ホウレンソウ農家は儲かる


 ホウレンソウ農業は、わずか1~2ヶ月で収穫が出来る回転率の高さが魅力です。

 残りの10ヶ月に他の作物を育てたり、ハウスを建設して1年中ホウレンソウを収穫し続けることも可能です。


 しかし、商品単価が低めの野菜なので、大きく稼ぐためには大量のホウレンソウを出荷しなければならず、出荷作業に多大な労働力が必要なデメリットもあります。


 この記事では、ホウレンソウ農家の平均年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。


ホウレンソウ農家の年収


 ホウレンソウ農家の平均年収は120万円です。

 一見すると低く見えますが、ホウレンソウは種を撒いてから1~2ヶ月で収穫が出来るので、他の作物も栽培している農家は、さらに年収が高くなります。

 また、ハウスを立てて1年中ホウレンソウを作り続ける戦略を取っているホウレンソウ農家もいます。


ホウレンソウ農家の初期費用


 ホウレンソウ農家の初期費用は300万円です。

 露地栽培で良いホウレンソウは、少資本で始められるメリットがあります。


 ただし、ハウスを建てる施設栽培をする場合は、初期費用が1000万円を超えていきます。

 もちろん、施設栽培の方が労働生産性が高くなりやすいですが、建設費用の返済や燃料代など支出も大きくなるので、どんぶり勘定で経営すると破綻することもあります。


ホウレンソウ農家のメリット


メリット1:所得率が高い

 ホウレンソウ農業は所得率が高い農業として知られています。


 ホウレンソウを露地栽培で育てた場合の所得率は50%を超えています。

 これは、仮に100万円売り上げたときに50万円以上を所得(収入)に出来る計算です。


 同じ野菜でも、『玉ねぎ』の所得率は30%、『にんじん』は40%となっており、ホウレンソウの50%がいかに儲かりやすいかが分かります。


メリット2:収穫までが早い

 ホウレンソウは成長が早く、種を撒いてから1~2ヶ月で収穫出来ます。

 もし、ハウスを持っており1年中ホウレンソウを栽培出来るのなら、同じ土地で1年に5~6回も種まきと収穫を繰り返せます。


 ハウスを持っておらず露地栽培をする場合でも、1年間でホウレンソウが畑を占領するのはわずか1~2ヶ月なので、同じ土地でホウレンソウ以外の作物を育てるのも容易です。


メリット3:耐寒性が強い

 ホウレンソウは『キャベツ』や『ニラ』と同じ葉物野菜に属し、寒さに強い特性があります。

 よって、寒さの厳しい北海道や東北地方でも問題なく育ちます。


 特に北海道は地価が安く低予算で農業を始めるのに適しているので、寒さに強いことは大きなメリットになるでしょう。


メリット4:指定野菜

 ホウレンソウは農林水産省が定めた14品目の"指定野菜"のひとつです。

 指定野菜を"指定産地"で生産すると、商品価格の下落時に保証金を受け取れます。


 ホウレンソウはやや値動きの激しい野菜なので、長期的にホウレンソウ農業を行っていれば何度もこの保証金のお世話になるでしょう。


ホウレンソウ農家のデメリット


デメリット1:手間がかかる

 ホウレンソウは野菜の中でも手間のかかる作物です。


 栽培するだけならそれほど手間はかかりませんが、収穫した作物を出荷出来るようにカットしたり包装したりする"調整作業"に多くの時間がかかります。

 調整作業自体は他の作物でも行う作業ですが、ホウレンソウは商品の単価が低いので大量出荷する必要があり、相対的に調整作業にかける時間が多くなります。


デメリット2:暑さに弱い

 ホウレンソウは寒さに強いメリットがありますが、その分暑さに弱い特徴があります。


 気温が25℃以上になると成長が抑制されて商品として出荷出来ない品質になります。

 それ故に、露地栽培では春までに収穫を終えるように栽培を行っています。


デメリット3:発芽しにくい

 ホウレンソウは他の作物に比べて発芽率が低い作物です。

 家庭菜園用のホウレンソウの種にも、『発芽率75%以上』と書かれていたりします。


 ただし、気温や土壌環境などで発芽率は変わり、プロの農家ならそれほど心配することもありません。


デメリット4:広い畑が必要

 ホウレンソウは、面積当たりの収益性が低い作物です。

 10a(アール)あたりの所得目安は57万円で、『ナス』の470万円や『ピーマン』の510万円と比べるとおよそ1/10の所得しかありません。

 もしホウレンソウ農業だけで年収300万円以上を目指すのなら、50~60a(アール)もの広大な畑が必要です。


ホウレンソウ農家のコツ


コツ1:調整作業の機械化

 ホウレンソウ農業で最大の労働力をかける"調整作業"を機械に担ってもらえば、自分の労働時間を削減したり人件費の削減に繋がります。


 かつては、手作業で行うしか選択肢がありませんでしたが、現在では個人規模でも購入できる調整機械も販売されています。


 初期費用はかかってしまいますが、5年後10年後に元が取れるのなら導入する価値は高いでしょう。


コツ2:ハウス栽培で年間体制

 暑さに弱いホウレンソウは夏場に栽培出来ません。

 しかし、ハウスを建設して施設栽培を行えば、一年中ホウレンソウ栽培が出来ます。

 ホウレンソウの旬は秋~冬ですが、旬にホウレンソウを出荷するよりも流通量の少ない夏に出荷する方が販売価格は高くなります。


 それでも、ハウスを一棟建てるのには最低でも500万円はかかりますし、空調の燃料代も多くかかります。

 売り上げこそ増えるものの支出もかなり増えてしまうので、事前にしっかりとした計画を立ててからハウス栽培を導入しましょう。


コツ3:計画的な輪作を行う

 ホウレンソウの栽培期間はわずか1~2ヶ月です。

 そこで、残りの約10ヶ月に他の作物を栽培することで収入はさらに上がります。

 ホウレンソウの後に植えると良いとされているのは、『大豆』、『レタス』、『にんじん』です。

 反対に『トマト』、『きゅうり』、『ねぎ』、『玉ねぎ』などはホウレンソウの後作に適していません。


まとめ:ホウレンソウは栽培期間が短くおすすめ


 ホウレンソウは種を撒いてから1~2ヶ月で収穫出来ます。

 この点を活かしてハウス栽培なら年間に6サイクル栽培することも可能です。

 他の作物と組み合わせて栽培する場合でも、1~2ヶ月をホウレンソウ栽培に費やしても残りの10ヶ月は他の作物の栽培に畑を使えます。


 当サイトでは、『他の農業』も多数紹介しています。ぜひ、ご覧ください。