南アフリカランドの金利はなぜ高いのか


 南アフリカランドは世界でも有数の金利の高さで、特にスワップポイント狙いの投資家に人気の通貨です。

 実際に南アフリカランドの過去10年の平均政策金利は6%以上にもなり、この傾向は今後も続くものと予想されます。

 それでは、なぜ南アフリカの政策金利は高いのでしょうか。

 この記事では、政策金利の推移やインフレ率との関連性を見ることで、南アフリカの政策金利が高い理由を解説します。



南アフリカランド政策金利の推移

政策金利の推移

 南アフリカランドの政策金利は、このように推移しています。
 

 赤色のグラフが南アフリカランドの政策金利ですが、他に高金利通貨として知られるメキシコペソやトルコリラと比べても遜色ない金利の高さです。

 ここ10年ほどで見ても、2013年に記録した政策金利4.5%が南アフリカの最も低い金利で、安定的に高金利を維持していることが分かります。

 2023年現在の金利は過去の水準から見ると天井付近にあるので、これ以上の上昇は見込めないかもしれません。

 それでも『ゼロ金利の日本円売り、高金利の南アフリカランド買い』つまり"ランド/円"のポジションなら、ほぼ確実にこの先何年もプラスのスワップポイントを受け取り続けられるでしょう。

為替の推移

 南アフリカランド/円の2009年からの為替相場はこのようになっています。
 

 緩やかではありますが、南アフリカランドはその通貨価値を下げ続けています。

 それでも現状は、通貨価値の下落量よりも金利収入の方が大きいので、南アフリカランドのロングポジションを保有しているだけで、利益を得られる状態が続いています。


 反対に、この下落で利益を稼ごうと南アフリカランドのショートポジションを持つ戦略もありますが、南アフリカランドのショートポジションは毎日マイナススワップとなり金利を支払う必要があるので、おすすめはしません。



南アフリカランドのインフレ率


 南アフリカのインフレ率はこのようになっています。


 南アフリカのような新興国は、経済が急速に発展することと引き換えに、急激な物価の上昇
(インフレ)に悩まされます。

 南アフリカもご覧の通り、年間5%ほどの物価上昇が続いています。

 年5%ほどの物価上昇なら新興国としては理想的なインフレ率ですが、これが年20%のような高インフレ率になってくると、物価の上昇が給料の上昇に追いつかなくなったりして経済発展の障害になります。


 各国政府や中央銀行は、そのような高インフレにならないようにする目的で政策金利を高くします。

 政策金利が高くなると、企業や個人は銀行からお金を借りにくくなり、企業の設備投資や個人の住宅や車のローンが減ります。

 そうすることで、行き過ぎた経済の過熱を抑えることで、インフレ率を下げてコントロールしています。



南アフリカランドが高金利な理由


 冒頭の疑問に戻りますが、南アフリカランドが高金利な理由は、高インフレを抑えるためです。

 よって、南アフリカの経済が発展し続ける限り、インフレが高い傾向になるので政策金利も高い状態で推移します。

 南アフリカランドでスワップポイント投資を行う場合は、南アフリカの経済成長率を見ておくと、少し先の金利を予測しやすいです。



まとめ:新興国通貨は高金利になりやすい


 南アフリカランドの高金利は、高い経済成長率により高インフレとなっていることが原因です。

 通常、高インフレを抑える最も簡単で効果的なのが政策金利の引き上げだからです。

 その根拠として、実際に高インフレに低金利政策を行ったトルコリラは、政府や中央銀行の制御不能なほど高インフレになっており、ハイパーインフレ一歩手前な状態が続いています。


 大統領が交代したり、世界経済に大きな出来事が起こらない限りは、これから先も南アフリカランドのスワップポイント投資は有望な投資手法であると考えています。

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