ブロイラー養鶏は儲かる
しかし、初期費用もかなり高額になるデメリットもあります。
この記事では、ブロイラー養鶏の平均年収や初期費用、メリット・デメリットを解説します。
ブロイラー養鶏の年収
ブロイラー養鶏の平均年収がこれほどまでに高額な理由は、ブロイラーが生後わずか40~50日で出荷出来るまで成長することにあります。
ブロイラー1頭の価格はおおよそ500~700円で、養鶏場1件あたりの平均飼育頭数は6万頭なので、単純計算で二ヶ月ごとに約3000万円の売り上げが発生します。
そこから飼育にかかる人件費や餌代などを支払っても、年収1000万円以上稼ぐのが十分可能なことが分かります。
ブロイラー養鶏の初期費用
普通に生活しているだけではこれほどの大金を用意することは不可能なので、JAから融資を受けて養鶏場を始めるのが一般的です。
一見すると高年収に見えるブロイラー養鶏ですが、JAへの返済が毎月発生するので、借金を返済するまではそれほど高収入を実感することはないでしょう。
ブロイラー養鶏のメリット
メリット1:生産コストが安い
ブロイラー1羽の生産にかかるコストはわずか440円です。
ブロイラーは、食肉用に作られた品種で成長も早いので、餌代などのコストが安くなります。
似たような業種に養豚業があります。
養豚業の豚も飼育期間は6ヶ月と短めですが、それでも1頭あたりの餌代だけで約2万円もかかります。
これを比べると、いかにブロイラーの生産コストが安いかが分かります。
メリット2:回転率が高い
本来の鶏は大人になるまでに120~150日かかりますが、ブロイラーはわずか40~50日で同じ大きさに成長します。
成長が早いことで生産コストが下がることもメリットですが、回転率も上がるので年間の販売頭数も上がります。
仮に60日で出荷までの1サイクルを行えるとすると、年間で6回も出荷を行えます。
また、仮に鶏舎内で鳥インフルエンザが流行して全頭処分をしなければならなくなっても、回転率が高い方がリスクや損失は少なく済みます。
メリット3:健康需要の高まり
『鶏肉=ヘルシー』と考えている人は多いと思います。
実際に、コンビニで売られている"サラダチキン"は一時期ブームとなり品薄状態が続いていました。
また、豚肉や牛肉に比べると安価な点も人気に拍車を掛けています。
ブロイラー養鶏のデメリット
デメリット1:初期費用が高い
それなりの年収を稼ごうと考えると、どうしても広い鶏舎が必要となり、初期費用も高額になりがちです。
個人経営の規模でも5000万~1億円が初期費用としてかかってしまうので、安易に養鶏業に参入出来ません。
裏を返せば参入障壁が高いので、競争激化による値下げ合戦が起こりにくいことをメリットと考えることも出来ます。
デメリット2:疫病のリスク
"鳥インフルエンザ"のような疫病にかかってしまうと、鶏舎の全頭処分が法律で定められています。
そうなってしまえば、せっかく育てた鶏を現金化することなく破棄することになるので、経営に大ダメージとなります。
養鶏場は、消毒をこまめに行なったり餌に薬を混ぜたりして、そうしたリスクを抑えています。
この疫病のリスクに関しては、生物的に鶏よりも牛の方が強いとされており、"肉用牛農家"はそれほど敏感に疫病対策を行わなくて良いというメリットがあります。
ブロイラー養鶏のコツ
コツ1:大規模経営
大手企業が大量生産により様々なコストを削減しているように、養鶏も大規模に経営する方がコストを抑えて儲けられます。
全国の養鶏場の平均飼育頭数は6万頭です。
平均値は一部の超大規模に経営している養鶏場が数値を引き上げていますが、この6万頭という数値を意識した経営を行えるのが理想です。
もし、6万頭の飼育数で年間に6サイクル出荷することが出来れば、ロスを計算に入れても合計で30万頭以上出荷することになり、1億5000万円の売り上げになります。
コツ2:衛生管理
養鶏場にとって最悪な事態は、やはり疫病の伝染による鶏の処分です。
そうならないためにも、多少コストをかけてでも衛生管理は徹底する方が良いでしょう。
養鶏場に出入りする際の手足の消毒や、餌への投薬、鳥やネズミが鶏舎に入らないようにネットや壁の補修を徹底するだけでも、そのリスクはかなり抑えられます。
一応、全頭処分になってしまった養鶏場には国から手当金が支給されますが、赤字を全額補填されるような金額ではありません。
コツ3:ブランド地鶏
現代の大量生産大量消費に合わたブロイラーは、それなりの質のものを大量に生産することで稼げます。
一方で、"名古屋コーチン"のようなブランド地鶏は、少数の鶏を手間をかけて育てて高単価で販売して儲けています。
どちらの方が儲かるかを一元化して答えるのは難しいですが、もしブロイラー養鶏で儲けることが難しいと感じるのなら、高級なブランド地鶏を生産する方法もありです。
特に、下記の日本三大地鶏が価格の高さと安定した需要がありおすすめです。
日本の三大地鶏
・比内地鶏(秋田県)
・名古屋コーチン(愛知県)
・薩摩地鶏(鹿児島県)
ブロイラー1羽の出荷価格は500~700円ですが、これらのブランド鶏は1羽2,300~2,700円とブロイラーの4~5倍もの価値があります。
まとめ:ブロイラー養鶏は初期費用が高額
しかし、初期費用に5000万~1億円もかかるので、気軽に始められるビジネスではありません。
それでも、養鶏場の数は年々減少していたり、健康志向の高まりがあったりと、養鶏家にとっては追い風となることも多く、面白いビジネスだと感じます。