陶芸家は儲からない


 陶芸家は、有名なれば圧倒的に稼げるようになりますが、ほとんどの陶芸家は生活費を稼ぐことすら出来ていません。

 そうなっている要因の一つは、陶芸家に経営者目線が欠如していることが考えられます。

 この記事では、陶芸家の平均年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。


陶芸家の年収


 陶芸家の平均年収は150~200万円です。

 陶芸家は人気商売の側面もあるため、一部のプレイヤーは年収1000万円を超えていきますが、多くは生活が出来ないレベルの収入となっており、平均年収は目安にしかなりません。


陶芸家の初期費用


 陶芸家を始めるのに必要な資金は500万円です。

 初期費用の大部分は電気窯の購入費用で、中古でも50~100万円はかかります。

 その他にもろくろや作業台などにも最低50万円ほどかかります。

 あらたに工房を用意するのなら、田舎の中古物件でも300万円以上はかかるでしょう。


 ビジネスとして陶芸家を目指すのなら、必要以上に資金をかけることなく中古で揃えられるものは中古で揃えてしまいましょう。

 収入が安定してからひとつずつ必要に応じて新しいものに買い替えていく方法がローリスクでおすすめです。


陶芸家のメリット


メリット1:陶芸教室でも稼げる

 陶芸家の本業は、陶芸作品の制作と販売になりますが、陶芸教室にも一定の需要があり稼げる可能性があります。

 参加料としてお金を稼げるだけでなく、ついでに作品が売れたりファンになってくれたりと副次的なメリットもあります。

 陶芸教室は個人でやっている人がほとんどで集客方法を知らない陶芸家も多いので、HPを作って宣伝したり近隣の住宅にポスティングをするだけでも他の陶芸教室よりも繁盛させられるかもしれません。

 また、陶芸家はあくまでサービス業であるので、接客スキルを磨いて心地よい印象を残しましょう。


メリット2:利益率が高い

 陶芸用粘土は1kgで200~300円ほどです。

 その他にも陶芸窯などの電気代や釉薬などを合計すると、1つの作品を作るのにおよそ1,000円のコストがかかります。

 それを3,000~4,000円で売れば、原価率は約30%になります。


メリット3:好きを仕事に出来る

 陶芸家の最大の魅力は、好きな陶芸を仕事に出来ることでしょう。

 反対に、陶芸に興味のない人間が無理に陶芸家になっても儲けることは難しいでしょう。


陶芸家のデメリット


デメリット1:高額な初期費用

 陶芸に必要な備品を買い揃えると中古でも500万円、新品なら1000万円はかかります。

 仮に老後資金2000万円を持っている状態で陶芸教室を始めようとすると、初期費用だけでその半分を使ってしまいます。

 若いうちに陶芸家に転身するとしても、収入の不安定な陶芸家を借金をして始めるのは無謀なので、初期費用が高額なことは大きなデメリットになります。


デメリット2:高齢化

 陶芸は古くから親しまれている日本の文化です。

 しかし、近年ではネットやゲームなど娯楽の数も増えて、陶芸に興味を持つ人も少なくなってきました。

 現在陶芸に興味を持っている人も高齢者が大半を占めており、これから市場規模が減少していくことは明白です。


デメリット3:収入が不安定

 陶芸家は、作品が売れなければ収入はゼロになるように、収入がかなり不安定な仕事です。

 少なくとも1~2年は無収入でも生活していけるだけの収入を持っておくか、アルバイトなどで収入源を確保しておきましょう。


陶芸家のコツ


コツ1:高単価に設定する

 陶芸のような芸術作品には、明確な相場というものがありません。

 二人の陶芸家がほぼ同じ質で同じ物を作ったとしても、Aさんは1,000円で販売し、Bさんは1万円で販売していることも当然のようにあります。

 人間の心理には『高いもの=良いもの』と考える性質があり、場合によっては1万円のBさんの作品の方がたくさん売れることもありえます。

 自分の作品に自信が持てないとどうしても安値で販売しがちですが、あえて高値で販売することで作品に"箔"をつけると良いです。


コツ2:ネットショップの活用

 田舎の小さな工房で作品を販売していても、年間に訪れる人の数はどれだけ多く見積もっても1000人くらいでしょう。

 ネットショップなら、日本中の陶芸好きを一度に相手出来るので、工房で販売するよりも数倍の売り上げが見込めます。

 梱包代や配送料に1件800円くらいはかかりますが、高単価な作品なら十分に利益を残せます。

 "1つ300円の皿"のような低単価商品では配送料の方が高くなってしまうので、ネットショップに載せるのは高単価商品のみにしましょう。


コツ3:人間国宝

 目指してなれるものではありませんが、"人間国宝"と呼ばれるような人の作品は1つ100万円以上するのが普通です。

 そこまででなくても、"陶芸好きなら誰でも知っている"ような陶芸家になれば、1つ数万円でも作品がバンバン売れるでしょう。

 そのためには、毎日の鍛錬も求められますが、メディアへの露出などを戦略的に行う必要もあります。


まとめ:陶芸家は高単価商品で稼ぐ


 陶芸作品は、"スマホ"や"ラーメン"のように決まった相場というものがありません。

 そこで、あえて高値で販売することで作品の魅力を高める戦略がおすすめです。

 しかし、そもそも良い作品を作る腕がなければ買ってくれる人もいないので、毎日の修練が陶芸家成功の最も大切な要素といえるでしょう。