タピオカ屋は儲かるのか?


 タピオカ屋は既にブームが終了しており、これから稼ぐのは難しいビジネスです


 それでもまったく売れない訳ではないので、初期費用とランニングコストを抑えることでなんとか経営していけます。

 それほどまでに苦しい思いをするよりも、『他の飲食店』の方が稼げるのでおすすめです。


 この記事では、タピオカ屋の平均年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。


タピオカ屋の年収


 タピオカ屋の年収に関する統計データはありませんが、年収100~200万円程度と予想されます。


 既にブームが過ぎていることで、行列が出来るような繁盛店を作ることは難しく、年収1000万円のような景気の良い話にはならないでしょう。

 それでも根強いファンも一定数残っているので、まったく稼げないということはありません。


タピオカ屋の初期費用


 タピオカ屋の初期費用は100~300万円です。

 2~3坪の敷地と冷蔵庫さえあればタピオカ屋を始められるので、普通の飲食店に比べれば圧倒的に少ない資金で開業出来ます。

 これだけ初期費用が少なくて済むのなら、ブームに乗って半年〜1年だけタピオカ屋を経営して、ブームが過ぎたら別のお店にシフトするといった戦略も取れます。


タピオカ屋のメリット

メリット1:原価が安い

 タピオカドリンクは原価の低い商品です。


タピオカドリンクの原価
タピオカ 5~10円
ドリンク 20~30円
容器等  10~20円
原価合計 35~60円


 仮に原価50円として1杯500円で販売すれば、『原価率』10%で450円の利益にもなります。


 もちろん、そこから家賃や人件費等もかかりますが、飲食店の平均原価率が30%であることを考えると、その異常な低さが分かります。

 それでも、味の薄いドリンクを作ってしまえば評判はガタ落ちとなるので、安さだけに囚われず味にこだわった仕入れをするべきでしょう。


メリット2:初期費用が安い

 タピオカドリンクは、ドリンクとタピオカをカップに注ぐだけなので、まったく厨房設備が無くても開業できます。


 流石にドリンクを保冷する冷蔵庫くらいは必要ですが、ドリンクもジュースポットに入れておけば、専用の機械はいりません。


 よって、100万円以下で開業することも不可能ではありません。


 飲食店の平均的な開業費用は1000万円なので、それと比べるとかなり低リスクで開業出来ます。


メリット3:人件費がかからない

 『パスタ屋』ならシェフが、『寿司屋』なら板前が必要です。

 それらの専門的な技術を持っている人を雇うのは、アルバイトを雇うのに比べて高い給料が求められます。

 また、アルバイトを雇うにしても、『居酒屋』ならメニューの暗記からトイレの清掃まで細かい作業まで含めると教育に多くの時間がかかります。


 その点で、タピオカ屋ならドリンクを提供するだけなので、30分もあれば一通りの業務を一人で行なえます。

 オペレーションが簡単なほど、教育にかかる人件費も抑えられます。


メリット4:飲み物である

 タピオカドリンクのような飲み物系のお店は、食べ物系のお店と競合することがないので、近隣の飲食店と客の奪い合いになりにくいです。

 これが『ラーメン屋』なら、同じ食べ物系のお店である『ピザ屋』や『カレー屋』もライバルとなります。


メリット5:テイクアウト

 タピオカ屋は、基本的にテイクアウト型のお店です。

 テイクアウト型のお店は、イートイン型の店と違い狭い敷地で経営出来ます。

 また、イートイン型のように食後にテーブルの片付けをしなくてよいなど、客1人あたりに必要な接客時間が短めな点もメリットです。


メリット6:廃棄ロス

 乾燥タピオカの賞味期限は1~2ヶ月と長く、保存が効きます。

 また、ドリンク類も同様に比較的賞味期限の長いものが多いです。


 1~2日で廃棄しなければならない材料を使う飲食店は食材の廃棄率が高くなりますが、タピオカ屋はそれがありません。


タピオカ屋のデメリット


デメリット1:ブームが過ぎている

 タピオカ屋の最大のデメリットは、ブームが終了していることです。

 今更言うまでもありませんが、2019年上旬に始まったブームは2019年末には下火になっていました。

 ブームの初期からタピオカ屋を始められた先行者ですら、利益を出せた期間はわずか1年間と短く、これを生涯の仕事とすることは難しいと言わざるを得ません。


デメリット2:客単価が低い

 タピオカに限りませんが、ドリンクは飲食物の中でも特に単価が低い商品です。


 普通の飲食店なら客1人あたりの売り上げが1,000円ほどになりますが、タピオカドリンク店の客1人あたりの売り上げは500円前後になります。

 同じドリンクを販売する『カフェ』なら、コーヒーと共にサンドイッチなどの軽食メニューも買ってもらえるので、経営努力で客単価を上げることも容易です。


 タピオカ屋にそのような戦略は行えないので、純粋に客数を集める努力をするしかありません。


デメリット3:若い女性にしか売れない

 タピオカドリンクの客の90%以上が10~30代の女性です。

 少子高齢化の進んでいる日本の総人口に占める10~30代女性の割合はわずか15%です。

 つまり、店の前を歩いている人のうち6人に1人しか潜在的な客がいません。


 これが『パスタ屋』や『ピザ屋』だったら、日本人の大半を潜在的な客と見れます。


デメリット4:差別化

 タピオカドリンクは、容器にタピオカとソフトドリンクを注ぐだけなので、どのお店でもほぼ同じ商品になります。

 容器やストローで差別化を図っているお店もありますが、『他の飲食店』と比べるとお店ごとの差別化が難しいです。


デメリット5:参入障壁

 タピオカ屋は、ソフトドリンクとタピオカさえ用意出来ればすぐにでも開業出来るので、参入障壁が非常に低いビジネスです。

 ブームの時には、タピオカ専門店が乱立しただけでなく、普通の飲食店やバイキング形式の飲食店でもメニューに取り入れていました。

 このように参入障壁が低いビジネスは、ブームとなると需要以上に参入者が多くなり儲からないビジネスに成り下がりがちです。


タピオカ屋のコツ


コツ1:地方で細々と営業する

 タピオカ屋はブームに合わせて都市を中心に乱立したため、物珍しさが無くなってブームが終了した背景があります。

 それでも地方への出店数は都市部に比べると少なく、場合によっては出店されたことのない地域もあるかもしれません。


 タピオカドリンク自体は美味しい飲み物なので、ブーム後に久々に飲みたくなる人も一定数いるでしょう。

 地方なら賃料も安いため、細々と経営していくのならギリギリ黒字化させることも出来るでしょう。


コツ2:タピオカブームに乗る

 2019年頃のタピオカブームは第三次タピオカブームと言われており、過去には1992年頃、2005年頃、2019年頃と13~4年おきにブームが来ています。

 タピオカに限らず様々なブームは12年周期で起きると言われており、この法則に則るのなら次のブームは2031年頃となるでしょう。

 それまでの間に資金を貯めておいて、ブームの兆しが見えたら大規模に参入するのも面白いです。


コツ3:移動販売車の活用

 移動販売車なら初期費用を抑えられます。

 また、別の商材へ転向するのも簡単です。

 毎月の家賃もかからないので、かなりリスクを抑えられます


 ただし、出店場所探しが難しく、ある日突然出店を断られるケースもあるので、常に場所探しに力を入れなければなりません。


コツ4:FC(フランチャイズ)不要

 タピオカ屋には"ゴンチャ"のようなFC企業がたくさんあります。

 しかし、タピオカドリンクの調理は非常に簡単なため、わざわざ高いマージンを払ってまでFCに入るメリットはありません。

 FCの魅力の一つに有名企業の看板を使える点もありますが、タピオカ屋の顧客に関しては看板でお店を選ばない傾向にあります。


コツ5:定番メニュー

 タピオカドリンクは、"ミルクティー"などの紅茶系、カフェオレ系、"いちごミルク"などのフルーツ系が定番メニューです。

 それらの人気メニューを抑えておきつつ、お店独自のメニューも数種類用意しておくと良いでしょう。


コツ6:男性客への配慮

 タピオカドリンクのメインターゲットは間違いなく若い女性です。

 しかし、男性の中にもタピオカドリンクが好きな人も多く、彼らへの配慮もすることで他店との差別化が図れます。

 そうすることでカップルずれの客層も拾えるようになるでしょう。


まとめ:タピオカ屋はまだまだ稼げる


 ブームの終了したタピオカ屋ですが、1杯500円と安価でそれなりに人気もあるため、まだまだお店を開けばある程度の客はやってきます。

 それでも、ブーム時に比べれば圧倒的に稼ぎにくくなってしまったので、出来るだけ初期費用やランニングコストを抑えてリスクを限定的にしなければなりません。

 田舎で細々とやっていくなら、まだまだ稼げる可能性は残っています。


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