酪農家は儲かる
その平均年収は800万円ですが、北海道の酪農家が平均年収を引き上げており、本州の酪農家の平均年収は300万円であるというカラクリがあります。
この記事では、酪農家の平均年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。
酪農家の年収
ぎりぎり生活していけるだけの収入となることの多い農業の中では、かなり稼げる仕事になるでしょう。
同じように牛を育てる"肉用牛農家"の平均年収も800万円なので、肉牛と乳牛のどちらが自分に向いているかによってそちらを選択すると良いでしょう。
酪農家の初期費用
酪農には広い土地や大きな牛舎、そして大量の牛が必要になるので、初期費用はかなり高額です。
乳牛となるのはメスの牛のみですが、初めて妊娠をした牛は1頭90万円、その前後の年齢で1頭50万円が仕入れ相場です。
仮にすぐに商品化出来る1頭90万円の牛を50頭仕入れるだけも4500万円もの費用になります。
これだけの貯金を持っている人はまずいないので、JAから融資を受けて酪農業を始めるのが一般的です。
酪農家のメリット
メリット1:動物に触れ合える
畜産業は、たくさんの動物を育てることになります。
しかし、牛乳や乳製品を出荷する酪農家なら、大切に育てた牛を屠殺しなくて済みます。
メリット2:病気に強い
小形の鶏や豚は病気に弱く、飼料に薬を混ぜて病気になることを防ぎます。
また、一度疫病が発生してしまうと、飼っているすべての家畜を処分する全頭処分が行われます。
牛は鶏や豚に比べて大型な分だけ病気に強い特性があるので、"鳥インフルエンザ"や"豚コレラ"のような頻繁に起こる疫病が少ないです。
メリット3:収益化が早い
"肉用牛"の場合、生産農場から仔牛を仕入れてから出荷するまでにおよそ2年の育成期間が必要です。
もちろんその間の収入はなく、最低でも2年間の生活費を用意することが必須です。
一方で酪農の場合は、最短でその日のうちに牛乳を出荷開始することも可能です。
収益化の早さはそのまま経営の難易度にも直結するため、収益化が早いことは大きなメリットになります。
酪農家のデメリット
デメリット1:飼料価格の高騰
家畜の餌となる飼料は、その80%を輸入に頼っています。
それ故に、海外情勢の不安定化や円安が起こると飼料の輸入価格が高騰し、酪農家としては生産コストが増大することになります。
それでも、スーパーで売られている牛乳の価格を簡単に値上げすることは難しく、そのしわ寄せは酪農家が被ることになります。
デメリット2:高額な初期費用
広い土地に大きな牛舎を建てて数十頭の牛を購入すると、5000万~1億円もの莫大な初期費用がかかります。
牛の仕入れ価格は妊娠前の牛で一頭50万円、妊娠している牛で一頭90万円です。
また、乳用牛の飼育頭数は、一戸あたり100頭が相場です。
仮に安い妊娠前の牛を100頭仕入れるだけでも、5000万円もの費用がかかります。
デメリット3:単価が低い
牛乳を始めとした乳製品は、肉類と比べると単価が低いです。
生乳1kgあたりの価格は約100円です。
牛一頭が1日に作り出す生乳の量は20~30Lなので、牛一頭あたり毎日2,000~3,000円を生み出す計算になります。
そこから餌代や人件費などのコストを支払うと、残るお金はわずかになります。
酪農家のコツ
コツ1:北海道
酪農家の平均年収は北海道とその他で大きく違います。
北海道の酪農家の平均年収は1400万円、その他の酪農家の平均年収は300万円となっており、明らかな差異が認められます。
これは、広大な土地を必要とする酪農と北海道の地形の相性が良いことが原因と考えられます。
いずれにせよ、本格的に酪農家になろうと考えているのなら、北海道へ移住することを強くおすすめします。
コツ2:中規模
本来、農業は大規模に経営する方が効率が良くなり、収入も上がりやすいです。
しかし、酪農業界にはその特徴は見られず、むしろ100頭程度の中規模経営の年収が最も高くなっています。
これは、牛を大切に育てるには技術力が求められ、人を雇って大規模に経営するとどうしても技術力が担保出来なくなることが要因と考えられます。
よって、年収を最も多くすることを目的とするならば、自分一人か家族だけで経営出来る飼育頭数に抑えることが大切です。
コツ3:一年間の修行
初期費用に5000万~1億円もかかる酪農業を一度始めてしまうと、おそらく引退するまで廃業をすることは出来ません。
よって、いきなり経営者として酪農家になるのではなく、アルバイトや正社員として最低でも1年間は他の農場で仕事を経験しましょう。
適正を確かめるだけでなく、ノウハウも学べてお金も稼げるので、一石三鳥になるでしょう。
まとめ:酪農家は所在地と飼育頭数で年収が決まる
しかし、北海道の平均年収が1400万円で、その他の年収が300万円と明らかな差があります。
また、大規模経営なら儲かるという訳ではなく、自分で管理出来る頭数に抑えると最も年収が高くなります。
これらを意識して事業計画を立てると成功する確率が飛躍的に上がるでしょう。