採卵養鶏は儲かる
餌を与えたり卵を集荷したりするのに手間がかかりますが、そこを機械化することで人件費を大きく下げてさらに儲けることも可能です。
この記事では、採卵養鶏の年収や、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。
採卵養鶏の年収
同じ養鶏でも、鶏肉を生産する"ブロイラー養鶏"の平均年収は1000万円です。
高額な初期費用をかけて鶏舎を建てたたりする手間を考えると、年収300万円はかなり安く感じます。
採卵養鶏の初期費用
鶏舎を建てる費用の他にも、自動で餌を与えたり卵を選別したりするための機械化の費用、鶏の成体を仕入れる費用が主な支出になります。
機械化をしなければ、1000万円以内で養鶏を始められますが、その分だけ人件費が多くかかってしまいます。
採卵養鶏のメリット
メリット1:自動化しやすい
養鶏業界の機械化は他の農業に比べてもかなり進んでいます。
自動で餌を与えてくれる機械や、卵を運んで選別する機械、死亡している鶏を検出する機械まであります。
養鶏場1件あたりの鶏の飼育数は6~7万羽とかなり多く、それらに手作業で餌やりや卵の集荷をしていくことがどれだけ大変かを考えると、機械化が進んでいることにも頷けます。
メリット2:収益化が早い
農業の中でも比較的収益化の早い野菜ですら、最初の収入を得るまでに半年から一年の歳月がかかります。
果物や肉用牛の農家になると、最初の収入を得るまでに数年もの歳月が必要です。
その点で養鶏の場合は、極端な例では経営初日から卵を出荷することも不可能ではありません。
養鶏場の建設費用など初期費用が多くかかりがちなビジネスですが、収益化までが早いので、果物農家のように数年分の生活費を事前に用意する必要はありません。
メリット3:安定した需要
卵は、その安さと汎用性の高さから安定的な需要があります。
実は日本人は卵が大好きな民族で世界で二番目に多く卵を食べており、一人あたりの年間消費量は333個と、ほぼ毎日1個食べている計算になります。
卵の消費量ランキング
1位:メキシコ(363個)
2位:日本(333個)
3位:中国(307個)
4位:ロシア(305個)
5位:アルゼンチン(280個)
採卵養鶏のデメリット
デメリット1:単価が低い
消費者から見ると安くてありがたい卵ですが、生産者は単価の低さに頭を悩ませています。
卵1つにかかる生産コストはおよそ13円で、スーパーでの販売価格はおよそ15円です。
中間には輸送コストやスーパーの取り分も含まれるので、相場にもよりますが卵1つで得られる養鶏場の収入は1円未満になると考えた方が良いでしょう。
デメリット2:初期費用がかかる
養鶏の初期費用は平均して2500万円です。
ただし、小規模に行っている農家も含めて平均値を出しており、標準的な規模で行うなら2000~4000万円が初期費用の相場になります。
これだけの大金を用意出来る人は稀なので、ほとんどの養鶏場は融資を受けて始めています。
デメリット3:疫病のリスク
"鳥インフルエンザ"という単語を農業を知らない私達でも知っているほどに、鶏にも様々な病気感染のリスクが存在します。
人間のように、体調が悪ければマスクを着けたり人混みを避けたりといった感染防止策を鶏が取ることは難しく、一羽が疫病にかかると一気に全体に波及してしまいます。
養鶏場で鳥インフルエンザが見つかった場合は、"家畜伝染病予防法第16条"により殺処分しなければなりません。
もちろん、多少の手当金が国から支給されますが、損失分を全額カバー出来るような金額ではなく、経営に大ダメージとなります。
採卵養鶏のコツ
コツ1:機械化・自動化
養鶏は機械化が進んでいる業界で、機械化することで少ない人数でも大量の鶏の飼育が可能です。
初期費用に1000万円以上かかるものが多いですが、その設備投資でアルバイトの人件費を年間100万円低く抑えられるなら10年で元が取れます。
大規模な投資になるので、綿密に計算をしてコストパフォーマンスの良いものから投資をしていくと良いでしょう。
コツ2:卵の質を上げる
スーパーで売られている"普通"の卵はだいたい1つ10~20円で、一つ売るごとに養鶏場が得るお金は1円未満です。
しかし中には1つ50円もする"ヨード卵・光"や、1つ200円もするブランド卵など高単価商品も多数存在します。
これらは、与える餌を工夫していたり、生産コストは普通の卵より高いですが、それでも普通の卵より圧倒的に大きな利益を残すことが出来るでしょう。
まとめ:養鶏は初期費用の高さがネック
最初から機械化を行っておけば、その分人件費を下げることが出来るので経営は楽になります。
また、高単価なブランド卵を作れるようになると収入が一気に増えるので、技術力を磨くことも大切です。