トルコリラがデフォルトするとどうなる?
日本も多額の国債を発行している借金大国であることはご存知だと思いますが、日本の場合は毎年新たな国債を発行してそれを主に日本人が買っているので、借金返済が一応は滞らずに行えています。
ただし、これは日本国が大国でそれなりに借金を返済してくれる保証があるので機能しているだけで、国に信用力が無いと発行した国債が売れ残り、借金の返済も出来なくなります。
もしこのデフォルトがトルコで起こるとどうなるのでしょうか。
個人でも借りたお金を期日までに返さないと信用を失い次からは借りれなくなるように、借金を返せなかった国の信用は失墜し、様々な障害が起こります。
国がフォルトすると起きること
・自国通貨の為替相場が暴落する
・行政サービスやインフラが停止する
・輸入が出来なくなる
・国の信用格付けが下がる
・IMF以外からお金を借りれなくなる
・IMFの指揮下で財政の立て直しが行われる
仮にトルコがデフォルトした時に私たちが受ける最も大きな事象は、"自国通貨の為替相場が暴落する"ことです。
デフォルトするような国の通貨を欲しがる人はいないので、一気にトルコリラ売りが殺到して為替相場が暴落します。
また、上でも述べた通り国内経済が崩壊する未来しか見えないことも通貨売りが加速する要因になります。
このようにデフォルトが起こると、国内に多大な影響を与え通貨の価値も暴落しますが、国が消滅したり通貨が消滅することはありません。
ただし、新しい体制になったり新通貨が発行されることはありえます。
トルコリラがデフォルトする確率は?
直近ですと、ロシアは"ウクライナ侵攻"による経済制裁によって、デフォルトしているのではないかと言われています。
また、トルコの隣国ギリシャも2009年に"ギリシャ債務危機"により事実上のデフォルトを経験しています。
トルコの2/3程度の経済規模であるアルゼンチンも1982年にデフォルトしてから9回もデフォルトをしています。
このように、トルコと同程度の経済規模の国々でもデフォルトは起きているので、トルコがデフォルトになる確率はそれなりに高いものと感じます。
デフォルトした通貨はFXでどうなる?
ただ、スプレッドが異常に広くなったり、売りも買いもマイナススワップになったり、投資家にかなり不利な条件での取引になるでしょう。
また、FX業者が危険と判断し、その通貨の売買を停止することも起こりえます。
いずれにせよ、デフォルトを狙ってFXで儲けることはかなり難しいと考えておいた方が良いです。
ちなみに、過去にデフォルトを繰り返したアルゼンチンペソの為替相場はこのように暴落をしています。
トルコリラが紙くずになることはある?
それでも"1リラ=0.0001円"のような小数点以下の価値になることはあるでしょう。
そうなれば、パン1つを買うのに紙幣の束がいるようになるかもしれません。
仮にそのような状態にトルコリラがなってしまえば、レバレッジを掛けて取引している投資家は確実にロスカットされてしまいます。
トルコリラとデノミ
トルコでデフォルトが起きた場合には通貨の価値は大幅に下落し、パン1つ100,000,000リラのようになり、国民生活に悪影響が起こります。
そこで、"100,000リラ=1新リラ"として新通貨を発行すれば、パン1つが1,000新リラとなりあらゆる取引が円滑に行えるようになるでしょう。
このような操作をデノミと呼びます。
トルコは過去にも2005年に"100万リラ=1新リラ"とするデノミを行っています。
よって、トルコがデフォルトに陥った時には再びデノミを行う可能性は十分にあるでしょう。
今のトルコリラは安すぎる?
しかし、為替相場は2カ国間の通貨価値の強弱によって決まるものなので、それ自体が安過ぎるとか高過ぎるというものはありません。
為替と似たような金融商品に株式があります。
株式も為替のように毎日値段が変動していますが、その企業の価値が裏付けとなり株価が決まっています。
例えば、100万円の企業価値のあるA社の株式が80万円で売られていたら、それは安過ぎると言えます。
為替にはこのような価値の裏付けとなるものはないので、1リラ0.0001円のようになっても不思議はないのです。
トルコリラが0円になったらどうなる?
1リラ0.00001円のように無限に価値を下げることが出来るからです。
それでも、そこまで通貨価値が下がる頃には新通貨を発行しているはずなので、FXでポジションを持っていても一度強制的に決済されるのではないかと考えています。
いずれにせよ、トルコリラが0円にならなくてもトルコリラに投資をしている投資家のほぼ全員がロスカットされるでしょう。
トルコリラが上昇トレンドになることはある?
現在のトルコリラは2005年に誕生して以来ずっと下落をしている通貨です。
値ごろ感で『ここが底。』だと思い購入してもその後もどんどん下落をし続ける確率の方が圧倒的に高いです。
これだけ一方的な相場を形成している通貨が上昇トレンドに転じるには、国がひっくり返るような大きな事象が必要です。
そこで、確実ではありませんが次の大統領選挙が一つのきっかけになるかもしれません。
現在のトルコリラの下落はエルドアン大統領独自の金融理論によるところも大きく、次の大統領がまったく異なった金融政策を実施するとトルコリラが上昇トレンドに転じるかもしれません。
トルコリラで大損した主婦のエピソード
トルコリラと他の高金利通貨との比較
まとめ:トルコリラがデフォルトする可能性はそれなりに高い
それは、過去にギリシャやアルゼンチンでも起きているくらいには、デフォルトが珍しいことではないからです。
そして、もしトルコがデフォルトになったとしても、国や通貨が消滅する訳ではありませんが、トルコリラは紙くず同然の価値になっているでしょう。
そのような時にFXで利益を上げようとしても、スプレッドやスワップポイントが異常な数値になり、私達投資家が圧倒的に不利な条件で取引することになるので、利益を残すことは難しいでしょう。
そもそもこのようなリスクの高い通貨には手を出さないことが肝要です。
その他のスワップポイント投資に関する記事を『【まとめ】スワップポイント投資のコツ【メキシコペソ・南アフリカ・トルコリラ】』にまとめています。ぜひ他の記事もご覧ください。