トルコリラでスワップポイント生活は可能?


 トルコリラでスワップポイント生活はかなり難しいです。

 トルコリラは高い政策金利によって見た目の利回りは高いですが、通貨価値の下落が激しいので、トータルで見ると保有しているだけで資産を目減りさせてしまいます。

 あえて勝率の低いトルコリラに投資をするよりも、それよりは勝率の高いメキシコペソや南アフリカランドの方が投資対象として優良です。


トルコリラをロングで持ったときの利回り


 トルコリラのここ数年の政策金利の平均値は約15%です。

 つまり、100円分のトルコリラを1年間保有すると15円の金利が付くことになります。

 ただし、トルコリラ/円の為替相場は平均して年間約25%の下落をしています。

 よって、実際には『(100+15)/0.75=86』となり、100円のトルコリラが1年後には86円の価値にまで減少していることが分かります。


トルコの物価上昇率(インフレ率)

 トルコは慢性的な高インフレを抱えています。
 

 特に2022年は年間で72%まで上昇しており危険水域に達しています。

 いくつか定義がありますが、国際会計基準のハイパーインフレの定義は『3年間で累積100%以上の物価上昇』となっており、いかに今のトルコのインフレ率が高いのかが分かります。


トルコショック


 2018年には"トルコショック"と呼ばれるトルコリラの暴落が起こりました。

 表向きはアメリカとの外交問題が原因でしたが、その裏側には中央銀行の独立性のなさ外貨準備高の少なさなど、トルコが抱える金融的な脆弱性への不安が招いた暴落でした。


トルコリラが上昇トレンドになるのはいつ?


 トルコリラが上昇トレンドに転じる可能性はあります。

 しかし、いつ上昇するのかを推測することは出来ません。

 なぜなら、今のトルコリラは2005年に誕生して依頼常に下落し続けている通貨であり、それが上昇トレンドに転じるためには、かなり大きなエネルギーが必要だからです。


 ただしそれでは面白くないので、次にトルコリラが上昇する可能性のあるイベントを紹介します。

 それは、エルドアン大統領の退任後です。

 現在のトルコリラ相場が下落している最大の要因は、エルドアン大統領が独自に提唱する金融哲学です。

 一般的に、今のトルコのような高インフレ時には、政策金利を引き上げて高金利政策を行うことが良いとされています。

 しかしエルドアン大統領は、反対に高インフレには低金利政策が効果的であると唱えています。

 当然、世界中の投資家や企業は前者の一般的な理論を信じているので、正反対の政策を取るトルコへ投資をしたいとは思いません。

 そうなると、低金利政策によるインフレ率の増加だけでなく、世界中の投資家の資産がトルコから撤退するので、さらにインフレが加速します。


 もし、現大統領が退任して次の大統領が高金利政策に舵を切れば、トルコリラを上昇トレンドに誘引する力があるかもしれません。

 それでも私たち投資家は、僅かな可能性に賭けて分の悪い賭けをする必要はないので、あえてトルコリラへ投資をする道理はないでしょう。



トルコリラで大損した主婦


 高い政策金利に魅せられてトルコリラに投資をしていた主婦が1400万円を失ったエピソードがあります。

 レバレッジ3倍で保有していたにも関わらず、トルコリラに一点投資をしていたこともあり、わずか2年でロスカットしていました。


 これだけの金額は稀ですが、主婦が夫に内緒で家の貯金を使ってトルコリラへ投資をするケースは毎年のようにおきています。

 見た目の政策金利の高さに釣られることなく、過去の値動きからどれくらい危険な通貨なのかを知ることが大切です。

 また、家族に黙って共有財産に手を出してしまうと、損失を抱えた場合取り返そうとする心理が働き塩漬けしてしまうので、トルコリラ投資を行う際には失っても問題の無い資産で投資を行うことが大切です。



トルコリラと他の高金利通貨

 トルコリラと同じく高金利通貨として人気のメキシコペソと南アフリカランド。

 投資対象として比較するのなら、トルコリラは圧倒的に投資不適格と言わざるを得ません。

 メキシコペソや南アフリカランドを保有すると資産を増やせることが多いですが、トルコリラは保有すると資産を失うことが多いです。

 これは、トルコリラだけが異常な高インフレ(通貨下落)を起こしていることが原因です。


 もし、トルコリラ投資をこれから始めようと考えていたり、最近トルコリラ投資を始めた方は、是非メキシコペソや南アフリカランドも投資対象として検討すると良いでしょう。





まとめ:トルコリラを持ち続けると損失を抱える可能性が高い


 トルコリラは見た目の金利の高さが魅力的ですが、実際にはインフレ率が高く儲からない通貨です。

 過去にはデノミ(通貨切り下げ)を行っていたりトルコショックが起きていたりと、投資対象としてはあまりにリスクが高過ぎます。

 もし、高金利通貨投資を行うなら、メキシコペソや南アフリカランドの方が圧倒的におすすめです。

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