活に必要な資金
・生活費20万円 必要資金1000万円
・生活費40万円 必要資金2000万円
・生活費60万円 必要資金3000万円


 仮に、月々の生活費を20万円に抑えているのなら、スワップポイント生活に必要な資金はわずか1000万円です。

 当然、今後のメキシコの政策金利や為替相場によって必要な資金も増減しますが、1000万円は一つの目安になるでしょう。


 他の投資なら5000万円~1億円はないと投資収入だけで生活をしていくことは出来ませんが、利回りの高いスワップポイント投資なら少ない資金でFire可能です。

 それでも、リスクとリターンは表裏一体のため、株式投資などと比べるとスワップポイント投資はハイリスクであることは忘れてはなりません。



まとめ:個人的にはメキシコペソの勝利


 人により意見は分かれますが、個人的には南アフリカよりもメキシコペソの方が投資対象として有利であると考えます。

 特に次の3点がメキシコペソの方が有利なことが強く影響しています。

・経済規模が3倍も大きい
・政策金利が高い
・通貨の下落幅が小さい


 ただし、メキシコペソも南アフリカランドも先進国通貨と比べれば高リスクな通貨であることは変わりないので、投資をするときにはしっかりとリスク対策を行っておく必要があります。

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