牡蠣養殖漁師の年収


 牡蠣養殖漁師の平均年収は500万円です。

 これは、漁師の中では割と高給な部類に入ります。


 いくら養殖とは言っても、自然を相手にする職業なので、会社員と比べると収入が不安定であるデメリットがあります。


牡蠣養殖漁師の仕事内容


 牡蠣養殖は、ホタテの貝殻を紐に通して海中に設置し、牡蠣の幼生(赤ちゃん)を付着させる所から始まります。

 その後種類によって1年または2年間、成長に合わせて場所を変えつつ海中で牡蠣を成長させます。

 最後に、貝殻から身を取る"牡蠣剥き"を行って出荷されます。


牡蠣養殖漁師の求人


 牡蠣養殖漁師の求人は、広島県を中心に数こそ少ないですがあります。

 しかしどちらかというと、牡蠣剥きの仕事など陸地で行う作業を募集している求人が多いです。


牡蠣の生産量ランキング


 牡蠣の生産が盛んな都道府県は次の通りです。


都道府県別牡蠣の漁獲量
1位:広島県 【呉、江田島】 (61.3%)
2位:宮城県 【石巻、南三陸】 (13.2%)
3位:岡山県 【浅口、笠岡】 (7.5%)
4位:兵庫県 【赤穂、たつの】 (4.6%)
5位:岩手県 【大船渡、陸前高田】 (3.9%)

 国産の牡蠣のうち、6割以上は広島県で生産されています。


なぜ広島県は牡蠣が有名なのか

 広島県の牡蠣の養殖は、約450年前の室町時代にも文献が残っている歴史があります。

 広島で牡蠣の養殖が盛んな理由はその地形にあります。

 広島県が接する海は、本州と四国に囲まれた瀬戸内海で、太平洋や日本海に比べると波が穏やかなのが特徴です。

 また、河口付近では、土壌の養分を含んだ川の水が流れてくるので、牡蠣の養分となるプランクトンが豊富です。

 どちらも牡蠣の養殖に適したおり、古くから広島県で牡蠣の養殖が盛んに行われてきました。


牡蠣養殖漁の注意点


問題点1:気候変動の影響

 牡蠣の養殖は、施設内のプールのような隔離された環境で行わず、大自然の海の中で行われています。

 よって、毎年同じように作業をしていても、気候や天候の変化が著しいと上手く養殖出来ないことがあります。

 特に近年では、地球温暖化の影響で水質の変化が起こり、いずれ牡蠣の養殖が出来なくなるのではないかと問題視されています。


問題点2:プラスチック汚染

 牡蠣の養殖では、貝殻を固定するためにプラスチック製の紐を使います。

 その紐が波に揉まれる内に切れてしまい海中に破棄されてしまうことが問題となっています。

 プラスチックは分解されるまでに数百年もかかり、汚染物質を吸収しやすい特徴もあるので、近隣の生物に多大な悪影響を与えます。


牡蠣養殖漁の工夫


工夫1:シングルシード式

 日本の大部分の牡蠣は、"カルチ式"という一本の紐に等間隔で貝殻を結びつける方法で養殖されています。

 一本の紐に20~30個の牡蠣を結べるので、大量の牡蠣を養殖出来るメリットがあります。


 一方の"シングルシード式"は、小さなカゴに貝殻を入れて養殖する方法で、初期投資と手間がかかりますが、栄養が均等に行き渡り安定した養殖が出来ます。

 シングルシード式は、まだ日本のカキ養殖業者のうち10%ほどしか行っていない方法で、これから先さらに普及が進むものと考えられます。


まとめ:牡蠣養殖は儲かるけど気候変動に注意


 牡蠣養殖は、漁業の中では比較的儲かりやすいビジネスです。

 しかし、普通の漁業と違って気軽に漁場を変えることが出来ず、現在は牡蠣の養殖に適した土地も数十年後には適さない土地になっているかもしれません。

 そういった意味では、ややリスクの高いビジネスであると言えるでしょう。