雑貨屋経営は儲かるのか


 雑貨屋は、儲かりにくい業界の一つに数えられています。

 卸売から商品を仕入れて販売するという特性上、どうしても他店と似たような品揃えになってしまうからです。

 そうなると、大量仕入れで安く販売出来る大手の方が強くなるのは当然です。


 この記事では、個人経営で繁盛店を作るコツを紹介していきます。


雑貨屋オーナーの年収


 雑貨屋経営の平均年収は250万円です。

 個人経営の雑貨屋で黒字化することは難しく、廃業率が高い業界と言われています。


雑貨屋経営のメリット


メリット1:廃棄ロスが少ない

 飲食業なら、その日に売れない商品は廃棄しなければなりません。

 しかし、雑貨には賞味期限はないので、売れなくても廃棄することはありません


 同じ販売業でも、洋服販売など流行のあるものは、期限内に売れないと廃棄や返品をします。

 雑貨には、そのような流行もないので、仕入れた商品をゆっくりと販売していけます。


メリット2:一人で営業出来る

 飲食店では、営業時間の他にも仕込み時間があり、1日15時間労働になるオーナーもたくさんいます。

 また、厨房と接客を一人で行うのは難しくどうしてもアルバイトを雇うことになります。

 その点で雑貨屋には、仕込み時間も無いので営業時間の分だけ働けば良いですし、営業時間中も一人でお店を回せます


 人を雇うと、人件費がかかるだけでなく精神的に労力がかかるので、一人で気楽に営業出来るのは、雑貨屋の大きなメリットになるでしょう。


雑貨屋経営のデメリット


デメリット1:単価が低い

 雑貨は単価の低い商材です。

 1つ300円の商品なら1日100個売ってようやく3万円/日の売り上げになります。


 ショッピングモールに出店しているお店なら可能ですが、商店街の一角でこれだけの販売数を毎日確保するのは難しいでしょう。


デメリット2:原価率が高い

 雑貨屋の原価率は60%です。

 飲食店の原価率が30%であることと比べると、かなり高いことが分かります。


 仮に1日3万円の売り上げがあったとしても、粗利益は1万2千円になります。

 そこから家賃や電気代、税金などを支払ったら、ギリギリ生活していけるほどのお金しか残りません。


デメリット3:そもそも売れない

 雑貨は、生活していくために必須の物ではなく、贅沢品です。

 よって、『よし、ラーメン屋に行こう。』となる人はいても、『よし、雑貨屋に行こう。』となる人は少ないです。

 ショッピングモールに"無印良品"や"ビレッジバンガード"、"100円均一"のような雑貨屋が多いのは、他のお店を目的に来た客のついで買いを狙っているからです。


 このように雑貨屋には集客力がないので、ただなんとなく雑貨屋を開業しても、まったく客が来ない可能性もあります。


雑貨屋経営の工夫


工夫1:ネットショップを開く

 実店舗を持ちながらネットショップも並行して営業していくのは、かなりおすすめの戦略です。

 実店舗では集客力の低い雑貨屋ですが、アマゾンや楽天のネットショップに出店すれば、日本人のほぼ全員を客に出来ます。


 ただし、販売手数料を取られたり送料もかかるので、例えば単価500円以上の商品のみ出品するなど、高単価商品だけをネットショップで売るようにしましょう。


工夫2:ハンドメイド雑貨

 市販の商材だけでは、大手雑貨屋の劣化版になり差別化が難しいです。

 そこで、ハンドメイド雑貨も扱って差別化の戦略を取ることも出来ます。


 自分で作品を作ると労働時間がさらに伸びてしまうので大変ですが、ハンドメイド作家さんを探して外注化すると労働時間を伸ばさずにハンドメイド雑貨を導入出来ます。

 もちろん、自分がハンドメイド作品を作るのが好きな人は、営業中の客がいない時にコツコツ作品を作るのもありです。


工夫3:回転率を高める

 ここでいう回転率は、客数のことではなくお金に対する回転率です。


 例えば、100万円を使って商品を仕入れて200万円の売り上げになる場合を想定します。

 1ヶ月に一度100万円分の仕入れを行えば毎月200万円の売り上げになります。

 これを2週間に一度100万円分の仕入れを行うと、毎月400万円の売り上げになります。


 このように、同じ資金力でもお金の回転率を高めることで、売り上げや利益を最大化することに繋がります。


工夫4:コンセプトを明確にする

 ただ売れ筋の商品を仕入れるだけでは、大手雑貨屋と同じレパートリーになってしまいます。

 また、大手雑貨屋は大量仕入れで定価を安く出来るので、個人商店が同じ戦略を取ってしまうと、大手雑貨屋より高いだけのお店になってしまいます。


 そこでおすすめなのが、コンセプトを明確にすることです。


コンセプト例
・ちょっとしたプレゼントにちょうど良い雑貨屋
・洋風をテーマにした雑貨屋
・カワイイが詰まっている雑貨屋
・主婦をターゲットにした雑貨屋


 このようにコンセプトを明確にすると、共感した客がリピーターになってくれます。


大手雑貨屋のコンセプト


 大手雑貨屋にはそれぞれコンセプトがあり、売り上げ拡大の要因になっています。


無印良品

 無印良品の企業理念は、『自然と。無名で。シンプルに。地球大。』です。

 無印良品の商品は、ほとんどがシンプルなデザインで作られています。

 あえて尖った商品にしないことで、誰でも普段使いにちょうど良い雑貨が手に入るお店になっています。


ビレッジバンガード

 ビレッジバンガードのコンセプトは、『遊べる本屋』です。

 生活には必要でないものの、思わず手に取ってしまうような面白い雑貨が多いのが特徴。


 均一な商品の並ぶ無印良品とは対象的に、店舗ごとに店長が仕入れを任されているので、オリジナリティーが強いのがビレッジバンガードの強みでしょう。


100円均一

 ダイソーやセリアが有名な100円均一は、企業ごとにコンセプトは違いますが、『良いものを安く』という考えが根底にあります。

 中には原価100円以上の商品もあり、コスパの良さは折り紙付きです。


まとめ:ネットショップとコンセプトが鍵


 雑貨屋は、儲かりにくい業界の一つです。

 しかし、ネットでも販売を行ったり、店舗コンセプトを明確にすることで、しっかりと黒字経営していくことは可能です。

 大手雑貨屋には出来ない、個人経営ならではのコンセプトを打ち出せば、繁盛店になることもあるでしょう。