パンケーキ専門店は儲かるのか?


 若い女性に人気のパンケーキ専門店は、ブームの終焉後も安定した需要が続いており、今から参入しても十分に稼げるビジネスです。

 ただし、高額な初期費用や女性客のみをターゲットにしているビジネスモデルはリスクが高いです。

 この記事では、パンケーキ専門店の平均年収や初期費用、メリット・デメリット、さらに儲けるコツを解説します。


パンケーキ専門店の年収


 パンケーキ専門店の平均年収は400万円です。

 原価率の低いビジネスなので、しっかりと経営していけば十分に生活していけるだけの収入を得られるでしょう。

 ただし、飲食店の定番である『ラーメン屋』に比べると市場規模が小さく、複数店舗を経営して年収1000万円以上を目指すのは難しい業界です。


パンケーキ専門店の初期費用


 パンケーキ専門店の初期費用は1000万円です。


 イートインスペースが必要なビジネスモデルのため、広い物件を取得しなければならず、初期費用が高額になりがちです。

 その他にも、テーブル席の用意や内装工事など、敷地が広いほど必要な資金が多くなります。


 テイクアウト専門の『クレープ屋』の場合には300万円もあれば開業出来るので、1000万円必要なパンケーキ専門店の参入障壁は高いといえます。


パンケーキ専門店のメリット


メリット1:安定的な需要

 パンケーキは、2010年頃にブームとなり一気に日本中に広まりました。


 本来、『タピオカ屋』のようにブーム性の高い商品は、そのブームが終了すると同時にまったく売れなくなり、稼げないビジネスに成り下がります。

 しかし、パンケーキはその見た目の美しさだけでなく、味も美味しく満腹感も得られるので、ブームが終焉した後でも根強い人気と安定した需要が続いています。


 流石にブームの時のように行列が出来るようなことにはなりませんが、個人規模で小さくお店を経営していくのなら、現在でも普通に稼げます。


メリット2:低い原価率

 パンケーキの原価率は約20%で、飲食店の一般的な原価率の30%と比べるとかなり低めです。


 メインとなる生地を小麦粉で作るので1枚あたり50円以下で作れますし、高単価となりやすいフルーツの使用量はそれほど多くないので、1人前あたりの原価を200円ほどに抑えられています。

 中には生クリームを大量に使って見た目を派手にしているパンケーキもありますが、生クリームも小麦粉に比べれば5~6倍ほど高いですが、1g1円ほどなのでほとんど原価に影響を与えません。


 これを定価1,,200円前後で販売しているお店が多いので、原価率20%ほどのお店が多いでしょう。


メリット3:季節を問わず売れる

 同じ甘いものでも、『かき氷屋』は夏にしか売れませんし、『焼き芋屋』は冬にしか売れません。


 その点でパンケーキ専門店は、真夏こそかき氷やアイスに需要を奪われて若干売り上げが下がりますが、1年を通して安定的な売り上げが期待出来ます。


メリット4:メニュー数を増やしやすい

 普通の飲食店がメニュー数を増やすためには、新たに厨房設備を増設したり仕入れる食材の種類が増えたりと、お金がかかりリスクがあります。


 しかしパンケーキ専門店なら、途中までまったく同じ材料と作り方で最後に乗せるフルーツを変えるだけでメニューを増やせます。

 それでもフルーツは賞味期限が短い物が多く、あまりにメニューの種類を増やしすぎると廃棄ロスが多くなり経営を圧迫する可能性があります。


メリット5:大手チェーン

 パンケーキ専門店には、『焼肉屋』の"牛角"のように誰もが知っているような巨大チェーン店はありません。

 個人経営の飲食店が大規模チェーン店と勝負するのは難しいですが、工夫次第で中小規模のチェーン店を凌駕することは可能です。


メリット6:客単価

 パンケーキ屋は、スイーツ系のお店の中では客単価が高いです。

 その客単価は約900円で、『ラーメン屋』や『パスタ屋』のような食事系のお店と同レベルの客単価となっています。

 パンケーキ屋と同じスイーツ系の『クレープ屋』や『たい焼き屋』の客単価は400~500円ほどしかないので、それと比べると客単価900円のパンケーキ屋は半分の客数で同等の売り上げになります。


パンケーキ専門店のデメリット


デメリット1:廃棄ロスが少ない

 パンケーキの原料となる小麦粉は、小麦粉の状態なら1~2ヶ月は常温でも腐りません


 流石に生地にしたり焼き上げたパンケーキはその日のうちに廃棄しなければなりませんが、メインとなる食材の賞味期限が長いのは廃棄ロスを抑えるのにかなりの効果があります。


 フルーツについては、数日で賞味期限を迎えるものがほとんどですが、余りそうなフルーツがあればその商品を"本日のおすすめ"としてメニューに載せたり、それでも売れない時は価格も下げるなど、オーナー側が在庫数を調整する方法はいくらでもあります。

 ただし安易な値下げは、その後に定価で売れなくなるリスクがあるので、値下げの乱発は厳禁です


デメリット2:男性客が少ない

 パンケーキ専門店のメインターゲットは10~30代の女性です。


 『クレープ屋』も同く若い女性がターゲットですが、"チョコバナナ"や"キャラメルホイップ"のような甘いメニューだけでなく、"ツナコーン"や"ソーセージポテト"のような軽食メニューもあるので、男性客の需要も満たせています。


 しかし、パンケーキにはそのような軽食系のメニューがないので、男性客が入りづらいお店になりがちです。


デメリット3:満腹度

 パンケーキは、『クレープ』や『かき氷』と比べると満腹感の高い食べ物です。

 『クレープ』や『かき氷』が食後のデザートになりえるのに対して、パンケーキはそうなりません。


 よって、他のスイーツ系のお店に比べて気軽に入りづらく、集客が難しいと言えます。


デメリット4:参入障壁

 パンケーキ専門店は、パンケーキという単一の商品を作るだけなので、専門的な調理スキルや専用の厨房機器が不要で誰にでも始められます。

 始めやすいという点で見ればメリットですがそれは他の人にも当てはまることで、せっかく経営が軌道に乗ってきてもある日突然ライバル店が近隣に出来るリスクが高いとも考えられます。


デメリット5:話題性

 近年のパンケーキ専門店は、マスメディアやSNSで定期的に話題となっています。

 しかし、近年の流行の移り変わりはかつてより早く短期間化されており、次のスイーツ系ブームが起きてしまえば、パンケーキ屋の売り上げが下がることは容易に想像出来ます。

 『うどん屋』や『寿司屋』は5年10年と長期的な経営をしていけますが、パンケーキ専門店が5年10年と長期的な経営をしていけるかは分かりません。


パンケーキ専門店のコツ


コツ1:SNS映え

 パンケーキ屋のメインターゲットとなる若い女性は、SNSで情報収集や交流を行っています。

 実際に、注文したパンケーキがテーブルに届いたら、食べる前に写真を撮る人が大半です。


 そこで、パンケーキを"SNS映え"を意識した盛り付けにすることで、SNSで話題となり無料で集客効果を得られます。

 フルーツをたくさん使ったり、クリームとフルーツで動物をかたどってみると、近隣のライバル店との差別化になります。


コツ2:男性客への配慮

 パンケーキ屋のメインターゲットは女性です。

 しかし、男性客を蔑ろにしてしまうとカップル客を取りこぼすことになります。

 付き添いとして男性客がやってくることを念頭に軽食メニューも用意したり、店内の雰囲気も男性客が入りやすいシンプルなイメージに統一するのが良いでしょう。


 反対に、完全に男性客を切り捨てて店内を可愛いイメージにする戦略も、他店との差別化となって良いでしょう。


コツ3:サイドメニューで売り上げアップ

 パンケーキ専門店のメリットとして、パンケーキ単品の注文が少ないことが挙げられます。

 セットとして紅茶やコーヒー、ソフトドリンクも販売することで、客単価をさらに300円上げることも可能です


コツ4:外観と内装

 パンケーキ専門店のメインターゲットとなる女性は、男性に比べて綺麗好きなことが多いです。

 また、パンケーキを食べるという行動そのものがオシャレと感じています。


 せっかくSNSにアップしようとやってきたパンケーキ屋がボロボロの汚いお店だったら幻滅し帰ってしまうかもしれません。

 反対に、ついついお店の外観や内装を写真に撮りたくなってしまうようなお店作りをしておけば、店内の様子もSNSで宣伝してくれるでしょう。


コツ5:イベント出店

 店舗型のお店をメインに経営しつつ、そのお店が軌道に乗ってきたらキッチンカーでイベント出店するのもおすすめです。

 普段節約に励んでいる人でも、花見や夏祭りのようなイベント会場にいくと、ついついあれこれ買ってしまう傾向にあります。

 そこで商品を販売しつつ、自店舗の宣伝も合わせて行っておけば、お金を稼ぎつつ自店舗に来る客をもっと増やせます。


コツ6:多店舗展開

 1店舗目の経営が軌道に乗ってきたら、2店舗目3店舗目の出店も検討しましょう。

 パンケーキは調理が比較的簡単なメニューのため、それほど調理技術のない人でも雇えるメリットがあります。


 それでも、パンケーキ業界の需要はそれほど大きくないので、自店舗の近隣に2店舗目3店舗目を出店すると客の奪い合いになるので注意です。


まとめ:パンケーキ専門店は安定的に稼げる


 パンケーキ専門店は、同じく話題性が強い『タピオカ屋』に比べると、安定的に稼げます。

 それでも、日本人全体の15%を占める若い女性のみをターゲットにしているので、市場規模がそれほど大きくなく近隣のライバル店の状況によっては上手く稼げないこともあるでしょう。

 初期費用が1000万円とかなり高額になってしまうので、事前の市場調査や経営計画を綿密に練ってから参入したいですね。


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