玉ねぎ農家は儲かる
玉ねぎ農業は、面積あたりの収入が少ないので、大きく稼ぐには大きな畑で大規模に栽培する必要があります。
その他にも、メインは他の作物を栽培しておき、サブに玉ねぎを栽培するのも人気の方法です。
この記事では、玉ねぎ農家の平均年収やメリット・デメリット、儲けるコツを解説します。
玉ねぎ農家の年収
これだけ見るとかなり低年収に見えますが、玉ねぎ農家は基本的に複数の作物を同時に育てているので、合計の年収はもっと大きくなります。
玉ねぎ農家の初期費用
玉ねぎ農家のメリット
メリット1:出荷時期を調整出来る
玉ねぎは収穫してから天日で1~2日乾燥させることで、2ヶ月ほど腐らずに保存が出来ます。
よって、出荷時期を調整することも容易で、価格の高い時期に出荷するといった方法も取れます。
メリット2:安定した需要が見込める
玉ねぎは様々な料理に利用されている日本人に馴染みのある野菜です。
実は玉ねぎは日本で2番目に多く食べられている野菜なのです。
これだけ大量生産と大量消費がされている野菜なら、多少豊作になっても価格が暴落することはありません。
また、5年後も10年後も食のブームに影響を受けることなく安定的な消費が続いていくことが予測されます。
メリット3:手間がかからない
玉ねぎはほとんど手間がかからない作物です。
植えるときと収穫するときの手間くらいで、後は放置していても育ちます。
この手軽さから玉ねぎは、家庭菜園の初心者向け野菜としても有名です。
メリット4:市場価格の急騰
玉ねぎの市場価格は急騰しています。
玉ねぎの市場価格が急騰している要因は、最大の輸入元が中国だからです。
日本に流通している玉ねぎは、およそ8割が国産で残りの2割が海外産ですが、輸入玉ねぎのうち9割は中国産です。
近年の中国は厳格なロックダウンによって物流に影響が出ており、日本への玉ねぎ輸出量も減少していました。
玉ねぎの市場価格高騰はしばらく続くものと予測されているため、日本国内の玉ねぎ農家では景気の良い話も聞こえてきます。
玉ねぎ農家のデメリット
デメリット1:作付面積の増加
農家の高齢化により農業全体の作付面積が減少している中で、玉ねぎに関しては作付面積が増加傾向にあります。
手軽に栽培出来ることと、どこでも栽培出来ることで、他の作物をメインに栽培している農家のサブ野菜として選ばれていることが要因と考えられます。
玉ねぎ自体は需要も大きいので支障はありませんが、このまま作付面積が増えすぎるともしかしたら供給が需要を上回り価格の下落が起こるかもしれません。
デメリット2:中国産の台頭
玉ねぎは、その保存の効きの良さから中国からの輸入も行っています。
スーパーに並ぶような玉ねぎは国産の物が多いですが、加工用野菜として使われる玉ねぎの多くは中国からの輸入品です。
中国産玉ねぎは安い労働力で大量に生産されてしまうので、どうしても国産よりも安価になります。
現状は国産の玉ねぎとは差別化がされているため支障はありませんが、中国産の安い玉ねぎが国産玉ねぎの市場価格を下げる恐れがあります。
デメリット3:広い畑が必要
玉ねぎは数有る野菜の中でも面積あたりの収益額が少ない野菜です。
玉ねぎで大きく稼ぐには、広大な畑が必要になります。
仮に玉ねぎだけで年収1000万円を稼ぐことを考えると、10ha(ヘクタール)もの畑を用意しなければならず、これは東京ドーム2個分以上の面積です。
デメリット4:時給単価が低い
玉ねぎ農家の労働を時給に換算すると時給約800円になります。
同じアブラナ科ネギ属の『ネギ』の時給は約1200円なので、似たような作物でもまったく違う時給になることが分かります。
玉ねぎの時給800円は農業全体で見ても極めて低く、これではアルバイトを雇うと赤字になってしまいます。
そうならないためにも大規模化・機械化を進めて、労働生産性を高める工夫が求められます。
デメリット5:所得率が低い
所得率とは、収益に対する所得の割合のことです。
例えば、100万円分の玉ねぎを出荷して、人件費や燃料代などを支払った後に残る所得が30万円のとき、所得率は30%になります。
玉ねぎ農家のコツ
コツ1:北海道へ移住する
日本で生産されている玉ねぎのうち6割以上は北海道で作られています。
やはりこれだけ極端に生産地が偏っているのは、その土地で栽培しやすいからです。
玉ねぎは寒冷な気候を好み、最低気温4℃まで耐えられるので、北海道との相性も良いです。
また、玉ねぎ栽培は面積あたりの収益が少ない分だけ広大な面積が必要になり、これも北海道が一大産地になっている要因の一つです。
コツ2:大規模化と機械化
大企業が大量生産でコストカットをしているように、農業も同一の作物を大量に作ることで効率化を図れます。
また、単一の作物に絞ることで機械の種類と投資額も少なくなるメリットもあります。
本格的に玉ねぎで稼ごうと考えるのなら、大規模化と機械化は必須となるでしょう。
コツ3:稲作と併用
玉ねぎを繰り返し同じ土地で栽培すると、土中の栄養素が偏り病気になりやすくなります。
そこで、多くの玉ねぎ農家は、玉ねぎと『お米』を交互に作ることで対策を行っています。
玉ねぎは9月頃に植えて5月頃までに収穫するので、5月に田植えをする稲作との相性が良いのです。
コツ4:加工用・業務用
玉ねぎは、スーパーで売られるような家庭用の需要は減少していますが、コンビニの弁当に使われるような加工用や業務用の需要は増えています。
加工用や業務用の野菜は、家庭用のように見た目が綺麗である必要はなく、機械に通る大きさであれば大きさのばらつきがあっても問題ありません。
また、JAを介さずに直接企業と契約を結べば、中間マージンを取られずに利益を最大化出来ます。
まとめ:玉ねぎは大規模経営で稼ぐ
玉ねぎは他の作物をメインに育てている農家のサブ野菜として選ばれやすいので、このような低い年収になっています。
もし、玉ねぎをメインに栽培する場合は、大規模化がほぼ必須となるでしょう。
そこで、土地代が安く気候の相性も良い北海道への移住は効果的です。
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