南アフリカランドはなぜ上がるのか


 高金利通貨の南アフリカランドは、スワップポイント投資の代表的な投資先になっています。

 そして、南アフリカランドが値上がりすれば、スワップポイントだけでなく為替差益も得られるため、スワップポイント投資をしている人たちは、"ランド/円"が上昇してほしいと常に考えています。

 しかし、残念なことに高金利通貨は長期的に見れば下落をしていく通貨なので、なんとなくポジションを持ってしまうと為替差益がマイナスになってしまいがちです。

 そこでこの記事では、南アフリカランドが上昇する理由や、過去に南アフリカランドが高騰した事象を解説します。



南アフリカランドが上昇する理由


 南アフリカランドが上昇する理由には、次の6つがあります。


南アフリカランドが上昇する理由
・世界経済が好調
・金・プラチナ価格の上昇
・南アフリカの経済指標が好調
・中国経済が好調
・政策金利の引き上げ
・先進国の金利の引き下げ


上昇理由1:世界経済が好調

 南アフリカランドは株式と同じリスク資産なので、世界情勢が好調(リスクオン)の時には南アフリカランドが高騰し、反対に世界情勢が不調(リスクオフ)の時には下落する特徴があります。

 よって、南アフリカランドに投資をする際には、南アフリカの経済指標だけでなく、世界全体のムードも掴んでおくと良いでしょう。


上昇理由2:金・プラチナ価格の上昇

 南アフリカは鉱山資源が豊富国で、特にプラチナの産出量が多いです。

 金の採掘量は、かつて世界一でしたが、度重なるストライキや電力不足で現在はトップ10にギリギリ入るくらいまで落ちています。

 それでも地下にまだ眠っている金の量は世界で一番多いと言われており、国内経済の問題が解決すれば再び世界一になるだけの潜在能力はあります。


 金やプラチナの価格が上昇すると、輸出の際に得られる利益が大きくなるので、南アフリカランドの為替相場も釣られて上昇します。


上昇理由3:南アフリカの経済指標が好調

 当然ながら、南アフリカの経済が好調なら、南アフリカランドの為替相場も上昇します。

 それでも南アフリカの経済規模は元々小さいので、自国の経済指標よりも他国の経済指標の方がむしろ南アフリカランドの為替相場に大きな影響を与えることもあります。


上昇理由4:中国経済が好調

 南アフリカは、貿易のおよそ10%を中国と行っています。

 よって、中国経済が好調になると合わせて南アフリカランドの為替相場も上昇しやすいです。


 2000年代に入って、中国はアフリカへの影響力を高めようと積極的にアフリカへの投資や貿易を行っています。

 これから先も南アフリカと中国の関係性は強いものになるでしょう。


上昇理由5:政策金利の引き上げ

 世界有数の高金利通貨として南アフリカランドは人気があります。

 その魅力を高める政策金利の引き上げは、純粋に南アフリカランドの為替相場を上昇させてくれます。


 為替相場の乱高下に比べて、政策金利の推移は上昇する時期と下落する時期がはっきりと分かれているので、政策金利がこれから上昇局面になるだろう時に南アフリカランドを仕込んでおくのは良い戦略です。


上昇理由6:先進国の金利の引き下げ

 南アフリカの政策金利が変わらなくても他国の政策金利が下がると、相対的に南アフリカの政策金利が高く見えるので、南アフリカランドの為替相場が上昇します。

 特に、世界最強の通貨である"米ドル"との金利差が大きいほど、南アフリカランドの魅力も高まり為替相場も上昇しやすいです。


南アフリカが過去に高騰したとき


断続的な利上げ(2002年6月〜)

 南アフリカランドは2002年後半に暴騰する時期がありました。

 それは、南アフリカで政策金利の引き上げを断続的に行っていた時期で、政策金利が上がるごとに為替相場も上昇を続けていました。



南アフリカランド投資の必要資金

 南アフリカランドは1ランドが10円以下なので、1000通貨単位の取引が多いFXでも1万円以下から投資が出来るメリットがあります。

 それでも、毎月数万円のスワップポイントを狙うにはそれなりの資金力が必要です。

 例えば、毎月月20万円のスワップポイントを得るのに必要な資金は次の通りです。


月20万円のスワップポイントを得るのに必要な資金
・レバレッジ1倍 4000万円
・レバレッジ2倍 2000万円
・レバレッジ3倍 1340万円


 比較的安全とされているレバレッジ3倍で南アフリカランドを保有するのなら、1340万円で毎月20万円のスワップポイントを得られます。

 これは年利約17%となり、他の投資商品ではなかなか狙えない高利率です。





南アフリカの金利が高い理由

 南アフリカの金利が高い理由はインフレ率が高いからです。

 南アフリカのような新興国は、日々経済発展をしているので物の値段が上がり相対的に通貨の価値が下がるインフレをしています。

 そのままインフレを放置していると、どんどんインフレが加速してハイパーインフレになります。

 そうならないために、南アフリカのような新興国は政策金利を高くして、インフレの抑制をしているのです。




南アフリカランド投資のメリット

 南アフリカランド投資には、他の高金利通貨にはない3つのメリットがあります。


メリット1:安定的な為替相場

 "高金利通貨=リスク資産"であるため、高金利通貨は米ドルなどの安全な通貨と比べると値動きが激しいです。

 また、高金利政策は高インフレ率の国で行われるのが普通なので、常に為替相場に下落圧力がかかります。

 そんな中で南アフリカランドは、トルコリラのような特にハイリスクな通貨と比べると比較的緩やかな為替変動を行っています。


メリット2:安定的な金利

 南アフリカは、世界的に見ても有数の高金利通貨です。

 過去20年で一番低い政策金利でも3.5%で、高い時には7~8%を超えることもあります。


 スワップポイント投資を行おうとせっかく高金利を長期的に保有しても、1~2年後にゼロ金利になっていたらなんのために投資をしているのか分からなくなります。

 その点で、最低でも3.5%の政策金利を維持している南アフリカランドが5年後10年後にゼロ金利になっている可能性はかなり低いと考えられます。


 トルコリラも高金利通貨として人気の通貨ですが、大統領の意向により政策金利が乱高下しているので、実はスワップポイント投資には向かない通貨なのです。


メリット3:アフリカ大陸への投資

 日本のFX業者で取引出来る通貨の中で、ほぼ唯一のアフリカ大陸通貨が南アフリカランドです。

 これから2050年までにアフリカ大陸の人口が2倍に増えていると予測されており、人口同様に経済も発展していくことを予想するのなら、今のうちからアフリカ大陸へ投資をするのは有効です。



南アフリカランド投資のデメリット

 メリットの大きい南アフリカランド投資ですが、デメリットも存在します。


デメリット1:長期的な下落相場

 南アフリカランドの為替相場は、万年下落し続けている特徴があります。

 ただしこれは、南アフリカランドだけに当てはまる特徴ではなく、高金利通貨特有の値動きなので、トルコリラやメキシコペソでも同様の値動きが見られます。


 南アフリカ共和国のような成長途上にある国は、どんどん景気が拡大する中で物価もどんどん上昇していきます。

 物価が上昇することを"インフレ"と呼びますが、この状態を放置すると"ハイパーインフレ"という急激な物価上昇を引き起こします。

 ハイパーインフレになってしまうと国内経済が崩壊してしまうので、高インフレ国家の政府や中央銀行は政策金利を高くしてインフレ抑制を行います。

 つまり、政策金利の高い国は、常にインフレ(通貨下落)を抱えているのです。


デメリット2:広いスプレッド

 米ドルやユーロのような先進国通貨と比べて、南アフリカランドの取引量は少ないです。

 取引量が少ないマイナー通貨は、実質的な手数料にあたるスプレッドが広くなりがちです。

 実際に、南アフリカランドと米ドルを同額購入すると、10倍もスプレッドの差があります。

 1回2回の取引なら、多少スプレッドが高くても投資効率に影響は出ませんが、デイトレードやスキャルピングのように何度も売買を繰り返してしまうと、ほとんどのケースで手数料分だけ負けてしまいます。

 よって、南アフリカランド投資は、短期売買との相性が悪く、スワップポイントを受け取れる長期投資との相性が良いのです。


デメリット3:高いカントリーリスク

 南アフリカのような成長途中にある国は、日本のように成熟した国と比べて行政やビジネスに脆弱性があります。

 南アフリカが抱えている問題を挙げてみると、『モノカルチャー経済』、『エイズ感染者数』、『教育レベル』、『失業率』、『犯罪率』、『電力不足』、『ストライキ』などがあります。

 例えば、『モノカルチャー経済』について考えてみると、南アフリカ共和国の農業生産額のうち95%をサトウキビとトウモロコシの2種類だけで占めています。

 仮にトウモロコシがかかりやすい伝染病が流行ってしまえば、一気に食糧不足と農家の破産が起こるでしょう。


デメリット4:慢性的な経常赤字

 "経常収支"とは、貿易だけでなく投資やサービスの収支も合計したものです。

 南アフリカでは数十年に渡り、慢性的な赤字を計上しており、直近で黒字化したのはわずか2年だけです。

 慢性的な経常赤字であるということは、毎年国内の資金が海外に流出し続けているということであり、経済的に不安定な国であると判断されます。

 過去には、この慢性的な経常赤字を材料に機関投資家から"ランド売り"を仕掛けられてランド暴落も引き起こされており、今後もどうようのケースは起こるものと考えられます。


デメリット5:鈍化する成長率

 テレビや雑誌を見ていると、『これからはアフリカ大陸の時代だ。』といった論調を目にすることも多いです。

 それは間違っていませんが、南アフリカ共和国単体に目を向けると少し違った印象を持ちます。

 南アフリカ共和国の経済成長率は年平均1%です。

 これは、今の日本と同じ数値で、世界経済全体が年間2%上昇していることと比べると、世界に取り残されているとも言えます。



まとめ:南アフリカランドは金相場や中国経済の影響を受ける


 南アフリカランドは、他国と同様に政策金利が上がることで為替相場が上昇します。

 それ以外にも南アフリカランドの特徴として、金価格や中国の経済指標の影響を受けやすい傾向にあります。

 よって、南アフリカの経済指標だけでなく、世界経済の状況や他の金融商品の価格推移もチェックしておくと良いでしょう。

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