スワップポイントで含み損を抱えたら?


 スワップポイント投資を行っていると必ず問題となるのが、含み損への対処ではないでしょうか。

 為替相場は、上昇と下落をまるで波のように描くので、含み益を抱えているときもあれば、含み損を抱えているときもあります。


 また人の特性として、含み益はすぐ決済し含み損はそのまま放置するという"損大利小"のトレードをしがちなので、持っているポジションが含み損だらけになっている人も多いはずです。

 そこで、この記事では、スワップポイント投資における含み損の対処方法を解説していきます。

 最後まで読むことで、スワップポイント投資で含み損を抱えたときの最良の選択が分かります。



含み損を抱えたときの対処法


 スワップポイント投資をしていて含み損を抱えているときに行う対処法は、2つあります。

含み損の対処法
・そのまま塩漬けする
・損失を決済する


 基本的には、スワップポイントを目的に投資をしているのならそのまま塩漬けをして含み益になるまで待つのが良いです。

 ただし、その通貨が先進国通貨なのか新興国通貨なのかによって、対処法は若干異なります。


先進国通貨の場合

 日本は長くゼロ金利政策を行っているので、米ドル/円やユーロ/円ですらプラススワップになります。

 米ドル、ユーロ、ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドルのような先進国通貨でスワップポイント投資を行っているのなら、長期的な塩漬けでプラスに転じる可能性が高いです。

 実際に米ドル/円の30年チャートを見ても、下限が2011~2012年の1ドル約80円、上限が1999年の1ドル約130円と幅がありますが、その範囲内で上下の動きを繰り返しているので、仮に高値掴みをしても、5年10年ポジションを持ち続ければ日々のスワップポイントも含めて含み益になっているでしょう。


 このように先進国通貨は、元の価格に戻ることが多いので、含み損を抱えてしまっても持続けることが最適解です。


新興国通貨の場合

 一方で、新興国通貨でスワップポイント投資をする際には、長期的にポジションを持ち続ける戦略が失敗する可能性があります。


 先程の米ドル/円と同じ30年チャートですが、どの通貨も対円で大きな下落をしています。

 これは、高金利通貨ならではの特徴で、どの通貨でも似たようなチャートの形を描きます。


 実際には、スワップポイントが得られるので、為替の下落額よりもスワップポイント額が上回ればいずれ含み益になりますが、下落額とスワップポイント額のどちらが大きくなるのかは誰にも分からないことなので、ややギャンブルになります。

 特に、トルコリラの下落率はかなり激しく、スワップポイントよりも下落率の方が大きいので、ポジションを持ち続けるだけどんどん含み損が膨らむ状態になっています。



強制ロスカットに注意


 塩漬け戦略を取るにあたり、絶対に避けなければならないのがロスカットです。


 特に金利の高い新興国通貨は、通貨の変動幅が先進国通貨よりも激しいので、レバレッジ3倍に抑えていてもロスカットする時もあります。

 レバレッジを3倍に設定している場合は、為替相場が購入時の66%の価格になるだけでロスカットになります。

 例えば、1リラ9.0円でポジションを持った場合に、1リラ6.0円に下落するとロスカットになる計算です。

 この程度の下落は、新興国通貨なら珍しいことではなく、リーマン・ショック時のトルコリラはわずか1日で20%の下落をしています。


 よって、新興国通貨でスワップポイント投資を行う際には、レバレッジを2倍以下に抑えたり、暴落後の安値でポジションを持ったりと工夫が必要になります。



マイナススワップは持たない方が良い


 あくまで心理的な話ですが、毎日スワップポイントの含み損が増えるような"高金利売り"のポジションは精神的にキツイものがあるので、個人的にはおすすめしません。

 ただし、高金利通貨自体は価格が下落し続ける特徴があるので、儲かる可能性もおおいにあります。

まとめ:含み損への対処法を明確にしよう

 スワップポイント投資で含み損を抱えた時には、そのまま持ち続ける戦略と損切りをする戦略があります。

 先進国通貨でスワップポイント投資を行っているのなら、多くのケースで元の値に戻ることも多いので、資金に余裕があれば塩漬けにしておく方が良いでしょう。


 新興国通貨の場合は基本的に下落基調なため、元の価格まで戻らないことの方が多いです。

 それでも高額なスワップポイントが毎日付与されるので、しばらく放置しておくとスワップポイントの利益と為替相場の含み損が相殺される瞬間が来ることもあります。

 適切なレバレッジで安全に運用出来ているのなら、新興国通貨でも塩漬けして耐えるのも戦略としてはありです。

 それでもトルコリラだけは、通貨の下落速度が早すぎてスワップポイントで相殺出来ないので、すぐに損切りをする方が損失を抑えられる可能性が高いと言えます。

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